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オーガニックマーケットスタディツアー2017欧米の報告書で回想そして発想へ!

「オーガニックライフスタイルEXPO2016」に際して、「暮らしとビジネスを考えるソーシャルイノベーションセミナー100」の一環として海外スタディツアーを計画することになった。主催者代表の徳江さんの提唱するイノベーションプランを実践するためには、現実をしっかり見つめ、体感し、自らの原体験を生かして事に臨むのが不可欠であり、スタディツアーは短期集中実践セミナーとしての役割を担ってスタートした。
 ツアーの成果は参加者や協力者の皆さんからの熱のこもった報告書を読んでもらえば充分にご理解いただけるはずだが、私の裏方としての役割は多種多様な職業、地域、年齢、性別、価値観、目標などを持った参加者に、限られたスケジュールの中でできるだけ多くの成果を得ていただくかを段取りすることである。そのために、弊社のエコツアー7原則を遵守することを心がけた。①少人数制、②地域に根ざした優良なコーディネーター通訳ガイド、③共感的理解による協力・協働の体験プログラム、④目的にあった快適かつシンプルな施設の利用、⑤再生可能エネルギー利用等による環境保護、⑥訪問地域への利益還元、⑦ツアー参加者同士の学び合い・交流、である。
特に②⑦がツアーのハード面とは異なり、人的ポテンシャルをどのように生かすかというソフト面の対応が重要だった。結局のところ「人」である。ヨーロッパでもアメリカでも多くの協力者のお世話になったのでこの場を借りて紹介しておきたい。

 「フランスとドイツコース」はオーガニック市場の現場を見聞し、日本でのビジネスに生かすことを目的にしている参加者が多かったので、各国の専門家をコーディネーター兼通訳兼ガイドとしてお願いした。フランスでは羽生のり子さん。パリ在住のジャーナリストでオーガニック市場に詳しく、日本へ紹介されているフランスの情報は彼女によるものも多い。オルタナの森編集長にご紹介いただき、昨年末、帰省中の名古屋にでかけて依頼した。
 ドイツでは浅野レッケブッシュさん。ニュルンベルク在住の見本市を中心に企業のマーケティングやコンサルティングをされていてドイツのオーガニック事情を正確に把握されている。昨年まで新宿にあった弊社オフィスをご紹介者のABCエンタープライズ代表中村実代さんと一緒に訪ねていただき、浅野さんの上質かつ正確な解説に惚れ込んで依頼したのが記憶に新しい。

2017シェパニーズ


 両国とも大都市の周辺の大規模オーガニック農場を訪ねる時間も何とか確保したが、ドイツでは農場直結のオーガニックレストランを見学のみで食事することができなかったことが心残りだ。BIOFACHも数時間の訪問だったが、前述の中村さんのご配慮などもあり、短時間では普通体験できない収穫(今後のきっかけ)を得ることができたとの感想をもらす参加者が多かったのは意義深く、次回のスタディツアーに引き継ぐ成果があったと思われる。
「アメリカ西海岸コース」は様々な意味での最大の国アメリカでオーガニックの普及が進んでいて、暮らしたい都市のトップに位置するサンフランシスコ(バークレー)、シアトル、ポートランドを訪問した。自らオーガニックなライフスタイルを実践しながらソーシャルビジネスとしての活動をしている参加者が多かったので、各地での生活者目線を大事に、コーディネーターだけではなく、ゲスト(ホストも)として在住の日本人の方々にお世話になった。
 サンフランシスコ(バークレー)ではコーディネーター兼通訳兼ガイドを鈴木栄里さんにお願いした。当初、ホールフード協会代表で料理家のタカコナカムラさんにご協力いただき、お弟子さんなどの広い人脈によりエディブルスクールヤードの日本人スタッフでもある彼女に繋がることができた。帰国中の彼女をゲストとして開催されたエディブルシティ映画上映会に足を運んだ上で、彼女の情熱とバークレーでの人望を感じることができたので、正式に依頼した。全米屈指のオーガニックレストラン「シェパニーズ」のレストラン部の予約と実際の食事や、その他の視察先の急な対応などは栄里さんの尽力によるところが大きかっただろう。そして、ファーマーズマーケットでの交流や、種の交換会などへの有志の参加は歓迎すべき付録だった。
 渡米30年にもなるデザイナーのルイス容子さんのバークレーの高級住宅地のご自宅を訪問できたのは、ライフスタイル体験の一部となった。生活の全てがオーガニックなわけではないと言われつつも、内覧させていただいたご自宅のいたるところにオーガニックなセンスがにじんでいて、全員でリビングで聞いたお話も心に響いた。現地情報提供を含めて、ご紹介いただいた環境ジャーナリストの箕輪弥生さんにもお礼を申し上げたい。サンフランシスコ在住でメディアコーディネーター&ライターの関根絵里さんは著書「カリフォルニア・オーガニック・トリップ」の一部を飛び入りでご案内いただいたが、そのバイタリティも参加者には印象深かったようだ。
 シアトルのオーガニックファーム「21Acres」キッチンマネージャーのサリバン麻子さんにはストイックな経営方針をうかがいつつ、美味しいオーガニックランチをいただいた。今回、出発直前にやむを得ない事情で不参加となった料理人の清水秀樹さんが繋いでくれたご縁にも感謝したい。Green Neighborfoodポートランドは以前、前述の雑誌オルタナで環境先進都市を学ぶ旅で施設見学を中心に実施したが、今回はホテルやFarm to The Table のレストランを利用することで短い滞在時間で暮らし体験を試みた。地元で味噌作りにこだわるミガキ由利さんご夫妻とのオーガニックピザカフェでの青空ランチミーティングも盛り込むことができた。

 以上、両方のスタディツアー(約1週間)の舞台裏の一部を紹介したが、参加者の意欲を思い出すにつけ、もっともっとやるべきことがあったし、時間さえあれば・・・と思ってしまう。
しかし、オーガニックライフスタイルEXPO2017も継続して開催される時代の流れに乗って、
次のスタディツアーではもっと充実した体験を提供できるように努力したい。重ねて、今回お世話になった皆さん、参加者の皆さんに敬意を持って感謝の気持ちを伝えます。

そんなに長くない残りの人生、これからは、いかに自分が幸運な人間であったかを勝手に伝えたい。たとえそれがささやかな幸せであったとしても、それを誇ることでこれまでの恩人たちに謝意を表したい。