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募集要項のメッセージ、期待。そして結果としての成長。

れどぺん!志望理由書メンター(@RedpenKouko)です。
日曜日はのんびりといきましょう。

6月15日の京都大学特色入試からスタートして、昨日で22記事、19大学の学生募集要項を取り上げました。

これまでは、教え子たちが志望する大学・学部だけしか募集要項を確認してきませんでしたが、改めてフラットな視点から募集要項を眺めていくと

募集要項は学校からのメッセージ

特に総合型選抜は”育てる”入試

ということに気付かされます。

立地も経済力も学生数も偏差値も関係なく、学校が知りたいことはやっぱりシンプルでした。

「学生」へのやや厳しい評価(これまで)

 改めて、小学校は「児童」、中学校・高等学校は「生徒」、それ以上は「学生」となります。

 まぁ細かいことかと思いますが、名が違うということは状態も求められることも異なると考えると良いでしょう。

 高校までは検定教科書が用いられているように、文科省の学習指導要領によって学習内容が決められており、全国どこにいても大事なことは同じように学べるシステムとなっています。一方の大学・短大・専門学校は、自らの意志で進学し、より高度な専門教育を学ぶ場となっています。

 近年は大学進学率も50%を超えるなか、大学が「学校化」していると指摘する記事(私学高等教育研究所「アルカディア学報」591号 2016.05.25)もあります。

 たしかに、近年の学生は大変真面目です。先達の「私の大学時代は云々…」という武勇伝は別の世界線の話で、全く別の場だと思っていただくのが良いでしょう。

 また、8年前の2014年の調査では、総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜(旧推薦入試)で入学した学生たちへの大学からの風当たり(印象)は少々厳しいものがありました(リンク先は以下)。

子どもたちの「主体性」を取り巻く環境の変化

 すでにAO入試が注目されるようになって20年以上経っていますが、次第にその内容も洗練されて高度化してきています。

 その意味でも「学生の差」が広がっている可能性があります(おそらくすでに調査されていると思います)。

 ここで言う「学生の差」とは、ポジティブに「高校生の大学生化が進んでいる」という意味です。

 ここからは妄想ですが、日本が長らく「失われ」ている間に、大学院進学者が増え、就職先として中等教育を選択する方々が増加したはずです。ゴリゴリと研究してきた知識と経験をあわせ持ち、目の前の生徒たちの進路相談に乗る。大学が求めていること、大学で学ぶとは何かを骨の髄まで味わった人が身近にいる環境は、高校生たちにとってダイレクトな刺激となります。

 当然、研究続行中の先生もいらっしゃり、最新の研究動向やアカデミアとのコネクションなど教員が橋渡しをして「大学での学びに触れる時間や場所」が増えていった傾向にある、と私は思っています。

 当然、「主体的で対話的で深い学び」など文科省の審議の内容が話題になって追い風となり、より自分の興味関心を大学の学びと結びつけて考えられる〈チャンス〉が拡大してきたとも言えます。

 高校生向けのコンテストやイベントが山ほど主催され、情報さえ知るチャンスがあれば、日本全国どこにいても国際的な舞台へのチャレンジが可能になっています。さらに、未成年向けの才能発掘財団も増えています。

 このような流れから、子どもたちはどんどん周囲の助けを借りながら「自己の興味・関心を行動に移す」ようになってきています。

学生募集要項に見る総合型・学校推薦型選抜の期待

 このような経験を積んだ高校生たちが、入試の門を叩いてきたら、先生方も大喜びです。

 大学教員の目が肥えてきたことは間違いありません。何年も入試を行なってきて、受験生に対する評価軸も、期待することも定まって洗練されてきたことでしょう。

 募集要項を見ていると、「こういう人に志願してもらいたいです」というメッセージが滲み出ています。

 あえて一般入試だけでなく、時間も手間もかかる総合型選抜、学校推薦型選抜を行う理由は、多様な学生や早期の入学者獲得など目的は様々でしょうが、合格を出した志願者たちの「入学後の活躍」を期待してのことでしょう。

 だからこそ入学後を強くイメージさせる内容の文章を書かせるという面倒な出願書類を課すのです。

結局、総合型・学校推薦型選抜って育成入試

 募集人員は限られますが、総合型選抜や学校推薦型選抜は、学校側も手数が多いです。

 書類を課し、審査し、小論文や学科試験などを行い、面接も行う(土日祝に!)。しかもまだ多くの学校が学期途中に入試を行うのです。

 しかし、このハードルを超えてくることで、志願者が大幅に成長することもまた事実です。

 特に、総合型選抜ではどのような学校でも志願者の成長を願う気持ちが込められています。

 また、志願者にとっても合否にかかわらず、自らの挑戦を誇らしく思う人が多いのも事実です。(一般入試はただの点数と合否だけなので、味気ないものです)

 応援する担任や塾は、とーーーーーっても大変なのですが、それでも子どもたちの成長を願わないわけないので、多くの受験生が入試を通した成長の機会を得られれば、と私は期待するのでした。


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