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へき地医療のリハビリに関する課題と解決策について

はじめに


へき地医療では次のようなことが問題となっています。

  • 医師の高齢化や後継者不足が顕在化しつつある

  • 国立大学の独立法人化、初期臨床研修医制度の義務化などによりへき地医療拠点病院における専門医の不足が深刻になってきている

  • 他職種不足

医師でさえ不足している地域では、
十分にリハビリテーションを受けることができません。

その結果、肩が痛い人で運動両方で改善する見込みがあっても、
痛み止めを処方してもらうのみという方もいます。

この記事では
へき地とはどのようなところか、
どのような問題があって、
どのような解決策があるのか

についてご紹介します。


へき地とはどのようなところか


厚生労働省*1によると

へき地保健医療対策における「へき地」とは

交通条件及び自然的、経済的、社会的条件に恵まれない山間地、離島その他の地域のうち医療の確保が困難であって、「無医地区」及び「無医地区に準じる地区」の要件に該当する地域
※ 「無医地区」及び「無医地区に準じる地区」を要する都道府県は、千葉県、東京、神奈川県、大阪府を除く43県

とされています。

また、似たようなことばで「過疎地域」があります。

過疎地域に指定されている自治体は、2021年4月時点で全国47都道府県の計820市町村です。
過疎地域は、全国1718市町村のうち885となり、昭和45年の「過疎法」施行以来初めて半数を超えました。
過疎地域の人口は全国の9.3%を占めるに過ぎませんが、市町村数では半数近く、面積では国土の約6割を占めています*2。

へき地は医師がいない・少ないところ
過疎地域は人が少ないところ
医療の側面からいうと、
どちらも抱えている問題は近しいところがあります。


へきち医療の問題


冒頭でも述べましたが、
医師が少ない地域はリハビリの専門家も少なく
解決できるのに解決されない問題が残り
障害のある方が生きづらくなっている
ことが予想されます。

例えば、若くして脳卒中となり、
仕事に復帰しなければならないのに、
病院を退院した時には外を歩いておらず、
電車の乗り方や復職に向けて必要な準備がわからないまま
となっていることもあります。

また、高齢者においても、膝の手術をしたあと家の中は何とか歩けるようになっても買い物や銀行などに行くことができず、お風呂も浴槽に浸かることができなくてシャワーで我慢する、
その結果、人との交流や運動の機会が少なくなり要介護状態になりやすくなる、悪化するなどの影響も起こしかねません。

その他にもへき地医療の問題には

  • 医師の高齢化や後継者不足

  • へき地医療拠点病院における専門医の不足が深刻になってきている

などがあります。

専門医がいないこと、高齢化して後継者がいないことで、
リハビリの専門家などの他職種の不足やいたとしても活用されていないことが深刻な問題
となります。


解決策としての遠隔リハビリテーション


専門医がいないこと、高齢化して後継者がいないことで、
リハビリの専門家などの他職種の不足やいたとしても活用されていない
という問題を解決するひとつの手段が、

遠隔リハビリテーションです。

遠隔リハビリテーションは、
テレビ電話や電話などで理学療法士などのリハビリの専門家と繋がり、
自身の健康状態を相談することで、
療法士が今の状態での課題を整理して目標を立て
目標達成のための運動療法や福祉用具の提案、家での過ごし方などを行います。


脳卒中で復職を目指したい方には、
・自宅でできる運動メニュー、ストレッチの方法
・どのくらいの体力をどのようにつけていったらいいか
・装具や杖は今のもので大丈夫なのか
・会社には何を確認したらいいか

などをお伝えして、復職に向けて伴走します。

膝の手術後の高齢者には
・痛みがでないようにするための体操
・安全な動き方の練習
・シルバーカーや杖を使った方が良いか
・無理をせずに活動範囲を広げるにはどうしたらいいか

などをお伝えして、
要介護状態を予防していきいきと過ごせる生活を共に目指します。

このように、
へき地でこそ遠隔リハビリテーションを活用いただきたい

リハビリの専門家として、
遠隔リハビリテーションを通して
少ない資源であっても
障害者や高齢者が安心して過ごせる地域づくりに
貢献できたらなあと思います。


参考

*1:厚生労働省.へき地医療の現状と課題
https://www.soumu.go.jp/main_content/000513101.pdf

*2:総務省.令和2年度版 過疎対策の現状.https://www.soumu.go.jp/main_content/000807029.pdf


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