見出し画像

④好きな子の名前が言えない〜ある吃音者の悩み〜

【初めての彼女】

最初は、良かったんだ。
中学校に入学してまだ、すぐはね。
すっごく楽しかった!

小学校とはまるで違ってた。
僕のことを全く知らない
違う校区から来た子達も沢山いたし。


僕は積極的に変わった。
部活も本当は苦手な
運動系に入ったし、
クラスでも学級委員になった。

勉強も頑張った。
クラスでも1ケタに
なるように定期テストは
数学以外も勉強した。

合唱の発表会では先生に
言われてピアノの
伴奏を担当した。
女声が多い方がいいからって
男子で弾けるの
あまりいなかったからね。

小学校の僕だったらきっと
断ってた。
きっとできないよって
無理だって、
失敗したくないから、

でもやってみようって
思ったんだ。

ピアノの先生にも
見てもらって、たくさん練習して
そうしてミスなく弾けた!
皆から見直された気がした。
「スゲー!お前ピアノ弾けるんだ」

ってね。

休みの日も部活に励んで、
友達とカラオケに行ったり、
マクドに行ったり、
自転車で海に行ったり、
マジで行動範囲が広がった。

目立つ奴らといつも
いるようにしてたら、
僕も上位の人と見られるように
なった。


嬉しかった。
いつも笑っていた。
吃音なんて気にならなかった。
忘れることは
出来なかったけどね。
だって治ったわけじゃないから。
治ることなんてないんだから、、、


お母さんもそんな
僕を見てホッとしていた
と思う。

中学校に入学する前
とても心配してたから、、、


2学期の終わり頃だったかな?
同じクラスの女子から
告白された。

もちろん初めてのこと。
放課後、部活に行く途中
呼び止められて
サラッと、


その頃
皆色気付きだしていたから
告るのが流行っていた。

好きとかいう感情も
まだよく分かっていない
時期だった、今思えばだけど、、、


その女子のことは
好きでも嫌いでもなかった。

クラスの中では中の下くらいだった。
正直僕は上位だと思っていたから
「えっ?お前が?」
なんて上から目線で見ていた。

でも「彼女あり歴」を作りたかったから しょーじき 誰でも良かったから

OKした。


その子は意外にも
とても嬉しそうに
僕に笑顔を返してきた。

僕は少しドキッとした。


付き合うと言っても
まだスマホも持ってなかったから
学校で話すくらい、

あまりクラスの皆んなに
付き合ってることを
知られたくなかったから

彼女がこっちを見てきても
つい知らん顔したりした。


公文で一緒だったから
帰りに家まで送る時に
話をしたりした。


とても複雑な家庭のようだった。
学校では明るくて
そんな風には見えないのに、、


彼女は色んな話をしてきた。
家庭のこと、クラスのこと、、、
ただ、僕からは本音は決して
言わなかった。
だって僕は彼女とは
違うから、、、

悩みなんかない、
家庭も何の問題もない、
学校も楽しくて、充実していて、
でも「優しい人」を
演じていた。

クリスマスが近づいて来た。
一応付き合ってるんだから
何か考えないと、、、


事件は起こった。
ある日、突然に、、、

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?