ミンナニ ナイショダヨ

「ミンナニ ナイショダヨ」。これはゲーム『ゼルダの伝説』に登場する台詞だ。
隠し部屋に隠れていたキャラクターがプレイヤーであるリンクにお金を渡してくれるとともに、このメッセージが表示される。
このシーンを初めて見た時、ゲームの役割上はリンクと敵対しているキャラクターが実はこっそり協力しており、だからこそ「ミンナ(自分の仲間たち)ニ ナイショダヨ」なのだと私は解釈していた。

しかしそのすぐ後、これとは異なる解釈を当時読んでいたゲーム誌で目にする。曰く、この「ミンナ」とは『ゼルダの伝説』を遊んでいるあなた以外のプレイヤーなのだという。どちらが製作者の意図か、はたまた両方の意味を含むのかということはさておき、これには大変驚いた。ゲームのメッセージひとつで、読み手による解釈の違いが生まれるなどとは、当時の私は思っていなかったのだ。

前者はゲーム内の世界に則した解釈で、後者はゲーム外を視野に入れた解釈になっている。いわゆるメタフィクション的な表現についてきちんと意識したのはこれが初めてだったかもしれない。

最近の自分はゲームを遊ぶ時、むしろこうしたメタ的な物事の見方ばかりをしてしまっていることに気付く。そして真っ向からきちんと物語を見たほうがよいのではないか、とよく自問する。もちろん、どちらか一方の見方が必ずしも正しいわけではない。その物語や世界が何を語っているのかをただ受け取るために、時々この台詞を思い出して両者のバランスをとっていきたい。

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