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【エッセイ】肩書きに苦しめられ肩書きに縋る、という話。


何者かになりたい。

そんな思いに駆られた事はあるだろうか。

私にはある。

理想とする人物に憧れ、自分も同じように輝く姿を思い描いていた。

時にその憧れは人生を豊かにする原動力となる、しかし
人は何かを得るために常に何かを犠牲にする。
その先にあらゆる肩書きを背負うのだ。

ある時、そんな肩書きが、
不意に酷く煩わしいものへと変わる。

いつの間にか人の目ばかり気にしている自分に気づくのだ。
肩書きという箱の中に自分を押し込めて、見られ方ばかりを気にする、
そんな臆病者になっていたのである。

たとえ理想を目指していても、
一度きりの人生、寄り道をしたっていい筈だ、
道を逸れてもまた戻ればいい。実際、昔はそれが出来ていた。

いつしか私は年齢を言い訳にして、
肩書きの陰に隠れるようになっていたのだ。

そんな時に私は、
名前を変え、どこか別の場所へ行く、
無理矢理道を逸れるために、である。

名前を変えても
それまでの自分と完全に切り離せるわけではない。
切り離したいわけでもない。
結局元の人格は一つ、名前が2つあるだけ。
人は別の人間にはなれないのだ。

そもそも、どんなに重く煩わしかろうが
人生をかけて手に入れた名刺は持っていたい、
というのが本音である。

歌を垂れ流すために始めたnoteで、
仕事で漫画を描いている、
なんて書く理由は

ただ何者かでありたいという、
肩書きに縋っているだけなのだ。

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