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高校無機化学#1(17族)~ハロゲン単体①~

では、高校無機化学を理解していこう。できるだけ、理解。暗記するものは整理して、をモットーに。まずは、非金属から。

ハロゲンは周期表の右側に位置する。従って、ハロゲン元素に共通する性質として、「電気陰性度が大きい」ということが挙げられる。この性質に基づいて起こる反応を理解することが、ハロゲン単体のポイントである。

ハロゲン単体の性質

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性質に関しては上表を参考にしてほしい。

まず、融点、沸点について。一般的に、ファンデルワールス力は、分子量が大きいほど、また分子の表面積が大きいほど大きくなる。ハロゲン単体に関しては、分子量がフッ素>塩素>臭素>ヨウ素であるため、この順にファンデルワールス力も大きくなり、融点、沸点も高くなる。

次に、状態について。特に、重要なのは、臭素が液体であるということである。重要な理由は、「常温で液体の単体は、臭素と水銀のみ」だからだ。

色は暗記。目で見て、声に出して覚えると良いと思う。ここでもう一つ。有色の気体は、フッ素:淡黄色、塩素:黄緑色、オゾン:淡青色、二酸化窒素:赤褐色の4つのみである。ここで覚えておこう。

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最後に、酸化力について。一般に、電気陰性度は同族では周期表の上の元素の方が大きい。(#0 電気陰性度)したがって、ハロゲン元素の電気陰性度はフッ素>塩素>臭素>ヨウ素となる。したがって、単体の酸化力、すなわち電子を引き付ける強さも、その元素の電気陰性度と同じ傾向を持つため、フッ素>塩素>臭素>ヨウ素となる。

フッ素

フッ素は全元素の中で最も電気陰性度が大きく、(#0 電気陰性度)そのため、フッ素単体は最強の酸化剤である。そのため、猛毒気体であり、製法は存在しない。

(反応)

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フッ素が起こす反応で教科書に載っているのは、上の2つ。

まず、1つ目の反応(水との反応)から説明しよう。左辺のフッ素の酸化数は0、水分子中の酸素の酸化数は-2である。一方、右辺のフッ化水素分子中のフッ素の酸化数は-1、酸素の酸化数は0である。つまり、「フッ素原子が酸素原子から、電子を奪った。」ということだ。有名元素の電気陰性度の大小関係は、F>O>Cl>N>C>Hであるので、酸素の電気陰性度は大きいのだが、それ以上にフッ素の電気陰性度が大きいために起こる反応だ。

2つ目の反応。電気陰性度がF>Hなので、この反応も、もちろん起こる。冷暗所(エネルギーを加えない)でも激しく反応する。

両反応とも、酸化還元反応であるが、半反応式に分けるよりも、酸化数の関係を理解しておくほうが、反応式を書きやすいであろう。

塩素

塩素も酸化力が大きく有毒気体ではあるが、フッ素ほどではないので製法がある。そのまえに、塩素単体が引き起こす反応について。

(反応)

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まず、1つ目の反応(水との反応)から。電気陰性度の大小関係はO>Clなので、フッ素のように水分子の酸素原子から完全に電子を奪うことはない。ここで、両辺の塩素原子の酸化数を見てみよう。左辺の塩素分子中の塩素の酸化数は0、右辺の塩化水素分子中の塩素の酸化数は-1、次亜塩素酸分子中の塩素の酸化数は+1である。すなわち、塩素原子間で酸化還元反応が起こっている。このように、同一物質が酸化剤としても、還元剤としても働く反応自己酸化還元反応といい、高校無機化学で絶対に覚えておく必要があるのは、5つである。自己酸化還元反応は同一物質間での反応なので基本的に半反応式に分けて考えることが出来ない。したがって、暗記である。記念すべき1つ目がここで登場した。

次に、2つ目の反応について。これはあまり重要ではないが、日常生活でよく見る「混ぜるな危険」反応である。

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反応式の作り方は以上の通り。まず塩素系漂白剤(NaClOを含む)が酸性漂白剤(HCl)と混ざると、弱酸遊離反応により、(1)が進行する。この反応で生じたHClOと未反応のHClが先ほど出てきた自己酸化還元反応(2)を起こして、有毒気体である塩素が発生してしまう。したがって、「混ぜるな危険」なのだ。

では、次に塩素の製法について見ていこう。

(製法)

スクリーンショット (2)

塩素の製法はうえの①~④の4通り。この記事では①と②を考えよう。

①さらし粉に塩酸

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まず、さらし粉CaCl(ClO)・H2Oに塩酸を加えると、弱酸遊離反応によって(3)が進行する。(酸の強さは、HCl>HClOである。)次に、この反応によって生じるHClOと未反応のHClが前述のとおり、自己酸化還元反応により、(4)が進行する。この2つの反応式を足し合わせればよい。

②高度さらし粉に塩酸

高度さらし粉Ca(ClO)2・2H2Oに塩酸を加える反応の仕組みは①と全く同じである。下の画像で確認してほしい。

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次回は③、④の反応について考えていこう。では、さよなら。



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