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ゲームで学ぶ "アドバイスが足を引っぱること"

かれこれ6年ほどやっている、Dota2(ドータツー)というゲームがある。

自分はゲームをしていく中で、コミュニケーションにおける大切なひとつのルールを学んだ。
それは「知識を気軽に教えないこと」だ。

Dota2 はタワーディフェンス風のゲーム

Dota2 のプレイ画面。

Dota2 は MOBA(エムオービーエー、通称モバ)というジャンルのゲームである。
日本では聞き馴染みがないジャンルだと思うので簡単に説明しておくと、タワーディフェンスとアクション RPG を合体したようなものだ。
1試合30~60分のなかでプレイヤーたちは自分が選んだキャラを動かし、お金と経験値を稼いで自軍のタワーを守りながら敵のタワーを打ち落とす。

日本で有名な MOBA のゲームは『League of Legends』(リーグオブレジェンド)があり、Dota2 とともに莫大な賞金をかけた世界大会が開かれている。

そんな"ド e スポーツ"のゲームの中で、自分はゲームに関係のない人との交流方法を学んだのだ。


きっかけは Dota2 の配信の始めたこと

自分が Dota2 を知ったのは、ペルーへ旅行中の時だった。
そこで仲良くなったペルー人からこのゲームのことを教えてもらい、プレイするようになった。

さすが e スポーツとして海外では盛んにプレイされているとあって、ゲーム性が奥深くて難しい。
わからないことが多すぎて1人ではなかなか上達しなかった。
そこで他の人のプレイが見て参考しようと思い立ち、動画や生放送を探し始めた。

1番 Dota2 が盛り上がっていたプラットフォームは Amazon が管轄している Twitch なので、そこで日本人や海外のプレイヤーの操作を見て学びつつ、自分でも時々配信するようになっていった。


配信で起こる意外な"迷惑コメント"

人のプレイを見ていると、つい自分のやり方をコメントしたくなってくるものだ。
それはマウントをする気持ちもあるかもしれないが、何より視聴者が配信者と一緒にプレイしているような気分になって楽しいのである。

特に初心者や中級者がやりがちなこのアドバイスコメント。自分も一時期はやってしまっていた。
まさかこれがものすごく迷惑になるだなんて。
自分も配信側に回ってみて、ひどく痛感するようになった。

指示とアドバイスは同じ?

ゲームの生配信でよく嫌われる行為が"指示"と呼ばれるコメントだ。
配信者に「あれをやれ!」と誘導するものがこの指示コメントと呼ばれるものだが、おそらくアドバイスコメントもこの一部に入る。

「このアイテムを買ったほうがいいよ」とか、「序盤はマナ(技を出すために消費する数値)を節約しよう」とか。
コメントした人は善意の場合が多いのだが、それを聞かされたプレイヤーはやったことのない動きや急な指摘に混乱してしまう。

求めてもいないアドバイスを与えることによって、プレイヤーはその通りの動きをしなくてはいけない気がして、結果的に視聴者に操作される。
自由なプレイを阻害しているのである。

コメントをした人はそんなつもりはないのだけど、指示をしているのと同じ形になってしまうのだ。


いい人ほどアドバイスを与えたがる

視聴者と配信者、両方の経験をして、求められていないアドバイスを与える行為がいかに迷惑かを実感した。
そして人になにかを教えることがとても難しいものだということも。

それは実生活にも言えるのではないだろうか。

自分のやり方で満足しているのに、もっと効率のいいやり方があるからと余計なアドバイスを与えたがる。そんな人が身近にもいないだろうか。
本人は相手のために言っているのだが、実は全然ためになっていないことが本当は多いのではないか。
そう思い至った。

迷惑な"いい人"の例

こんなことがあったのを思い出す。

中米を旅行しているとき、公園で自分の赤ちゃんにコーラを飲ませている現地のお母さんがいた。
それを見た旅行者のアメリカ人が、コーラを与えない方がいい、体に悪いと必死に説得しているのだが、お母さんはニコニコうなずきながらそのままコーラを与え続けていた。

コーラが赤ちゃんに良くないことは確かだ。だがその土地の文化や考え方を汲んでいない旅行者がそこまで口を出していい問題なのか。
この旅行者は、赤ちゃんのことを考えて教えてあげている"いい人"だ。
だが、外から見ている分には、旅行者が自分の考えを押し付けているようにしか見えなかった。

※ちなみにその土地ではきれいな水が手に入りづらいため、コーラの方が安全だと考えられていたらしい。


まとめ:ひとに教えるということ

母親や先生からの余計なアドバイス、友人からの余計なおせっかい。
あなたにも被害を受けた経験はないだろうか。
人の世話を焼きたがる、いわゆる一般的な「いい人」ほどこの傾向がありそうだ。

自分は Dota2 というゲームから、知識を振り回すことの不都合さを知ったのだった。
それでも時々口を出してしまうことがあるので、下手なおせっかいにならないよう気をつけている。
アドバイスを与えたいときでも、本当に困っているときか相手から聞かれるまでは言わないようにしようと思う。

これは逆に言えば、自分から質問しない限り、人からのアドバイスはもらえないということになる。
人からの意見をもらいたいときには、怖がらずに聞くことも大切なのだということも同時に学んだ。

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