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「ちゃんと」が口癖な彼女の奥に潜む本音

「ちゃんと会話したい」
「ちゃんと仕事したい」
「ちゃんと考えたい」

彼女の発する言葉には、いつも「ちゃんと」が含まれる。
その事実をフィードバックしたところ、「はっ」とした表情を見せてこう言った。

確かに、わたし、よく言ってる気がします・・・

おお、自覚があるのですね。じゃあもう少し詳しく教えて。
最近どんな時に「ちゃんと」って言ったのか覚えてる?

少し考えて、彼女はこう答える。

友だちと話している時、『ちゃんと、理解したいから』って言った記憶が・・・

ちゃんと理解したい。
わざわざそう伝えるということは、何か”意図”を感じますね。

で、ここから、その意図を探るべく色々話を聞いてみる。

相手のことを傷つけたくないんですよ

なるほど、なるほど。

自分の思っていることを伝えるのも、遠慮してしまいます・・・

へ〜、そうなんだ。

特に、身近な人には遠慮しがちですねぇ・・・

じゃあ身近な人じゃなければ、遠慮しない?

そうですね。むしろ全然知らない人の方は、得意なんですよ。
変わってる人とかだったら、面白くなっちゃって、遠慮なんかしないで自分からグイグイいけちゃいますよ。

「変わってる人」の話になると、急にエネルギー量が高まっているように見える。

変わってる人って面白いよね〜、と合いの手を入れてみる。
そのフリに応えるように「変わってる人」の話をする彼女。その表情はとても楽しそう。

そうこうしていると、ポロッと彼女の本音が出てきた。

他人が、自分のことをわかってたまるかって、思うんですよ
わたし自身も、人と差別化を図りたいし、自分も変わってる人でいたい・・・

おっと。おっと。
そうだったのかー。

これこそ、本音!
よくぞ、言葉にしてくれました!!!(拍手)

彼女は、人と人は「違うからこそ価値がある」
「人とは違っていたい」「変わっている人でありたい」と思っていたのですね。

「ちゃんと理解したい」気持ちと、「理解されてたまるか」の気持ち。
その両方が、自分の中にあったんだね。

ああ、確かに・・・!

続けて、彼女はこんなことを言った。

わたし真面目ではあるんですけど、・・・型破りでいたいって思ってます

「真面目でありたい」気持ちと、「型破りでありたい」気持ち。
その両方が、自分の中にあったことにも気づけた。

20年強生きてきた彼女の人生には、
ちゃんと理解しなかった・出来なかったことによる、失敗経験がある。

その経験があるからこそ、
「”ちゃんと”しないきゃ!”真面目”にしなきゃ!」的思考が染み付いた。
これは、経験から学んだ成果であり、失敗を軽減させるためには必要なことだ。

一方で「人とは違うやり方で」「型破り」でありたい。
「自分にしかない価値を発揮したい」とも思っている。

自分の中に存在する、相反する(ベクトルの異なる)2つの考えに気づけた彼女は、ちょっと楽になったみたい。

真面目さも、型破りも、両方自分なんですよね

うんうん、その2つが共存することだってあるよね。

次回は、「真面目さ」と「型破り」がポジティブに発動する条件を一緒に考えていきましょうね。

誰の中にだって、相反する(ベクトルの異なる)2つの考えは存在する。
自分の内側に潜む ある種のパラドックスを、対話を通してクリアにしていく。

そうすることで、自分の扱いが上手になる気がします。

どちらを否定するわけでもなく、どちらも活かす。
それが、あなたらしい才能の活かす第一歩だと思う。

※ 今回は、キャリアメンター面談でのやり取りを一部デフォルメしてお届けしました

= お わ り =


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