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妖怪大戦争#2


前回からの続きです。
まだの方は先にそちらをお読みください。

妖怪大戦争#1




◆買い付け




木村さんは買う気はあるが不安が拭えない感じだ。
まあそうなるわなw

「木村さん。ちょっと無茶な条件も一緒に買い付けに盛り込んじゃいませんか?口頭でオッケーもらうよりは買い付け申込書に書いて書面で出す方が確実ですし。無理なら無理で手を引きましょうwあと、契約になりそうなら私の方で徹底して調査して重説作りますから」
「金城さんのいう通りですね。ではとりあえず思いつく限りの条件をピックしてみます。金額はいい感じなんだけどね~w」


後日届いた木村さんからの買い付け条件はこうだ。

・金額は更に200万円減額希望
・後ろの排水管を継続使用するための承諾をもらうこと
・水道が引き込まれていない場合は売主負担で水道引き込みをしてもらうこと
・契約前に現況併合図を見せてもらいたい
etc・・・

基本的に真っ当なことしか書いていないけど、流石に断られるんじゃ無いだろうかw
真っ当な事が通じる感じの業者さんじゃないしwww


まぁ、ダメ元でもあるし、これくらいきつめの条件にしておかないと安全性を担保できないか。
俺でもあの物件を買うとしたら最低限これくらいの条件は付けるしな。

とりあえず買い付けゲット♪ということで

さて、田中商事のメアドは。。。と。

名刺にはメアドの記載がない。

うん。想定内。

検索。。。

あれ?HPもない。
うん。想定内。



トゥルルルー・トゥルルルー・トゥルルルー・・・

「はい、田中です」
「あ!田中さん!先日のお客様から申し込みいただきました!買い付け送りたいのでメアド教えていただけますか?」
「あ~メールはアレだからFAXで貰える?」

出た!伝統様式FAXのみの受付!めんどwww
メールはアレって何だよw

まあ想定内かwww



ピぽパぽピ・・・
ピ~~~ヒョロローーー・・・





トゥルルーーー・トゥルルーーー・トゥルルーーー・・・

「あ〜金城さん?FAX見ました。じつはね、水道とかの事なんですけどまだ調べていないんですよ。買い付け入ると思わなかったもんで・・・『ゴニョゴニョ…』『え?うん。わかった。呼べばいいのね』・・・とりあえず来週ウチまで来てもらえます?」


ん?
待て待て、言いたいことがたくさんある。
水道とかの調査ができていない?え?あれから三日経ったよ?水道局で図面見ればすぐじゃん?買い付け入ると思わなかった?だからって調査しないの?別の人が来てもどのみち調査は必要よ?
あと何で呼び出すの?電話ではダメなの?FAXも送ったのに?わざわざそっちに行く理由は?遠いよ?
来週?今日月曜だけどこんな調査で一週間もかかるの?まじで??



なんなら厳しい条件だからって断ってくれてもいいのにw
こんなにズボラな元付けの案件に客付けするの怖いしwww


半分やる気が無くなっているのに遠くまで呼び出されるとか嫌だな~~~w

でもまあ乗り掛かった舟だし、木村さんも動かしちゃったし、ここで俺が下りるわけにはいかないかw


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@REGATE5

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◆うちのシンボル



翌週。


約束通りの場所に着くとトタン屋根のプレハブ小屋に錆びた看板が掲げられている。これが田中商事の事務所か。。。着工中にショートして現場が止まってしまった現場事務所を彷彿とさせる。。。
入り口には四隅のセロテープの部分だけ白く残った黄ばんだ物件情報が貼られてる。年季を感じるマイソクだ。正に地場という感じ。
入り口のガラスにこれがずっと貼られているってことは事務所の建て替え中で仮設というわけでもなさそうだ。



これ、新規の顧客って飛び込んでこないだろうな~・・・いや、新規顧客を拒むために敢えてこうしているのか?w


「こんにちは~。」

プレハブの室内はタバコのにおいと華麗。。。加齢臭が充満している。

「あ~いらっしゃい。そこ座って。おい。コーヒー淹れてあげて」

どうやら妖怪社長が応対するらしい。
あの息子部長では心もとないからまあいいか。
息子はヤカンに水道水を直接入れてガスコンロにかける。
おい。客に出すコーヒーを水道水で。。。

妖怪にヤニで黒くなったソファに着席を促される。
はぁ・・・スーツ買ったばかりなのに・・・

茶渋だらけのカップに入ったコーヒーを出される。
横についているミルクの消費期限が3年前の印字だ。。。

そっと横によけてっと。。。

オーナーさんの家で出されるなら何でも飲むし食べるけど、業者のとこだからガン無視でいいでしょw


早く帰りたいからすぐに本題に入る雰囲気を醸し出すと妖怪が切り出す。

「あ~あのね。私が確かに1000万下げるとは言ったけど更に200万円?これはなんでね?」
「はい。今後収益物件として利用予定らしくて利回り計算でこうなったらしいです。やっぱり厳しいですか?」
「いや。前にも言ったけどこのオーナーは私が言えば何でも聞いてくれるから大丈夫だけどね~。」

厳しいならすぐに断ってもらってもいいんだがw
てか大丈夫なら別にいいじゃんw聞くなよw

「あと、水道は横の敷地から通っていたよ。ちゃんと今まで使えているからこれでいいんじゃないか?」

いやダメだろ!www

「え?横って他人地ですよね?ちゃんと前面の公道から引っ張ってもらわないと、後ろの排水も・・・」
「あ~そう?こんなに細かい人初めてだな~。まあ大丈夫だけどね。うちのシンボルとしてはね~オーナーさんに何でもかんでもお願いするって言うのはね~減額幅も大きいしね~」
「厳しいんだったら買主さんに伝えてみますよ。多分、水道の引き直しが難しいなら手を引く気もしますけど」

というかもう俺が手を引きたいw

「あ~そういう事ならどうにかオーナーさんにお願いするから。ウチもそろそろこの物件を決めたいからね~。あ~後、契約前に測量図面って何?通常は契約後引き渡しまでの間に測量って言うのが当たり前さ~ね」

いやそろそろ決めたい人の態度や調査じゃないっしょw

「いや、擁壁とかのポイントがずれているのが目視できたんで、買主さんも越境している物件を買うのはリスクって仰っているんですよ。ズレていたとしても隣地との協議書とかあるなら話は別ですよ。協議書とか合意書って交わしています?」
「そんなの無いよ。周りは全部知り合いだしね~契約するかしないかもわからんし。言いたいことは分かるけどね~。ウチとしては契約前に測量って言うのはな~。これもお金かかるしな~。オーナーさんの負担ばかり大きいとね~ウチのシンボルがね~」

いやいや。まず当初の価格設定がダメだから売れ残っていたし、1200万下がってやっとテーブルに乗るじゃん?
水道も他人地経由ってわかったらふつうは是正するっしょwそのままでいいわけないしwww
あと、明らかに擁壁と境界がズレているのに併合図も合意書も無しで買えるわけないじゃん?

あとねさっきから気になっているけどシンボル?何のシンボルの話?

「いや~社長。出来ないなら出来ないで断ってもらってもいいですよ?ちゃんと調査も整備もできていない物件を私のお客様に買ってもらうわけにはいきませんし」
「いや。そういう事じゃないよ。大丈夫。ちゃんとオーナーには話すけどね~。私の責任で説得はするよ。そのために顔を合わせてこうやって時間作っているわけだしね~。これは僕のシンボルでねぇ〜」

・・・ポリシーな。

その言い方だとお前のち〇この事みたいに聞こえるぞ。。。
あと、わざわざ呼び出しといて何なのこの中身の無い会話www
もう帰りたい・・・


「あ~あとこの前の案内の時も言っていたけど、後ろの排水菅?あれは何を気にしているの?そのまま使えばいいさ」
「いやいやw後ろも他人地ですよね?現状容認は最悪いいけど、その人からも通行掘削とかの是正と許可を貰わないと」
「あ~わかったわかった。細かい人だね~一応周りの土地の人も私の知り合いだからね~だから問題ないはずよ?大丈夫だと思うんだけどね~。このままでいいんじゃない?」
「いや、知り合いで問題ないなら尚更合意書とか協議書貰ってくださいよw」
「え~面ど・・・う~ん。まあ、それが条件なら仕方ないか~」

おい。今メンドクサイって言おうとしたろ?
あと、条件というより普通は売り出し前に調査して整備している項目だからなw
マジでよく今まで生き残って(11)までいったなw

「あ~そうそう。この後ろの人はね~昔から苦労人でね~
あの頃は大変だったよ〜。街中どこもかしこも火の車で・・・・」

ん?火の車?…焼け野原の事か?
てかなんか油断していたら昔ばなしに火が付いたじゃんw

適当に相槌を打つがなかなか話がきれないw


「・・・最近のブームメントに乗らんとねぇ」

・・・ムーブメントな。


ちょいちょい言い間違いをする老害の長話。
話題を切ろうとするとそのワードに食いついてまた違う武勇伝や思い出話に火がつくの繰り返し・・・


コマンド

たたかう
呪文
どうぐ
▶にげる

ゆうしゃたちはにげられなかった。
まじんはしゃべりつづける。


コレばかり・・・


全く話に入ってこない息子部長はずっとPCをいじってる。。。
いい加減に帰らせてくれ・・・



◆再び



「じゃあ、諸々の条件をオーナーさんと話してからまた連絡するから」

2時間くらいしてようやく妖怪の話は終わった。。。

結局のところ買い付けの内容を目視確認して妖怪の昔ばなしと言い間違いに付き合わされただけだった。

電話で5分で済んだのに・・・


それから数日が経過して携帯が鳴る。
着信画面は「田中商事」


「あ~金城さん?今日は時間ある?ウチに来れます?」

・・・いや、なんで呼び出すの?時間あるけど行きたくないw

「すみません!今日は立て込んでいて、時間が取れないんですけど・・・」
「『今日は忙しいって』『ゴニョゴニョ・・・』・・・じゃあ明日とか明後日はどうですか?買い付けの交渉の件なんですけど」

明日も明後日も行きたくないwww
でも呼び出すってことは前に進んだってことかな?

「明日も明後日もちょっと調整しないと。。。電話ではダメですかね?」
「『電話ではダメか?って』『ゴニョゴニョ・・・』…交渉ごとの大事な内容だから顔を合わせて話がしたいみたいです。」


チ・・・めんどくせぇな・・・

「では明日午後にお伺いします。13時でいかがですか?」
「『明日午後って』『ゴニョゴニョ・・・』・・・明日の午後だったら15時でお願いできますか?」

午後イチで早く終わらせたいのにwww
仕方ない。

「では明日15時に」

ふぅ・・・電話では無理って何だよw
話が進んだか、オーナーさんから断られたかの二択じゃんw



◆向こうから来る案件は



翌日またヤニソファに座ると妖怪が切り出す。

「いや~オーナーさんに話したんだけどね?色々条件がキツイっていうからさ。間を取って減額は400万円でどうか?って言われてね~。どうね?他の条件はこっちでどうにかするからさ~」



その瞬間、妖怪の声が聞こえなくなって視界が真っ黒になる・・・



・・・いや、そもそものスタートが1000万下げるってお前が言い出したから交渉したんであってそもそも400万しか下げないとか意味わからんし間を取ってって言うけど何の間取ったかもわからんし水道とか越境とか諸々の事も普通なら売り出す前にお前のとこで確認して整備して売りモンにするべきだしていうか何で今日もこんな時間に呼び出したのかもわからんしてことは何か俺は全く関係なかったのにお前らから物件を押し付けられて木村さんと一緒に踊らされて何回も呼び出されて〇?"O◎×$'%△◆◇・・・・



コマンド

たたかう
▶呪文
どうぐ
にげる


▶メガンテ

このあんけんはしょうめつした。




最後に。

私は地場二桁の業者さんを馬鹿にするつもりはありません。
まじリスペクトっす!


最後までお読みいただきありがとうございました。
皆さんご唱和ください

「向こうから来る案件はクソ!」

では~




沖縄の不動産という独特な世界に迷い込んでいます!明るい外の世界の事は忘れました!これからも深海をはいずります!