中編小説【誰かが扉の鍵を~後編】(文字数13921 無料)
(前編からの続きです)
僕は階段を降りていった。
女性の笑い声が聞こえる。
食堂の扉を静かに開ける。
テーブルを挟んで座っていた探偵、そして助手が振り返る。
ああ、どういう表情をしたらいいのだろうか。
探偵は僕の様子を見て「さては記憶が戻ったのか」と訊ねてきた。それを否定し、助手だという女性の顔を見ながら「でも事件の謎は解けました」と答えた。
「ほうほう。それはそれは」
探偵は僕に椅子をすすめ、助手に微笑んでみせた。
「実に興味深いじゃないか。ぜひご高説を窺い