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鬼娘と桃太郎のラブストーリー

桃太郎の家に来た理由は桃太郎が奪われた宝物を取り戻すため。しかし、鬼娘は好きになってしまったのです。スパイとしてはあるまじきことですよね。自分の恋心をとるか、スパイとしての職務を全うするか。悩みに悩み、挙句の果て、鬼娘が選んだ道は……。


【#158】20211205

人生は物語。
どうも横山黎です。


作家を目指す大学生が思ったこと、考えたことを物語っていきます。是非、最後まで読んでいってください。


今回は「鬼娘と桃太郎のラブストーリー」というテーマで話していこうと思います。



☆江戸時代に桃太郎part2


前回に引き続き、「江戸時代の桃太郎」のお話です。未読の方は、前回の記事を是非ごらんください。桃太郎ならぬ柿太郎のお話です。めっちゃ面白いです(笑)




さて、今回紹介するのは「桃太郎元服姿」という物語。安永8年(1779年)に刊行された『桃太郎』です。『解体新書』が翻訳された頃らしいです。


これ、どんな物語かというと、鬼退治後の鬼の話。


ご存知の通り、『桃太郎』はお供を引き連れ、鬼ヶ島へ行って、鬼を退治し、宝を持ち去って、ふるさとへ帰ります。その後の鬼の様子は描かれないままです。『桃太郎元服姿』では、鬼の様子が描かれるんですね。


宝を奪われた鬼たちは、どうにか宝を取り戻そうと、桃太郎の元へスパイを送ります。屈強な強き鬼ではなく、かよわい赤鬼の娘です。


鬼娘は桃太郎の家に仕え、タイミングを見計らって桃太郎の家から宝を盗んでやろうと考えていたわけですが、一つ屋根の下、共に暮らしていることもあり、鬼娘、桃太郎に好意を抱きます。


まさにラブストーリーは突然にです。
Love so sweetが流れてきそうです(笑)



しかし、鬼娘は悩みます。

あたりまえですが、鬼娘は鬼です。そして、桃太郎の家に来た理由は桃太郎が奪われた宝物を取り戻すため。しかし、鬼娘は好きになってしまったのです。スパイとしてはあるまじきことですよね。

自分の恋心をとるか、スパイとしての職務を全うするか。
悩みに悩み、挙句の果て、鬼娘が選んだ道は……。




自害。
死んでしまったのです。




何とも悲しい結末ですが、鬼娘の死をきっかけに、桃太郎はそれ以降鬼退治をしなくなったそうです。



でも確かに、江戸時代の恋物語って、報われなければ、自害する、心中するみたいな展開が多いようなイメージがありますよね。そのあたりの文化観も反映させているのかもしれません。



☆鬼の物語には可能性がある。


僕は今、新しい『桃太郎』をnoteで共同制作しようという企画を進めておりまして、最近は『桃太郎』に関する文献を読み漁っています。今回の記事も『桃太郎の研究』という100年くらい前の文献を参考につくりました。


僕が新しい『桃太郎』で追求したいのは「共生」というテーマです。「勧善懲悪」ではなく、「共に生きること」の方が、これからの時代にふさわしいといえるのではないでしょうか。


僕が書きたいのは恋物語じゃないし、自害するという悲劇じゃないし、そもそも後日談であるので、話の流れで参考になることはありませんが、『桃太郎元服姿』では鬼の物語が描かれたことで、普通の『桃太郎』では感じにくかった「鬼」という存在へ意識が向きます。


鬼にも生活があって、文化があります。僕はそこをないがしろにしたくありません。鬼の物語をメインで展開することはしませんが、少なからず鬼にもライトを当てた『桃太郎』を目指したいと思いました。




また、桃太郎が鬼退治して宝を持ち去ったことによって、鬼たちも取り戻そうと躍起になったわけですよね。鬼娘をスパイとして送り出したはいいものの、結局死んでしまった。残された鬼も、桃太郎も、誰も幸せになっていないんですよね。


「勧善懲悪」が、悲劇を生んでしまったということです。


喧嘩でも戦争でもそうですが、奪われたら奪い返そうという心理が働きがちです。しかし、それを繰り返していっても、誰も得をしません。和解するからこそ、共に生きる道を選ぶからこそ、お互いが新しい未来へ進めると考えます。



ということで、今回は「鬼娘と桃太郎のラブストーリー」というテーマで話していきました。



「共生」をテーマに、『桃太郎』を一緒に作り直してみませんか?


興味を持たれた方は、是非、下のマガジンを覗いみてください。


最後まで読んで下さりありがとうございました。
横山黎でした。

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