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【遊びとおもちゃ】

幼児と母親の関わり方や、おもちゃの重要性について書かれた一冊。

幼児教育全体でいうと自分の考えとは若干違う面もありながらも基本的には私が以前から思っていたおもちゃの与え方やテレビ育児の弊害についての考え方は同じで、また非常に気づきの多い内容だった。

またこの本は2003年発行なのでスマホ育児については触れていない。が、テレビ育児については頻繁に書かれていたので=スマホ育児にも通じると思っている。

以下、私が個人的に本書から学んだ事を要約。

おもちゃは与えるだけでなく、一緒に遊び込む事が重要!

_いいおもちゃの選び方7選_(引用)

①安全であるもの
②三歳までは親が選んで与える
③おもしろいもの
④丈夫で壊れず長く使えるもの
⑤様々な使い方ができ、発展的なことができて、バランスのとれた成長発達を促すもの
⑥原色などの明るく楽しい色
⑦発達段階に合っているもの

この中で、特に⑦が最も大事な要素となるらしい。
子供が説明書通りに遊べない場合、それはできないのではなく、そのおもちゃがまだその子には早すぎるということ。

その場合、親が「ここはこうしなさい」等、教え込んだり発達を急かしたりしないこと。
子供の好きなように遊ばせてあげるのが一番。


_幼児教育が子供を歪める_

三歳までの早い時期から色、形、文字、数などを教え込んだり、幼児教室に通わせることは子供の発達を歪める。
そもそも子供の発達というのは親が引っ張り上げれば一見して上がるものだがそれは一時的なものに過ぎない。

そういった親の傾向としていわゆる「育児産業」に取り込まれている場合が多い。
お金を払う=子供の為に親が何かしているという錯覚に陥り、他人任せの育児になっていく。

また近年でも保育園などの集団に早くから入れるとコミュニケーション能力が上がると言われているが、
集団に入れる以前に「母と子の濃密なコミュニケーションが不足」のほうが問題のよう。


_我が子を「鬱陶しい」と思うかどうかは1歳が分岐点_

1歳頃から
①質の高いおもちゃで一緒に遊びこむ か ②テレビ育児かに分かれる。
らしいが、
個人的には2022年現在では更に低年齢化していると思っている。スマホの普及により、0歳からYouTubeやスマホアプリなどを見せている親は多い。

①前者は……母と子の絆が深まり、我が子の発達段階が分かるようになるので親側に対応力がつく。それゆえ子供の心も安定し、2歳、3歳となるにつれて精神的に育児が楽になる。

②後者は……長時間テレビの前に座らせ一緒に遊ばないことで、いつまでも我が子の発達段階が掴めず精神的に育児が苦になる。


_テレビ育児がなぜいけないのか_

「テレビの前に長時間座らせる」という事をやると癖がつき子供が「テレビつけて」と言うようになる。
結果テレビ以外の時間は激しく乱暴に騒ぎ始めたり、一緒に外遊びなどをしないのでストレスが発散できず「親が困るような行動」ばかりをし始める。

2.3歳の頃に「言葉が遅い」「行動が幼稚」「乱暴」「三歳で何を言っているのか親が理解できてない」といった問題を放置していたり
母子のコミュニケーションが不足している状態の弊害は、幼稚園頃~小学校四年生頃に以下の形で現れるよう。

例……
「人の気持ちが分からず、思いやりがない」
「自分に自信がなくコミュニケーションが苦手」
「セルフコントロール(自己抑制)ができない」
「キレやすく乱暴」
「人の話が聞けない」
「語彙が少なく、思考力が弱い」


_テレビを長時間見せる親の勘違い2つ_


・テレビで言葉を覚えるので喋るようにはなる。というもの。
だが所詮実体験ではないので感情が育たず年齢は成長しても幼稚な事が多い。

・テレビを見ている間子供はじっとしているので、それが集中力や落ち着きがあると勘違いしている。
むしろ逆でテレビを多く見ている子ほど注意力や集中力のない子供になる。

また、テレビに限らず「適当におもちゃを与えられた子」も同様。
たまに異常なほど次から次へとおもちゃを買い与えられている子もいるが、「遊ぶ力=学ぶ力」が身につかないのでテレビ育児と同じ結果になる。

「子育てにおいて、自分が今やっていることが形となって表れてくるのは1~2年後」


_乱暴な子=活発な子ではない_

生まれてからの二年間で親がどのように子供と関わってきたかによって発達の差が目に見えて分かる。(2歳頃)

更に就学後の学習意欲やコミュニケーション力は、これまで0~6歳の時期を家庭でどのように過ごしてきたかによって良くも悪くも大きく変わる。

親からのポジティブな声掛けや一緒に遊ぶということをせず、放置や叱られてばかりいたり、親自身がキレやすかったりすると子供の知性は育たない。


_下の子をいじめたり、「赤ちゃん返り」する上の子について_

二人目が生まれた時に、上の子が我がままをこじらせたり、下の子をいじめる事を「一時的な赤ちゃん返り」と思い込もうとするパターンがあるが、
それは下の子が生まれる以前から、第一子の「遊ぶ力=学ぶ力」を鍛えてないので問題行動に走るという傾向も多い。


_ディベロップメンタルトイズ_

この本のテーマでもあるディベロップメンタルトイズとは、


ヨーロッパでは長い歴史ある「質の高いおもちゃ」。
日本は質の高いおもちゃの分野が遅れているゆえにこれを知らず、または学ぶ機会もない親が多い(2003年当時)

このディベロップメンタルトイズが具体的にどのようなおもちゃか、またこのおもちゃ以外にも月齢別に子供との遊び方については本書を読むと、とても詳しく書かれているので興味のある方はぜひ読んで見てほしい。
私も2歳の息子との関わり方で参考になるものが多くあった。

また、ここでもやはり「絵本の読み聞かせ」は重要らしい。


_遊びで心の教育が育まれる_

どんなに学校や幼稚園で先生が「みんなと仲良くしましょう」と言っても、どんな遊びをしていても必ずあるのがお友達同士の喧嘩や仲間外れ等のトラブル。

これを幼児期から少しづつ体験することで社会性を学んでいく。
ゆえにいじめや意地悪・喧嘩などの経験は必要不可欠だという事を親は覚悟しておかなくてはならない。

それ以外にも遊びの中で思うようにできなくて悔しかったり悲しかったり、子供がストレスや不安を溜めることがよくあるが、そんな時親ができる事は
「大丈夫」「もう一度作ろう」等と前向きな言葉を掛けぎゅっと抱きしめる事。
それには親が遊んでいる子をよく観察することが大前提なんだと思った。


_乱雑にまとめ_

・質の低いおもちゃをいくら与えても無駄
・質の高いおもちゃで一緒に遊び込む事が重要
・テレビ育児にメリットなし
・育児産業の煽りに惑わされる親は冷静に
・子供の問題行動は幼児期からの親の接し方に原因あり(もちろん当然だが発達や脳に障害を持つ子の場合などは除く)
・育児を外注する以前に、まずは親子の濃密なコミュニケーション

非常に読みやすくて、質の高いおもちゃについての具体例も月齢・年齢別に表記(それもかなり詳しく)されていて実践的な一冊でした。

最後には幼児期の成長について脳神経の専門的な角度から、項目別に丁寧に説明しており非常にエビデンスの高い情報と言える。

特に子供と遊ぶのがもともと苦手、どう遊んでいいか分からない、といった方には遊びの教科書的な役割を満たすのではないかと思うので、読んでみる価値は大いに有り。





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