見出し画像

40代、人生の正午に男性育休を取得する(その2”反応”)

長期の育休を取得する思いに至り、人事の自己申告で育休に言及し始めたのは、実際に取得する3年前。「取れたらいいな」とは考えつつも、当時は子供ができる予定はなし。

マネージャーの育休は男女問わず前代未聞の組織。

育休取得の意向を周囲に伝え始めてから、様々な反応に一喜一憂して、そして、そもそも20年弱の社会人生活の中で初めて仕事から長期間離れる機会。どんな行動と感情の変遷を経て育休に突入していったのかをほどいていきます。

「ぜひ取って!」×2

育休取得の3年前、恐る恐る自己申告に書いた言葉は、「次に子供ができた際は、長期の育休取得を検討中」。
その申告を踏まえた直属上司との面談での反応は、「ぜひ取って!」という励まし。当時の上司は女性で2回の育休経験あり。D&Iを自身のミッションとするだけあって、無条件で応援いただいたように受け取った。

それから2年、男性上司に変わり、今度は子どもを授かったことが判明した直後に、意向(確定ではなく)を伝える。
上司は、率直に驚き、そして、「ぜひ取って!」。
このお二人の無条件の肯定的態度に、ぼんやりと考えていた育休取得は、どんどん意志として固まっていく。

意志は、必ずしも自分一人で高めるものではない。周囲との関係性が私個人の意志を形作るのにも不可欠なものであることに気づかされた。

男性育休に反応できる人・できない人

その後、他の上司にはもちろん、かねてより師と仰ぐ親しい方々には内々にお伝えして、師匠の皆様からは、驚きはあるものの、軒並み応援をいただいた。
そして、休業の情報が組織内でオープンになってからは、周囲の反応は大きく二分された。それは、、

「惜しみない応援」と「無反応」

応援していただいた方については、①人事マネージャーが育休を取ることで組織変化の芽を感じ取る方、②法改正を含め社会動静を踏まえてタイミングの良さを称賛する方、③私個人の面白人生を期待する方、などなど。
いずれにしても、応援いただくたびに、大きな勇気をもらい、充実した育休を送る意志が固められていくのを感じた。

一方の無反応。良好な関係のもと仕事をさせていただいていたにもかかわらず、どこかよそよそしい雰囲気。その背景こそ、様々な理由や思いがあるのだと推測するけれど、私は、その多くが、「経験がないから反応できない」が率直なところのような印象を受けた。つまりは、「どう反応していいかわからない」。
人は初めて直面する環境に対し反応が鈍くなり、まして、職場という適切性が求められる場面において適切な反応をと考えると、余計に反応に躊躇する時間は長くなる。

職場の空気を変えるもの

愛の反対は憎しみではなく無関心(マザー・テレサ)。無反応は無関心の表明に似ている。
そして当然、無反応は空気を悪くする。無反応の原因を作った自身の行動(育休)を責めたくもなる。だったら行動(育休)を取らない方がマシという選択を取りたくなるのも分かる。
けれど、経験を繰り返すことでしか、反応は磨かれることはない。そんなジレンマが、そこにはある気がした。

各種調査では「育休を取りやすい雰囲気・空気がないこと」が、従業員の育休を申し出る障壁として上位に来る。育休を取得したいけど、空気がそれを許さないという、どこか他人事な受け止め。
職場の空気を作るのは、自身を含めたその場にいるメンバー。空気を変えたければ、自身が動き出すのが一番手っ取り早い。
まして、自分の人生にかかわる決断。そこに導く意志を育むために、惜しむ労力などないだろう。

上司であれ、ベテラン社員であれ、いつでも初めての経験はあり得る。そこに抵抗の大小はあれど、経験を繰り返し、反応を磨くことでしか、新しい組織の雰囲気や空気は醸成されない。
組織に新しい経験を提供するのは、若手も、下っ端も関係ない。いつだって変えたいと思った人から動けばいい。
そんな組織内の変化への柔軟性が、ひいては、環境変化への組織としての適応力に繋がる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?