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僕は中学最後の試合に出なかった。

中3の夏、今でもはっきり覚えている。

監督から最後の夏の試合、後半残り5分。
1点差でうちのチームが負けている。
当時の自分はあまり部活に乗り気ではなく勝っても負けてもあまり興味がなかった。

監督から
「〇〇、行けるか」

最後の思い出試合として出すつもりだったのだろう。
監督は厳しくも良い人だった。
怪我の多かった自分をよく試合に使ってくれて、試合で失敗しても根気よく使ってくれたと思う。

だけど僕は
「足の怪我が治っていないのでちょっと...」

嘘だ。

こうして僕の中学の部活は終わった。
出なくて本当にホッとした。
むしろ開放感でワクワクしていたぐらいだ。
帰ったら何をしよう。いっぱいゲームして漫画を読んでダラダラしよう。
高校受験を控えていたが今は忘れよう。

家路に着くと明日から部活に行かなくていい。
嬉しさが込み上げて来てニヤニヤが止まらない。

僕が最後の試合に出なかったのは
部活の同級生が好きではなかったからだ。

練習の度に、失敗するといつも高圧的な態度で言われていたからだ。
それは僕だけではなかった。
補欠のメンバーに対してのみ行われることだった。
接触プレーをいいことに怪我をさせられたこともある。

スタメンメンバーのご機嫌伺いしながらの部活なんて面白くない。
何か失敗する度、言われるから練習にも全く身が入らない。
そのせいで上手くなろうとする気力もなかった。
苦しかったがしょうがない。

上手い奴が偉いんだから。

むしろ最後の試合に出て、自分のミスでまた、色々言われるのはごめんだ。
自分以外全員嫌いだった。

今、思えば良い思い出とは絶対言わないが当時の記憶が薄れるぐらい楽しい人生を送れている。
友達も増え、今でも連絡を取り続けている友人もいる。

今更ながら自分にこう言いたい。

よく耐え切った。



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