見出し画像

折々のチェスのレシピ(375)少しだけ高度な知識をあなたに

AIやソフトを使った研究が進んだ結果、センターポーンの構築が以前ほど重要視されなくなったということはどこかで書いたと思うのですが、例えば比較的よく出現する下の局面です。

第1図

これからご紹介する手筋は昔から知られていたとは思うのですが、AIやソフトの影響で再評価された側面が大きいのではないかと思います。

白がd2にナイトを繰り出してf3の地点に駒を足してきた瞬間にd2のナイトをピンしてしまいます。

a3とされたらどうするのだと思われるかもしれませんが、ここで先ほどナイトをピンしておいた効果が早速現れます。

もし白が先にこのビショップを取ったとすると、

白のセンターを崩してこれで黒が優勢になります。また、

白が先にクイーンを取った場合でも上のようになり、白はビショップをキング自身で取るしかなく、キャスリングができなくなります。さらにこの手順でも白はセンターを崩されてしまいます。よってこちらも黒の優勢です。

第1図で黒がeファイルのポーンを動かしていないことに注目してください。それによって初形でc8のビショップが展開できるルートを残しています。黒はセンターを犠牲にする代わりに最低限の駒で急戦を仕掛ける手筋ですなのですが、先にセンターを作らせておいても後でそれを崩すところまでがセットになっています。

第1図は下の局面から進行しています。

白はここでeファイルのポーンを進めてしまうと今回ご紹介した黒の術中にはまってしまう可能性が高まります。よって、ここではどちらかの黒のポーンを取るのが最低限の応手になります(白が覚えておきたいポイントです)。

今回ご紹介した手筋は昔から存在してはいたものの黒は指しずらいという認識だったような記憶があります。ただ、AIやソフトによる研究が進んだ結果、黒がやれるという評価へと徐々に変化してきたようです。こうした昔日の手筋の再評価やそれらに改良を加えた手筋が今では結構あります。またご紹介していきます。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?