見出し画像

目の前のひとの「いいもの」を見つけるための1on1でありたい

先日読んだ本のとある一説が頭から離れず。
自分もこうありたいと、改めて考えさせるキッカケとなった。

人間でも生き物でも器物でも、万物に接すると、とにかくその中にある「いいもの」を見出そうとする。それだけではなく、隠されたその人の「いいもの」を指ししめし、育てようとさえする。結局、川崎さんがギャラリーをやっているのは、その人の「いいもの」を見つけ、それを育てて、未来を想う日常が楽しいせいなのだろう。

(「80代の今が最高と言える」 著:川崎淳与 に掲載されている、 特別寄稿「川崎淳与さんのこと」磯田道史氏の一説)

川崎淳与さんとは、「若い作家を応援したい」と言う想いで、60歳でギャラリーを立ち上げた女性だ。

淳与さんは、全身全霊で創作に取り組む作家を応援することを好み、作家自身も気づいていない才能を見出すことを歓びとした。彼女のまわりには、常に若手の作家たちが集まっていたと言う。

彼女の生き様が美しくてカッコいいのは、相手の成長を本当に自分の歓びとして感じているからかな、と感じた。その気持ちに、よどみなく、純度100%だからこそ、相手の心にも届き、相手を動かすことができるのだろう。


この本を読んだあと、ついつい自問自答をしてしまった。

わたしは、目の前のひとの才能を見出すことに100%になれているのか、と。


相手と対話しながら、湧き上がるエゴな自分

人事や教育に携わり、早12年。
相手の「いいもの」を見出す機会は、多い方だと思う。

しかし振り返れると、純度100%になりきれない自分がいるのだ。

・相手の「いいもの」より、わたし基準の「直してほしいもの」を優先する自分
・相手の「いいもの」より、効率やメリットを優先する自分
・相手の「いいもの」より、自分の「いいもの」を見せつける自分

薄々気づいていたし、課題だなとも思っていた。

これらの気持ちが湧き出ると、純度100%で相手に向き合えず、きっと相手にも伝わる。結果、相手の成長を後押しする、と言う目的から、少しずつそれてしまう。

淳与さんからは、このようなズレを感じない。


こんなときこそ、基本に立ち返る

心がよどみがちなわたしは、誰かと対話するときには、自分を自分で監視する

目の前のひとに、100%になれるよう努められているか?
エゴな自分が登場していないか?

無意識でできない分、意識を向け続ける。

「相手のための時間」であることを強く意識する。
そして、相手の成長に繋がるために自分が出来ることは何かを考える。

・相手の「観察」と「傾聴」に全力集中する(自分の雑念を抑える)
・「いいところ」は言葉に出して褒める
・「違和感」があれば、伝える

目の前のひとが「次はこうしてみよう」と前向きに、次のステップを踏めるための時間でありたいと思う。


「相手の成長を後押ししたい」という気持ちも本当だし、エゴな自分も本当。
このアンバランスな自分を理解したうえで、相手との対話に臨むことが大切なのだと思う。


テレワークが加速する今、部下との1on1を考え直したい

ここ数ヶ月、ビジネスシーンにおける「1on1ミーティング」に関する質問やお仕事の相談を受ける機会がとても増えた。

テレワークが急激に増え、物理的なコミュニケーション機会が減ったことにより、1on1の意義や質への注目度は高まっている。

先日監修したこちらの記事も、そんな背景から書かせていただいた。

記事の後半で、下記のような「導入時の失敗事例」を紹介しているのだけど、

・1on1の目的を見失う
・1on1の効果が感じられず焦る
・1on1で部下が話をしてくれない

これって、全てエゴな視点になっちゃっている発想だな、と改めて思う。

上司だって、色々大変だもの。
常に、部下の成長への純度100%でいるって、とてもとても難しい。

それに、上司の肩書きを意識しすぎると、余計に難しさが増すような気がする。

「上司だからしなくちゃいけない」とか、そんな気持ちがもしあるのだとしたら、一度脇に置いてみてもいいのかも。

上司とか部下とか関係なく、目の前のひとの「応援者」として接する方が、わたしの場合は自然に向き合える気がする。

1on1で業務課題を解決しようとするのではなく(それは別の時間にやる)、
1on1の時間は、上司部下の関係性を取っ払って、目の前のひとがイキイキと働くための「応援者」に徹してみたらいいんじゃないかな、と思うのだ。


目の前のひとの「いいもの」を見つけるために、時間を使いたい

人事として、社員の「才能と情熱を解き放つ」ことに貢献したいと漠然と思っていた。
でも、いま純粋に思うのは、もう少しシンプルで具体的で、
目の前のひとの「いいもの」を見つけるために人生の時間を使いたい、ということ。
この言葉は、完全に淳与さんの生き方の影響だけど、おかげで自分の進みたい人生の道がクリアになった。
自分がしっくりくる言葉に出会うって、大事だ。


最近は、年齢的にも、年下のひとと仕事で関わることが増えてきた。

もし、本人がまだ気づいていない「いいもの」をお伝えすることができるなら、
その人の未来の可能性が少し広がるかもしれない。
本人も気づいている「いいもの」をお伝えすることができるなら、
さらなる自信の後押しになるかもしれない。

いずれにせよ、わたしの感じた「いいもの」をお伝えすることにデメリットはないはずだから、出来るだけGIVEしていこうと決めた
(年下に限定して書いてしまったが、すべての人にGIVEしていく所存!)


現在は、数名のメンバーと毎週1on1の機会を設けている。

わたしは、これから、彼らにどれだけの「いいもの」を見出し伝えることができるだろうか。
そんな意識を持つと、1on1の時間が、とても特別で、楽しみな時間になってくる。


これまで、企業人事として、1on1や部下とのコミュニケーションのことを色々と考えたり、トレーニングしたりしてきたけど、
理論やテクニックよりも、自分がどうありたいかというスタンスを明確にすることが、きっと行動の純度を高めるのだろうなと思う。


皆さんは、1on1をどんな時間にしたいですか?



おわり
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?