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「9割の人」に当てはまらない「1割の例外」のほうが実は重要

先日近所の本屋さんに行くと「人は~が9割」とか「9割の人は~」といったいわゆる”9割本”が目立つところに平積みになっていました。

この手のタイトルの本が売れ始めてから10年前後は経っている気がしますが、相変わらず”9割”が流行っているところを見るとやはり世の中の人は多数派に属したいという欲求が強いのかもしれません。

9割という数字はさておき、人材育成の世界も基本的には多数派を基準にしており、多数派の思考や行動を元に様々な「育成のセオリー」が構築されます。

ところが実際に人材育成の仕事に携わると、本当に重要な課題は「9割の多数派に当てはまらない1割の例外をどう育成するか」ではないかと感じています。

というのも世の中の企業を見ていると、卓越した業績を上げる人も、イノベーションを起こす人も、大きな問題を起こす人も少数派に属していることが多いからです。

9割の多数派は日常を守ることに長けていますが、変化を起こすことには向いていないのかもしれません。一方で1割の例外は日常を守ることは苦手ですが、変化を起こす起点になることがあります。それが良い変化であれば企業に大きく貢献することができますが、悪い変化であれば企業に大きなダメージを与えます。

そうなると企業の人材育成部門の役割としては9割の多数派を標準通りに育成するだけではなく、1割の例外の人が企業に貢献できるよう「例外的な育成施策」で育成することが求められます。

具体的には次の2つの目的です。

  1. 9割の人が持っていない資質を持つ1割の例外が、その資質を発揮できるようにする

  2. 9割の人がやらない問題行動を取ってしまう1割の例外が、その問題行動を取らないようにする

1と2は一見別々の施策ですが、実は特別な資質を持った例外の人は問題行動も起こしやすいという側面もあります。(例えば次々と独創的なアイディアを出せる人が、他人と協調して物事を進めるのが苦手で人間関係をトラブルを起こす)

そのため、例外の人を標準的な枠組みに嵌めて育成するのではなく、例外の人の特性に合わせたオーダーメイドの育成施策が必要です。ただそうなると企業としてはごく一握りの人に対して大金を投じることになりますので、経営側の決済が下りないという難点もあります。

とはいえ、例外の人を放置する、もしくは多数派に合わせて育成といったことをしてしまうと、イノベーションを起こす人材を潰し、問題行動を起こす人を野放しにすることにもなります。

この辺の判断は企業の経営者にとっては難しいところもあると思いますが、9割の多数派と1割の例外はそれぞれ役割が違いますので、両方を活かすことができると企業にとっては大きなプラスになると思います。

今回もお読みいただきありがとうございました。

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