見出し画像

営業ノルマとの付き合い方 ~若手ハイパフォーマーのインタビューから~

以前、若手の離職率が高いことを課題としているある企業の若手社員の方々にインタビューをさせて頂く機会がありました。典型的な営業型の組織で、営業ノルマのプレッシャーがきついことが離職理由の一つとなっていました。
(その企業ではもちろん「ノルマ」という言葉を使いませんが、実質的にノルマと言えるものでした。「数字目標」と言い換える会社もありますがここではあえてノルマと表現します。)

離職率の低減策として、営業の数値管理も含め複合的に打ち手を模索する必要があります。ただ、実際にその企業で働いている営業マンとしては、まずはノルマとうまく付き合うことが喫緊の課題となります。
今回はインタビューでお話を聞いた若手のハイパフォーマーにはノルマとの付き合い方の点で共通点があったので、特にポイントとなる3つをまとめておこうと思います。私自身もノルマを負いながら営業をするので「なるほどなぁ」と感じた点を挙げました。ノルマに悩む若手営業マンのお役に立てばと幸いです。
なお、ベテラン営業マンのハイパフォーマーはまた違った特性があるので、今回は若手に焦点を当てています。

1.営業結果と自分自身の能力を切り離す

営業の仕事は結果が出る時もあれば、出ないときもあります。常に結果が出続けていれば苦しみも少ないですが、結果が出なければ当然辛くなり、その期間が長く続けば、離職に気持ちが傾きます。
若手ハイパフォーマーも結果が出ない時期はありますが、一様に「結果は結果であり、自分自身の能力とは関係ない」という意識を持っていました。営業結果は、顧客・商品・自分の大きく3要素の関係性で結果は変わってきます。そのため、必ずしも自分の頑張りが結果に直結しません。しかしながら離職予備軍の方は「結果がでなかったのは、自分の提案力が弱かったのかも」と自分という要素に寄せて考えがちです。一方、若手ハイパフォーマーは「お客様がうちの商品を必要としているタイミングでなかっただけ」と、顧客・商品・自分の関係性の中で結果を捉えます。もちろん結果の数字には強くこだわりますし、改善は続けますが、結果に対する捉え方の入り口が違っていました。優秀な先輩ほどコンスタントに成績を挙げるため、結果と能力の関係を一方向で捉えがちですが、営業結果は自分自身の能力では決まらないという意識を持ち、早く次の提案に切り替えられることが、かえって結果への近道となります。このあたり、スポーツ経験者はうまく捉えている傾向にありそうです。スポーツも相手や天候等によって結果が左右されるため、必ずしも自分のパフォーマンスが結果に結びつかない点は共通しています。

2.会社と顧客の間に挟まれた場合は顧客側に立つ

ノルマで悩む理由の一つに「会社が売れというものと、お客様が欲しいというものが違う」というものがあります。営業目標として「新商品の販売目標XXX個」と掲げられるケースです。その目標を達成するために、無理やりその商品を売ろうとし、「これは押し売りではないか」と悩む声をよく聞きました。これに対し若手ハイパフォーマーは「会社が売れという商品は意識はするが、その商品がフィットしないお客様には提案しない。それで目標を達成できなくても気にしない」という回答でした。若手ハイパフォーマーの人ほど、営業の時間軸を長期に捉えています。今、無理やり提案をして買ってもらってもそのお客様から長期的な信頼は得られないと考えています。会社の指示は短期的なものが大半となりますが、顧客との関係性は長期的な視点が必要です。この時間軸の捉え方は会社と現場のギャップを生む大きな要因です。また、顧客側に立つという信念を貫くことは働きがいにも影響すると思われます。

3.同期社員と自分を比較せず、社外の同世代を見る

しばらく営業をしていると同期入社の中でも頭角を現す人が出てきます。この時、刺激を受けて自分の成長意欲に繋げられる人もいますが、「あいつに比べて自分は劣っているんだ」と考えると辛くなります。若手ハイパフォーマーの方は「同期の誰が大型案件を取ったという話は聞こえてきますが、それほど気にしません」という人が多いです。その一方で「社外で活躍している同世代の起業家」や、「別の領域で頑張っている大学の同期」などを意識している傾向が強いです。これは社内で一定の成績を残しているからという背景もあると思いますが、少し視野を広くしたところに仮想的な競争相手を置いてモチベーションの燃料にしているようです。

以上、若手営業マン向けにノルマとの付き合い方をまとめてみました。他にも「上司に恵まれた」ということは異口同音に聞かれますし、うまく気分転換する趣味を持っていることなども共通していますが、特にユニークに感じた点を3つ挙げてみました。ノルマが無くなればハッピーですし、それでうまくいっている会社も聞きますが、今まさにノルマに悩まされている若手営業マンの方の参考になればと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?