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中日はA.マルティネスをどう使うべきか

0.はじめに

いよいよ明日開幕を迎えるプロ野球ですが、今シーズンは過密日程ということもあり、一軍選手登録枠増が決定、更に外国人枠を4→5人に増やす案も昨日正式に決まりました。
外国人枠増となれば、当然それが有利に働く球団と不利に働く球団が出てきます。
中日ドラゴンズの支配下枠の外国人選手は、ロメロ、R.マルティネス、ゴンサレス、ビシエド、アルモンテ、シエラの6名。
ロメロは怪我により今季絶望が決定し、シエラはポジションの関係からスタメンでの出場は難しく、実戦でアピールしきれなかった為二軍スタート。
現状中日は外国人枠増を活かしきれない「不利な球団」となってしまう可能性が高いです。

外国人選手の途中補強についての話もなく、暫くは不利な状況に立たされてしまう可能性の高い中日ですが、この不利な状況を一気にチャンスに変えられる力を持った選手がいます。
それがNPBでは珍しい外国人捕手のアリエル・マルティネスです。
今年1月、A.マルティネス捕手についてこちらのnoteを書きました。
https://note.com/redmiso/n/n4a3e647ff43a

このnoteで今季の目標に挙げた「打球角度を上げて長打を増やす」「二軍レベルで無双する」を現在の練習試合でクリアしており、アリエルを支配下にという声が強まってきています。
上記のnoteやTwitterでも何度か触れてきましたが、今回のnoteではこのA.マルティネス捕手の進化、そして支配下登録を掴んで一軍の試合に出る時、どのポジションや打順で使うのが最適かについて個人的な考えを書いていきます。



1.A.マルティネスが見せた「進化」

まずはA.マルティネス捕手の打撃の変化について昨シーズンまでの二軍、オフのキューバリーグ、今季の二軍練習試合の成績や映像を見比べてチェックしていきます。

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一年目0本塁打 OPS.605だった男が二年目に長打を打てる打者へと変貌を遂げ、今年キューバのプレーオフでは打率.486、そして二軍練習試合では13打数で7長打 2本塁打!
簡易な成績だけ見ても遥かにパワーアップしていることがわかります。
一年目から二年目の二軍成績の進化の要因に挙げられるのがゴロの減少とフライの増加で、GO/AO(ゴロアウト/フライアウト比率)を見るとその差は一目瞭然ですね。
また四球率、三振率を見てもわかるようにコンタクト面も改善され、打者として大きな進化を遂げた一年となりました。
この一年間での進化も凄いのですが、今回注目したいのはその後の半年間。

キューバリーグで覚醒したと思って喜んでいたら、そこから二軍練習試合にかけての打撃の変化が更に衝撃的でした。
キューバでは膝を曲げたアレックス・ゲレーロのような打撃フォームから時には長打を放ち、基本的には大舞台に合わせたコンタクト寄りの打撃で高打率をマーク。
故障で離脱するまで打出の小槌のように全試合で安打を量産していました。

https://twitter.com/akamiso97/status/1219920699382329344?s=21

ただ、この時までは内角のボールを引っ張り切れないことが多く、外角の球を合わせて逆方向へというヒットが半分以上を占めていたので、来季以降二軍で率は残せてもホームランはやや伸び悩むかもしれないと感じていたのが正直なところです。
目標成績に挙げた.280 10本 OPS.850以上という数字も、正直本塁打数とOPSが厳しいのではないかと思っていました。
しかしアリエルはこの5ヶ月後、この高めに設けた目標成績も大きく超えてくるような衝撃的な進化を見せます。

https://twitter.com/ElevenSportsJP/status/1273140247363309569?s=19
https://twitter.com/ElevenSportsJP/status/1268047709497290752?s=09

映像を少し見ただけでもわかるように、別人かと思うぐらい打球の質が変わっていますよね!
キューバの時より膝を伸ばした打撃フォームからいい意味で力感のないスムーズなスイングで広角に長打を量産。
ホームランは何れもキューバで殆ど見られなかった内角を完璧に引っ張った完璧なもので、打者としてのレベルが大きく上がりました。

キューバで見られた高いコンタクト能力に内も外も捌ける圧倒的な長打力、これはもう一軍で見たいとしか言いようがありません。
しかし、一軍に上げたとしても外国人捕手ということでコミュニケーション面は大丈夫か?他のポジションに回すとしてもポジションがないといった問題が出てきます。
というわけで、ここからは一軍で使うにはどういった起用法がベストかを考えていきます。



2.A.マルティネスをどのポジションで使うべきか

①捕手
やはりまず見てみたいのは捕手です。
もし外国人選手が一軍でマスクを被れば20年ぶりですし、外国人捕手という響きだけでワクワクしますよね。
アリエル本人もこちらのインタビュー記事で「キューバ人選手初のNPB捕手で外国人選手が殆ど守っていないポジションなので自分が成功するかどうかは今後重要になってくる。捕手として成功したい。」とコメント。
http://cubasi.cu/es/noticia/llegue-cojo-pero-voy-por-mi-mejor-temporada-alega-ariel-martinez

何としても捕手として活躍してほしいところですが、気になるのはやはりコミュニケーション面や守備面です。
この二つについて、リーグ規模の関係で細かなデータ等は出せませんが、キューバリーグや二軍戦での映像を見て感じたことや首脳陣からの評価などを見て考えられることを書いていきます。

まずはブロッキング。ウエスタンリーグでは通算31試合でパスボール1、キューバのプレーオフでは12試合で0、試合を見ていてもあまりボールを弾くこともなく、そこまで悪くはない印象を受けました。
ただやはり一軍級の投手の球を受けた経験が少ないので、彼らと組んだ時に一線級の落ちる球を止められるかが気になるところですね。
まずは二軍で勝野や鈴木翔太と言った鋭いフォークを使うピッチャーと組ませて対応をしっかりと見てみたいです。

フレーミングに関しては高い意識を持っており、将来的に楽しみだと思わせるものがありました。
2年前に二軍で3試合ほど見たときはミットを上から被せに行く癖が目立っていましたが、今年のキューバリーグではそれを大幅に改善。
特に横フレーミングが格段に上達し、かなりのレベルにあるように見えるので、横の揺さぶりが命綱の吉見なんかと組ませると上手くいくかもしれません。
課題は意識こそ高いものの、疲れからか試合終盤や連戦になるとキャッチングの時にミットが下がりがちで、ストライクを取ってもらえなくなるところです。この辺りのムラがなくなれば、一軍の最低限のレベルでは守れるのではないかと思います。キャッチングに関しては首脳陣の評価も高いようなので、他の捕手陣に負けないぐらいのものを発揮していって欲しいです。

https://twitter.com/Akamiso97/status/1256933329409961986?s=19

スローイング面はキューバで3年連続盗塁阻止率4割超という高い数値を残していますが、精度がそこまで高くないと感じました。
ウエスタンでも通算4失策のうち、3つが送球エラー。
キューバは全体的に盗塁成功率が低いリーグの為何とかなっても、日本の一軍では武器になるかは微妙なところです。
座ったまま送球する派手さや肩自体の強さは魅力のため、少しでも質を改善していって欲しいですね。

このブロッキング・フレーミング・スローイングの3つの項目に関しては総合的に見ると他の一軍捕手陣と比べると流石に劣るものの、打撃で大きな差をつけてしまえばそこまで気にならないレベルではないかと思います。
ではコミュニケーションやリードの面はどうなのか。

リードに関しては素人目線ではありますが、変化球の使い方が上手いという印象を受けました。
2年前に佐藤、藤嶋と組んだ試合を見たのですが、佐藤のスライダーをバックフットで使ったり、藤嶋のカーブを絶妙な場面で使ってタイミングを外したり、想像以上にレベルの高いリードをしていて驚きました。
この年はこの二人を何試合も好投に導き、何れもアリエルと組んだ時の防御率は1点台前半、翌年も山本拓実が完封した試合にフルでマスクを被るなど、投手陣を引っ張る好リードを披露。
言語の壁により、マウンドに行って細かいコミュニケーションを取れるかどうかが気になるところですが、これに関しては首脳陣から太鼓判を押されているみたいなので、そこまで心配しなくても良いのかもしれませんね。

現在の一軍捕手は加藤、木下、郡司の三人ですが、正捕手を固定できていない為よく捕手論争が繰り広げられています。
個人的にはアリエルがしっかりと守れるということを一軍首脳陣にアピールし、他の捕手に圧倒的な打撃の差をつけてここに割り込んで欲しいと考えています。
まだ今年二軍でマスクを被ったのは途中出場の2試合のみなので、取り敢えず何試合かフルでマスクを被って欲しいですね。

②右翼手
捕手についてこれだけ長く書いてきましたが、この圧倒的な打撃を活かすためには当然他にオプションを持っていた方が試合に出られる可能性も高まりますし、捕手として上手くいかなければコンバートというのも考えられます。
そこで個人的に捕手以外で最も挑戦してほしいポジションがライトです。
前のnoteでは両翼(レフト・ライト)に挑戦して欲しいと書きましたが、現在レフトはアルモンテと福田が高いレベルで競っており、二軍には新外国人のシエラも控えている激戦区。
怪我がちで若くない平田が守るライトの方が試合に出られる可能性は高いでしょう。

それに自身の最大の武器の一つである強烈な地肩の強さを活かせるポジションでもあるので、そういった点で見てみたい気持ちもあります。
足もそこそこ速いですし、全く守れないというのは流石にないと思うので、モヤのようにあまり守備が上手いと言えない選手を打撃面の魅力だけで何試合かライトに据えていた中日ですし、この打撃を活かすためには多少守備に目を瞑って起用を考えてみてはどうかと思います。
二軍では若手の岡林や伊藤がライトを守ることが多いので出場機会を確保することが難しいかもしれませんが、アリエル、それから石垣辺りのライトは是非試してみてほしいですね。
平田が故障や不調で欠場するときに武田、井領、遠藤、渡辺に練習試合最終戦でライトを守ったシエラ、そして若いアリエルや石垣らで高いレベルで争ってもらうのが理想です。

 

③その他(一塁/三塁/左翼)
個人的に捕手以外で最も試して欲しいのはライトですが、それがあまり上手くいかなかった場合や主力に複数人故障者が出た場合、更に数年後の将来を考えた時、当然ですがいろんなポジションを守れた方が間違いなくプラスになります。
流石に二遊間やセンターといったセンターラインのポジションは現実的ではないので、候補に挙がるのはこの3ポジション。

まず一塁は昨季のウエスタンリーグで捕手より多く守ったポジションで、捕手以外のオプションでは最も現実的なところです。
キューバでも何試合も経験があり、左右のゴロ捌きや長い手足を活かした捕球を得意とする元々それなりに守れるポジションなので、ビシエドの故障や福田の不調が重なってしまった時に一塁で試合に出られればと思います。
現在二軍の一塁は本職ではない石垣が主に守っており、二軍では試合自体にも出しやすいポジションだと思うので、取り敢えず一塁からでもスタメンで守備につかせて欲しいところです。

レフトは5年程前にキューバリーグで少しだけ守った経験があり、ライトと比べると難易度も低いのかなというポジション。
しかしここは先述の通り一軍のレギュラー争いが渋滞しているので、いきなり一軍で試そうというのは難しいかもしれません。
とは言え福田、アルモンテとアリエルでは7歳以上年齢が離れているので将来的に守れるようにしておいた方が良いのは間違い無いでしょう。

最後に三塁ですが、こちらは恐らく全く経験がないポジションです。
一軍に高橋周平や福田永将、二軍に石川昂弥といるので、サードでの出場機会を与えられる可能性は極めて低く現実的ではないかもしれません。
ただ三塁は捕手からコンバートさせやすいポジションなので前例は非常に多いですし、一塁では左右の動きに問題がなく、スローイングの強いアリエルが守ったら嵌りそうな気はします。
両翼が無理でも三塁はいけるという可能性はあるので、様々なポジションを試して少しでも守れる所を増やしておいて欲しいです。

守備位置についての話をまとめると

・まずはレギュラーが固定できておらず、一軍の試合に出場できる可能性が最も高い本職の捕手として勝負
・その為に二軍で何試合かフルで守備につかせて一軍でも問題ないレベルということを証明する
・出場機会を増やすために可能性のありそうなライトも試す
・将来的には経験のあるファースト以外にもサードやレフトもできたら面白い

個人的な理想は今年は一軍でスタメンマスクを20~25試合で被り、ライトでもスタメンで何試合か出場、代打も含め50試合に出てくれたら最高といった感じです。
将来的には郡司や石橋といったプロスペクトの多いポジションと言うこともあり、それぞれ試合数を分け合うことになりそうなので、捕手、内野、外野をバランスよく守って多くの試合に出場する新タイプのユーティリティを目指してほしいです。


3.A.マルティネスには何番を打たせるべきか

①今年中は下位打線
いくら打力自慢の外国人選手と言っても、去年まで2年間ずっと二軍でプレーしていた選手なので、今季一軍に上がってスタメン出場するとしても、当然まずは下位打線からになるでしょう。
守備でも覚えることが多いので、あまり負担をかけ過ぎずに、今年中は下位で自由に打たせ続けるのが良いかと思います。
7,8番ぐらいにこのレベルの長打力を持った打者がいたら相手も脅威に感じるでしょうし、どこからでも長打を狙える隙のない打線の重要なピースとして嵌って欲しいですね。

②5番
ここからは将来的な話になりますが、キューバリーグを見ていてアリエルは5番適性が高そうだと感じました。
プレーオフでは当初は下位打線を打っていましたが、打撃好調で打順を5番に上げると、得点圏にランナーがいる時は軽打、ランナーのいない時は長打狙いと状況によって打撃を使い分け、3番を打つグラシアル(ソフトバンク)、4番の元メジャーリーガーのアルエバルエナの後ろで効果的な仕事を果たしました。
純粋な長打力だけでなく野球脳も兼ね備えておりこの打順の経験は豊富、まさに5番向きと言えるでしょう。
二軍では現在ベンチや下位打線からのスタートが多いですが、出塁能力の高い未来の4番石川昂弥の後ろで、未来の5番としていろんな状況でのバッティングを見せてほしいです。

③2番
あまり現実的ではないかもしれませんが、この打順も推したいです。
5番打者に求められる状況によって打撃を使い分ける器用さや、二軍で長打を量産する自慢のパワーに加え、18-19年のウエスタン+今年の練習試合の241打数で三塁打5本という数字、このR.マルティネスから放ったセンターへのツーベースを見てもわかるように一定の足の速さも併せ持っています。

https://twitter.com/Akamiso97/status/1251465110364672001?s=09

昨年までファームでは併殺が多い方でしたが、これは一昨年より改善されたとは言え昨年の段階ではまだ多かったゴロアウトの多さが原因でしょう。
フライ打球が更に増加した今年は恐らく併殺も減る可能性が高いので、その面での心配はそこまでしなくても大丈夫かと思います。
これ以外にもコースや球種を問わず安打を打てる対応力に、ファームでは平均以上の四球率をマークした出塁能力の高さ、進塁打の打てる右方向への打撃の上手さなど、アリエルを2番に置いてみたい理由はいくつも出てきます。
ただ、負担の多い捕手を守りながら2番となると体力面が心配ではあるので、一塁やライトで出場するときにたまに打たせるぐらいが良さそうです。

打順に関してざっくりとまとめると今年中は一先ず下位打線で楽に打たせ、将来的に理想の5番が理想、たまに2番を打たせてみても面白いという感じです。
成績としては今年は120~130打席立って打率.250前後 ホームラン5~7本、将来的には打率.280 20本以上を記録するのが理想です。
彼のポテンシャルなら十分可能だと思うので期待したいですね。

ここまでお読みいただきありがとうございました。
打順に関しても守備位置に関しても、これはあくまでも個人的な意見に過ぎないので、是非多くの方にご意見頂ければと思います。
今後のアリエルの活躍を攻守両面から注目していきたいですね!


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