見出し画像

G検定を諦めた私が、「AIとかよく分かんない」と思ってる中年社会人に言いたいこと

この記事は、SoftBank AI部 Advent Calendar 2019の12日目の記事です。

長らく人事として、人材開発のキャリアを積んできた私ですが、HR業界にもテクノロジーによる改革の波がやってきているのを強く感じる今日この頃。

本記事では、新しい技術に苦手意識を持つ中年社会人が、どうしたらテクノロジーに置いてけぼりにならずに生きていけるか、について考えたい。

※中年社会人は、30後半〜50代くらいを想定


G検定を諦めた私と、諦めなかった工藤さん

ここだけの話、私、先日のG検定の受験を諦めました (´・ω・`) 
つまりこの記事は、私のような立場の方にむけたメッセージだったりする。

非エンジニアの私は、公式ガイドブックに書かれている内容は、ほぼ初見だった。「第5章ディープラーニングの概要」から文字を読んでも理解ができない単語が増え始め、「第6章ディープラーニングの手法」で完全ノックアウト。

すっかりやる気を失った私は、試験直前の一週間、遅めの夏休みで宮古島へ逃避行。もちろん、G検定のガイドブックは東京の自宅に置いたままだ。完全放棄である。

画像2

※写真はそのときのもの

SB−AI部のみんなは、勉強会したり・わからないことを教えてくれたり、とっても親切にあれこれレクチャーしてくれたのに。

本当に本当に、ごめんなさい(涙)

こんな私でも、諦めた後悔はある。

全ての産業でAI化が進むなかで「非エンジニアだから分かりません」では済まされない時代はもうすぐそこまでやって来ている訳だし。
対策を打たないとなあ。なんて考えている矢先、救世主が現れた。

「そういえば、G検定合格しましたよ」
声の主は、同じ部署の工藤さんだ。

工藤さんは、技術の部門で働いているがエンジニアではない。企画や管理業務が中心で、AIに関する基礎知識もほぼない。
そして何より、around50 な先輩である。
さまざまな経験がある大人にもかかわらず、新しい知識を習得するって本当にすごい。

高齢化が進む日本で、
シニア課題が絶えない日本の大企業で、
工藤さんのように、新しい技術を抵抗なく学べるって大事なスキルかもしれない。
新しい技術=エンジニア、だったり、新しい技術=若い世代、と言うバイアスを覆してくれた工藤さんに、私は希望を感じた。

「工藤さん、どうやって勉強したの?」

「マンガですよ。最初はマンガでAIの世界観をつかむのがポイントです」

工藤さん曰く、超初心者が新しい技術を学ぶうえで最初にやるべきは、公式ガイドブックを読むことではない。
その前に、技術の世界観を感覚的につかむことが必要なのだそう。
広く、浅~くでいい。言葉が理解できなくてもいい。こんな感じなんだなという感覚で受け入れること。それには、マンガがちょうどいいみたい。

「その後は、eラーニングで問題を解きまくりました。全ての章の問題を解き終えて、はじめて公式ガイドブックを読みましたよ」

「それだと、問題解くとき知らない言葉で詰まりません……?」

知らない言葉は、わからないけど一旦鵜呑みにするんです。繰り返し説いていくと、次第に慣れますよ」

なるほど。さすが先輩。ご自身の学び方に迷いがない。

救世主 工藤さんが語るポイントは、以下。

1)新しい技術がつくる世界観を感覚でつかむ
2)わからない言葉は理解するより、そのまま呑み込む
3)優先すべきは「読む」より「解く」

公式ガイドブックを読むからはじめて挫折した私的には、かなり納得感のある学び方。
もちろん個人差があるとは思うが、非エンジニアの超素人には、この工藤さん式がマッチするかもしれない。

日本のA I戦略と、A I人材教育戦略とは

さて、ここからは、「AI人材はどう育てるか」という広い視野で考えていく。

政府は、2019/3/2に、有識者提案の発表している。内閣府のHPに掲載されている「AI 戦略 2019」(有識者提案) ~人・産業・地域・政府全てに AI~」である。

今回は、ここで紹介されている「AI人材教育」に注目する。
2025年に向かって、日本のAI人材の育成目標が明らかになった。

AI人材

このスライドのように、リテラシー教育として、高校・高専・大学においては具体的な取り組みがスタートする。目指せ、デジタル社会の「読み・書き・そろばん」である「数理・データサイエンス・AI」基礎知識の獲得だ。

しかし、このスライドには、社会人について書かれていない。
私たち、非エンジニアの中年社会人は、どうやってデータサイエンスやAIリテラシーを身に着けたらいいのだろうか?

国が掲げている、社会人に関する取り組みをピックアップしてみる。
=====================
・ 基礎的 IT リテラシー習得のための職業訓練の推進(2020 年)
・ 社会人の誰もが、女性の社会参加を促進する観点も含め、数理・データサイエンス・AI 教育を 学びたいときに、大学等において履修できる環境を整備(2022 年)
・産学フォーラムや経済団体等の場において、優れた社会人リカレント教育プログラムの事例(女 性の社会参加を促進するプログラムを含む)を共有するなどを通じて、リカレント教育 18の受講 結果の就職、雇用等への活用促進(2019 年)
=====================

ううう……。
悲しいかな、これらを見ても、社会人のデータサイエンスやAIリテラシーが大幅に改善される気がしない。政策を期待していても、きっとリテラシーは身につかなんだろうな(悲)

社会人には、学生のように教育パッケージを与えることは出来ない。つまり、非エンジニアの中年社会人は、自らの意思で新しい技術を習得していかなければ、時代に取り残されてしまうのだ。

なんか、とっても恐ろしい。
人生100年と言われる時代、デジタル社会のリテラシーを身に着けることを諦め、やれる仕事がどんどん減っていくなんて、やっぱり、とっても恐ろしい。


非エンジニアな中年たちよ、諦めるのはまだ早い

そんな超ネガティブな危機感もあるのだが、いまからマインドチェンジをすれば、私たち中年の未来も明るいんじゃないかと思うのだ。

今回、私は、工藤さんの行動と有識者提案の資料から、これからの時代を生き抜く4つのヒントを得た。

1)自分の世界に閉じこもらず、データサイエンスやAIリテラシーが体験できる場に繰り出す
2)新しい技術を食わず嫌いしない(その技術、まずは呑み込み続ける)
3)リテラシーや技術を持っている学生・エンジニアと積極的に関わる
4)新しい技術習得をいとわないシニアにもっと光を当てる(中年にも輝きを!)

そう思うと、私の所属する SB-AI部というコミュニティって、とても良い環境なのかも。
こういったコミュニティに本気で参加する中年社会人たち(つまり私の仲間)が増えていったらいいなあ。
日本全体で取り組もうとしているリテラシー教育の超縮小版を、このコミュニティの中で実現できたら面白そうだ。

私を含む、世の中の非エンジニア社会人たちが、未来を謳歌できるかどうかは、自分自身にかかっている。

どうせだったら、テクノロジーの波に乗りたいよね。非エンジニアの中年社会人たちよ、一緒にがんばろう!


終わり

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?