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宅地建物取引士試験合格までの道のり㉞

第3部 法令上の制限③ 建築基準法の概要①

その1 建築基準法の概要と適用範囲

§目的

建築基準法は様々な要因により、建物が簡単に壊れないよう最低限の建築基準を定めた法律である。

§概要

建築基準法には集団規定単体規定がある。

・集団規定→都市計画などまとまった区域内にて適用される規定

・単体規定→建物個々に適用される規定※全国適用

§適用されないもの

建築基準法が適用されないものとして、国宝・重要文化財などは適用外となる。また、建築基準法の法改正により改正後に基準に適合しなくなった既存建物も対象外となる。

その2 用途地域建物に適用される規制(用途規制)

用途地域に建てる予定の建築物などに規制を定めることを用途規制という。

考え方として、

用途地域→都市計画法を適用し、土地利用を計画に適用

用途規制→建築基準法を適用し、用途地域内の建物に適用

用途地域に建築可能な建物のについて

・宗教施設、公衆電話、派出所、銭湯、診療所、保育所→すべての用途地域で建築可能

・住宅、図書館、老人ホーム→工業専用以外の用途地域で建築可能

・小中高の学校→工業、工業専用以外の用途地域で建築可能

・高専、大学、病院→1低、2低、田園、工業、工業専用以外の用途地域で建築可能

飲食や物販を行う場合の施設の場合には

・2F以下150㎡以内→1低、工業専用以外の用途地域で建築可能

・2F以下500㎡以内→1低、2低、工業専用以外の用途地域で建築可能

・1500㎡以内→1低、2低、1中高、田園、工業専用以外の用途地域で建築可能

※田園地域では農業の利便増進するので建築をすることを許可している

娯楽・アミューズメント施設の場合には

・ボーリング、スケート、水泳→1低、2低、1中高、2中高、田園、工業専用以外の用途地域で建築可能

・カラオケ→1低、2低、1中高、2中高、1住、田園以外の用途地域で建築可能

・麻雀、パチンコ→1低、2低、1中高、2中高、1住、田園、工業専用以外での用途地域で建築可能

その他の施設の場合には

・営業用倉庫→1低、2低、1中高、2中高、1住、2住、田園以外での用途地域で建築可能

・教習所→1低、2低、1中高、2中高、田園地域以外での用途地域で建築可能

・ホテル(3000㎡以内)、旅館→1低、2低、1中高、2中高、田園、工業、工業専用以外の用途地域で建築可能

・自動車修理工場(150㎡以内)→1低、2低、1中高、2中高、1住、2住、田園以外での用途地域で建築可能

・劇場や映画館(200㎡未満)→準住居、近隣商業、商業、準工業で建築可能

・劇場や映画館(200㎡以上)→近隣商業、商業、準工業で建築可能

・料理店、キャバレー→商業、準工業で建築可能

・個室付浴場→商業のみ建築可能

以上となる。また、火葬場やごみ焼却場などは都市計画で敷地場所が決まってなければ建築できない。

§複数の用途地域にまたがり建設する場合

この場合には、建築に占める建築面積の大きいほうの用途地域をもとに用途規制が適用される。

その3 建蔽率の概要と算出

§建蔽率って何?

敷地面積上において、建築面積の割合を建蔽率という。

建蔽率=建築面積÷敷地面積

となる。

§限度

建蔽率は用途地域ごとに限度が決められており、その限度内で定められている。また、商業地域は1つに決まっており、10分の8となっている。

§建蔽率の緩和条件

建蔽率は一定の条件の場合、緩和される。下記

①特定行政庁が指定する角地→10分の1プラスされる

②防火地域内で耐火建築物など→10分の1プラス※元が10分8であった場合には、10分の2プラスとなる。

③準防火地域内で耐火・準耐火建築物→10分の1プラス

§複数の用途地域にまたがり、建蔽率が異なる場合

各敷地面積から建築面積を算出して合算して計算する。

その4 容積率の概要と算出

§容積率って何?

敷地面積上で建物の合算面積(延べ面積)の割合を容積率という。前面道路の混雑防止を目的としている。

容積率=延べ面積÷敷地面積

となる。

§容積率の緩和条件

容積率は一定の条件の場合、緩和される。下記

①共同住宅・老人ホームなどの廊下・階段などの共有部分は延べ面積とならない

②エレベーターの床面積は延べ面積とならない

③建物の地下住居(地階)の床面積は、建物全体の住宅部分の3分の1までは床面積とならない

§前面道路からの容積率算出の場合

容積率の目的は、前面道路の混雑防止を目的としているために前面道路が狭い(幅員12m未満)場合には、容積率の算出方法が異なる。下記

・前面道路の幅員×10分の4 ※(住居系用途地域の場合)

・前面道路の幅員×10分の6 ※(その他の用途地域の場合)

この算出方法と都市計画で規定されている容積率を比較して厳しいほうが適用となる。

§複数の用途地域にまたがる容積率の算出

この場合、各用途地域ごとに適用容積率を算出

→各用途地域ごとに延べ面積を算出して合算する

→合算した延べ面積÷合算した敷地面積 

以上で算出する。

その5 建築物の高さ制限

§斜線制限の種類

建築物の高さ制限の一つに3種類の斜線制限がある。下記

①道路斜線制限→道路の日照・通風確保を目的とする制限(前面道路の反対側から建築物の道路側の角を結んだ斜線で20m~50mの間を確保する)

②隣地斜線規制→隣地の日照・通風確保を目的とする制限(隣地側の建物の高さを31m又は20mの制限)

③北側斜線制限→北隣の建物の日照確保を目的とする制限(北隣側の建物の高さを5m又は10mの制限)

また、対象区域として

①道路斜線制限→1低、2低、田園、1中高、2中高、その他、用途地域外

②隣地斜線制限→1中高、2中高、その他、用途地域外

③北側斜線制限→1低、2低、田園、1中高、2中高

が対象区域となる。また斜線制限が異なる区域にまたがる場合には、各区域の部分ごとでの制限となる。

§日影規制の目的と規制内容

日影規制は日照を確保するために建物を制限する規制である。内容として

・1低、2低、田園→軒の高さが7mを超える または 地階を除く3階以上の建築物が対象

・1中高、2中高、1住、2住、準住居、近隣商業、準工業→高さが10mを超える建築物

・用途地域外→軒の高さが7mを超える もしくは 地階を除く3階以上の建築物。または 高さが10mを超える建築物 の中で地方公共団体がその地方の環境を勘案して条例で指定する建築物

※上記に地方公共団体の条例指定する地域も対象となる。

また、下記の用途地域は対象外となる。

・対象外→商業、準工業、工業専用

となる。

その6 道路の規制

§接道義務

道路は4m以上の幅員という規定があり、建築物の敷地は幅員4m以上の道路に幅員2m以上接していなければならないという建築基準法での定めがある。※特定行政庁が支障がないと認め、建築審査会の同意を得て許可がでればこの規制に縛りはない。

また地方公共団体は特殊建築物・3階建て以上の建築物・延べ面積1000㎡超の建築物・袋状にのみ接する建築物で延べ面積150㎡超(住戸建て除く)の敷地に関しては条例により付加できる(緩和できない)。

§道路規制

先ほど、道路は幅員4m以上を指すと触れましたが特定行政庁が認めた場合には4m未満であっても道路(2項道路)としてみなされます。また、今後建替えの場合には片側2m以上を確保しなければならない(セットバック)。

§道路の建築物

道路内には建築物を建ててはいけない定めとなっておりますが、下記の例外においては可能となる。

①地盤面下の建築物

②公衆便所や派出所など建築審査会の同意を得て許可された場合

③公共用歩廊などで建築審査会の同意を得て許可された場合

以上であれば可能となる。

その7 防火・準防火地域

§防火・準防火地域の概要

防火・準防火地域とは建物の延焼を防ぐために建築物に一定の制限を設けてある地域を指す。防火・準防火地域では耐火構造建築物の外壁を隣地境界線に接して建築することができる。

§防火地域の建築物

防火地域に建築する場合には下記の要件が必要となる。

・地階を除く3階以上 または 延べ面積100㎡超 の建築物は耐火建築が必要

・それ以外の建築物は耐火もしくは準耐火建築が必要

※延べ面積50㎡以内の平屋建ての付属建築の場合には外壁・軒裏が防火構造であればOK

また、防火地域内の下記の看板・広告には不燃材料で作成、または覆わなければならない。

・建築物の屋上看板広告

・高さ3m以上の看板広告

§準防火地域の建築物

準防火地域に建築する場合には下記の要件が必要となる。

・地階を含む4階以上 または 延べ面積1500㎡超 の建築物は耐火建築が必要

・それ以外で延べ面積500㎡超1500㎡以下の建築物は耐火もしくは準耐火建築が必要

※木造の場合、延焼の恐れがある場合には外壁・軒裏は防火構造にしなければならない。

§防火・準防火地域どちらにも入っている場合

建築物が防火・準防火地域にも入っている場合には厳しい規制を適用とする。しかし、建築物に防火壁がある場合には、防火壁が境界となり区分する。

その8 建築物の規定

§地階の居室

建築物に地階が存在する場合には、衛生上必要な処置が義務付けられている。

§採光と換気

採光と換気にも定めがあり

・採光面積(窓など)=その部屋の床面積×7分の1以上

・換気面積(窓や換気扇など)=その部屋の床面積×20分の1以上

また換気には更に定めがあり、給気口と排気口を設置し、給気口は天井の2分の1以下の場所に設置し、排気口は給気口より高い位置に設置しなければならない。

§避雷設備の設置要件

高さ20㎡超の建築物には避雷設備を設置しなければならない。

§昇降機の設置要件

高さ31㎡超の建築物には非常用の昇降機を設置しなければならない。

§便所

便所には直接外気に接する窓を設置しなければならない。しかし、水洗便所で換気設備を設けた場合にはこの限りではない。

§天井の高さ

居室天井の高さは2.1m以上でなければならない。1室で天井の高さが異なる場合には平均でみる。

§防火処理義務

延べ面積1000㎡超の建築物は防火壁または防火床によって区画し、各区域の床面積1000㎡以内としなければならない。※耐火・準耐火建築物に関してはこの限りではない。

§使用できない建材

現在、建築基準法で使用してはならない建材がある。下記

・石綿(アスベスト)

・クロルピリホス

などが挙げられる。

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