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自虐教科書の病理⑦ 慰安婦問題~学校で戦場の性を歪めて教える知性のない愚行をなぜ復活させたのか

 「従軍慰安婦」という歴史用語として誤った言葉が再び教科書をにぎわしています。そもそも従軍とは、従軍看護婦、従軍僧侶など、軍の許可の下で行動を共にする人々に与えられた言葉で、軍を相手に商売をした売春婦は、単に慰安婦であり、「従軍慰安婦」は歴史上存在しません。また、韓国における慰安婦と女子挺身隊との意図的な混同など、歴史の歪曲の最たるものです。果たして戦場の性を学校で子供に教えるべき事柄なのでしょうか。根本的場問題をないがしろにしたまま、教科書は子供に歪んだ事実を提示しています。
 仮に教えるとするならば、当時、売春が合法であったことから教えねばなりません。そして世界各国の軍隊にこの制度があり、慰安婦制度を持たなかったソ連軍が、満州や樺太、朝鮮で、あるいはドイツで何をしたか、韓国軍がベトナムで何をしたか、そしてアメリカ軍も日本占領時にまず慰安施設を作ったということまで教える必要があるはずです。教科書に書かれていた内容では、この制度があたかも「好色国家」である日本だけで採用され、しかも賃金は支払われず、「強制連行」された日本人以外の女性ばかりだったという誤った印象さえ受けます。慰安婦の記述は、日本の子供たちの心を健全に育む為にも、教科書から完全に削除されるべきです。
 そもそも慰安婦制度そのものが悪であったというのは、後知恵に過ぎません。当時世界中で合法であったものを、今日の倫理観で裁く権利を私たちは持っていません。それゆえ、この問題の最大の焦点は、多くの識者が指摘しているように、「強制連行があったか否か」ということに尽きるのです。ところが、「強制連行」の証拠は何一つありません。決定的証拠とされたのは、吉田清治による「済州島で慰安婦狩りをした」という告白だけです。その内容に疑問を持った秦郁彦氏(当時日本大学教授)の調査により、それは完全にホラ話であったことが証明されました。逆に済州島の古老たちは、自分たちの名誉が傷つけられたと怒っているそうです。この嘘は慰安婦宣伝機関と化した『朝日新聞』でさえ嘘だと認めました。ところが、どこまでも自国の歴史を傷つけないと気がすまない反日活動家は、未だに彼の言説を「証拠」として出版物で紹介し続けているのです。日本を貶めることに熱心な彼らは、全体の40%を占めていたの日本人慰安婦には言及せず、「強制連行」されたと主張する外国人元慰安婦の金儲けに加担しているのです。
 一方、慰安婦問題をおかしくした責任者は、政治家の中にもいます。調査の結果「強制連行」の証拠が一切見つからなかったにもかかわらず、「総じて強制的」と言った河野洋平氏の官房長官時代の談話は、もはや犯罪です。親に売られたり、女衒にだまされたりしたことも強制的というならば、戦時中は全て「総じて強制的」です。河野氏が自らの発言に責任を持つというなら、召集で戦地に赴いた人、徴用で工場に動員された人、全てに、慰安婦だったと名乗り出た人に与えられた償い金と首相のお詫びの手紙を渡すべきです。実際、河野氏の言説により「政府が強制連行を認めた」と、外国では受け止められており、米国議会では、反日中国人団体から献金を受けているマイク・ホンダ下院議員が、慰安婦強制連行を非難する反日決議案を提出し、議場では消極的な反応ではあったものの可決されています。国の名誉を売った河野氏に国政を論じる資格などないし、彼が三権の長である衆議院議長の椅子を温めたことは国民の恥辱です。2021年にハーバード大学のジョン・マーク・ラムザイヤー教授が、「慰安婦は日本軍が強制連行に関与しない売春婦」だと論文を発表しました。しかしこんなことはすでに終戦直後の米軍の調査でもそのことはわかっていたことです。これに対する反論は感情的なものだけで、実証機な研究からの批判はありません。にもかかわらず慰安婦の歪んだ像をそのまま教科書に書き込んだ執筆者、訂正を要求しない文部科学省の精神を疑います。彼らには歴史を語る資格はありません。
 苦界に身を落とした、経済的に不幸だった女性(しかし、慰安婦が高給を取っていたことは既に数々の一時資料で明らかです)に同情することと、歴史的事実を混同する知性のかけらもない愚行は、そろそろ終わりにすべきです。

連載第49回/平成11年3月24日掲載

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