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浦和レッズのカギは「左サイドバック」?

なんかオリンピック後から、試合結果にかかわらずどこか消化不良な印象を受けます、浦和レッズ。

もちろん新しい選手の加入もあり、毎試合のように降るうっとうしい雨もありと様々な要因はありますが、一番の原因はやはり新たなやり方に取り組んでいるからだと。

その中でも今回スポットライトを当ててみたのが、A徳島→H広島→A湘南の3連戦。

ズバリ、この3試合で注目したのは左サイドバックです。
そこを中心に見ていきたいと思います。


1.vs徳島(第25節・8月21日)

先発左SB:明本

ここまでの試合でも一番多かった明本のサイドバック起用です。

この試合で1つ気になったのが、どう考えても徳島にボールを持たれすぎじゃないか?という部分。
前半早い段階でのボール支配率が徳島75%:浦和25%だったのには驚きました。浦和も基本的にはしっかりとボールを保持して攻撃を構築していきたいというサッカーなはずなのですが。

しかし実際に試合をよく見てみると、徳島が安定してボールを持てているのはほとんど最終ライン3枚の間でのみ。
序盤はそこから特に効果的な縦パスやフィードが出るでもなく、かと言ってボランチがガッツリ落ちてボールをさばきに来るでもなく、たまに大外に開いた味方に出すも浦和守備陣のチェックを受けてまた戻す…といったような形でした。

実はここがリカルドサッカーとポヤトスサッカーの大きな違い。
リカルドサッカーでは柴戸や平野などボランチの1枚が最終ラインに落ちて、両CBとの3枚でボールを回すやり方を多用します。
一方のポヤトスサッカーでは、基本的にボランチ2枚は真ん中に留めておいて、最終ラインに落ちるのは左SBの選手。つまり右が極端に上がった、4バックというよりもむしろ3バックの形をとるわけです。


リカルド監督の狙いはここにあったのではないかと踏んでいます。

つまり、あえて徳島の最終ラインから縦パスを出させて、自陣に十分に引き込んでおいた状態でボールを奪ってからのカウンター。これがこの試合でのリカルドレッズの作戦だったのではないかと見ました。
でなければ、パスの前方比率がJ1で最下位の徳島があれほどまでにスムーズに縦パスを入れられる状況は好ましくないです。

もう1つ重要だったのが、右SBの岸本を左SBの明本が見る形にすることでした。
浦和の守備は相手の最終ライン3枚に対して、汰木を押し出す形で同数の3人で「ある程度」制限をかけに行く作戦をとりました。
これが普通の4バックの感覚で岸本を汰木が見る形にしていたら、徳島はさらに出しどころがない・浦和は取りどころがないでもっと膠着状態になっていたはずです。

そしてうまくパスの出所を誘導してボールを奪った瞬間、右の岸本はかなり高い位置にいます。
この岸本を最初から封じつつ、攻撃に切り替わった瞬間にあわよくばその隙を突ければ…こうなると適任の左SBは自ずと絞られてくるはずです。

結果として勝ちはしましたが決して勝った気はしないという変な試合に。
リカルド監督も別にこういうサッカーをしたいわけではないはずですが、場合によってはこういう形で勝ち点を拾っていくよというリアリストな一面を見れたような気もします。


2.vs広島(第26節・8月25日)

先発左SB:ショルツ

3連戦の中ではこの試合が一番完成度が高かったのではないでしょうか。

この試合、可変システムを用いてきたのは浦和でした。
前節の徳島が攻撃時に4バックから3バックに可変する仕組みだったのに対して、この試合の浦和は(場合によって)守備時に4バックから左ワイドの関根を下げた5バックに可変する形をとってきました。

そうなるとこの試合で一番きついのは関根のはずなのですが、結果的にこの試合で一番輝いていたのもまた関根でした。それはなぜか。

答えは簡単で、ものすごいDFが後ろで構えてくれているからです。


この試合がうまくいったのは、関根にWBの動きをさせることができたからだと考えています。
というのもこの試合、浦和の攻撃時はちょい右上がりの4バックという形になっていました。したがって左右のワイドで多少動きが変わってきます。

個人的に、関根はWBに最も適性がある選手だと思っています。
あえてサイドを実質1人で担当させて、攻撃でも守備でも1対1の局面を作らせた方が、彼自身も周囲の選手もより活きる気がしています。

今季はサイドハーフでの起用が主でしたが、特に攻撃面でどこか窮屈そうな印象を受けていました。それはおそらく関根自身、SBとの連携やら何やらを意識して積極的な仕掛けにチャレンジすることを躊躇していたからなのではないかと思います。

その点この試合では、後ろにいるショルツはSBとはいってもタッチライン際を駆け上がってくるようなタイプではないですし、万が一ドリブルに失敗したとしてもオーバーラップしてきていたSBもろとも置き去りにされるような状況は起こり得ないので、得意の1対1での仕掛けに集中できていたように見えました。
その姿勢がユンカーのゴールに繋がったドリブルからのシュートによく表れていたと思います。


そしてショルツはショルツで最後方から鋭い縦パスをビシバシ入れてくれますし、守備でもスピードはそこまでないながらも読みと身体能力の高さで大活躍。
まさに2015~16年あたりの森脇と関根のような関係性だなーという気もしてきました。

もちろんショルツをセンターで使えないもったいなさもあるのですが、これは今後もかなり有力な戦術になるのではないかと思います。特に3バックの相手に対して。


3.vs湘南(第27節・8月29日)

先発左SB:宇賀神

この試合は特に何か言うようなことはないかと…

というのは何も宇賀神が悪かったというわけではありません。まぁクロスを上げられる場面もありはしましたが、オーソドックスなSBの役割を常にしっかりこなしてくれる貴重な存在です。

宇賀神の場合は攻撃時にハーフスペースを使うのがうまいので、自分は後方で相手のWBを引き出して、サイドハーフに大外で相手のストッパーと勝負してもらった方がいいということになります。
その点では左利きの大久保を起用してきた意図はよくわかりますが、それならもっとシンプルに縦に仕掛けさせてもよかったかと。

ただ、やはりオーソドックスにやるとなかなか3バック相手には望ましい結果がついてこないのが今年の浦和。
この試合に関しては中2日で川崎との決戦があることを考慮しての人選だったかもしれませんが、このあたりはまだまだ試行錯誤でしょう。


☆まとめ

真夏の3連戦を「左サイドバック」に注目しながら見てきましたが、どちらかというと左SBの選手自身というよりもその一列前の選手との絡みの部分でそれぞれの試合のテーマが見えてきた(気がする)というお話でした。

左SBだけでなく左ワイドの選手も3試合ですべて違うわけで、またこの中でさらなる組み合わせも出てきますし、いつか「これだ!」という解が見つかるのかもしれません。
ただ、現状これまでのシーズンの中で一番しっくりきたのはショルツ・関根の組み合わせかなぁ、と個人的には感じています。


とにかくシーズン終盤も楽しみです!


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