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祖父の教え

明治生まれの祖父は、相場師でした。
今でいう株のトレーダーです。
中小企業などにも、お金を貸していたりしていました。
祖父は、当時「兜町の風雲児」と呼ばれた、相場師・佐藤和三郎氏とも一緒に仕事をしたりと、かなり手広くやっていたと聞いています。
その祖父も東京の兜町に会社を構え、遅めに出勤したり、昼には戻ってきたりと、当時幼かった父は、何をしている人なのかわからなかったそうです。
祖母も幼い父には、特に話さなかったそうです。
芸術を好み、よく骨とう品を抱えて帰ってきたり、歌舞伎座の株主だったこともあり、子どもたちを連れて歌舞伎を見に行ったりしていたそうで、
子どもたちには必ず芸事をさせたとか。
たいそう優雅な暮らしをしていたと、伯母らからも懐かしむように話してくれました。

私が4歳の時に鬼籍しているので、どんな人だったのかはあまり覚えていません。さらに数年前に交通事故を頭を打ったことで、少し痴呆症のような症状もあり、言葉を交わした記憶があまりないのですが、思い出すのはいつも抱っこをしてくれたりしていたことです。そして、スティックをもって帽子を被り、三つ揃いのスーツを着ていた写真が飾ってあったことを、記憶しています。

そんな祖父から、父は固く禁じられていたことがあったそうです。
自分がその商売をしていたからでしょうか、「株には絶対に手を出さないこと」と、口を酸っぱく言っていたとのことで、私たち子ども達また父から、
「株には手を出すなとおじいさんが言っていたのだから守りなさい」と、言われ続けてきました。
果たして、それがこの時代において正解なのか気になることでもあります。
日本経済は低迷するし、円は安くなる一方で、周りでは投資の話が頻繁に飛び交う世の中です。
でも、もともと私には不向きなことも知っているので、そこまで口酸っぱく言っていた祖父の言葉が頭を過ってしまい、どうしても始める気になれない。本当は将来の資金面の心配は、もちろんのことながらあるのですが、それでもなぜか手が出ない。
でも、「手が出ない」「つい守ってしまう」ということは、
実際に私には向かないのだと解釈しています。
きっと祖父に別の方法で、不労所得ではなく自分の力で稼ぎなさいと言われているように感じています。
そして、私は日本を愛していて、日本の経済をよくするために何かをしたいと常に考えているので、自分の懐事情のために、今は海外企業の株がいいからとか、そういう風に物事を考えたりできないという、非常に私自身も頭の固い人間です。
祖父も明治の人です。昭和の話です。
今に通用することではないかもしれません。
でも、自分がどっぷりと浸かってきたからこそなのかもしれない。
今もし話せたのなら、どういう理由でそう子どもたちに教えてきたのか、
実際に聞いてみたかったです。
ちなみにホリエモンさんも絶対にやらないとおっしゃっていたのは、なんとなく祖父のやるなということに近い答えなのかもしれないと、自分なりに解釈をしている私です。
人は人。自分は自分。大好きなお爺ちゃんの教えを守っても、豊かに生きる模索をつづけようと心に決めています。

#大切にしている教え

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