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「Rebirth(仮)」(21)

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兄の回顧ブログの続き

2016年 1-2月 血縁末梢血幹細胞移植

毎度のごとく、大きな治療の前にはicがある。あんま覚えてないけど、治療で早期死亡する確率2-3割ありますよ、とか
わりと怖い内容だった気がする。


でもicの確率とか起こりうるリスクとか若干悪く言うんだよね。なんかあって責任取れとか言われたら困るから。俺の今の担当医はそんな感じ。直前icの内容はたぶん10パーくらい盛ってる。

普段のicは盛ってないけど(はい、5年生存率10パーくらいです。泣
誰かもっと良いデータあったら持ってきて…)

そんな怖いこと言われまくっての初移植だったので、本当に怖かった。1週間後の命がわからないわけだから。

しかし、蓋を開けてみると、1番辛かったのは全処置のday-2くらいだった。大量抗ガン剤の影響で膀胱炎になるのを防ぐために、夜中も2時間おきくらいにふらふらな状態でトイレに行って尿量を測定した。

移植後は下痢が酷かったり(これはお決まり)食欲不振で吐いたり、ちょこちょこしてたが、特に大事は起きず、day10くらいで生着した。生着してからは、どんどん食欲も回復して、まさかの40日程で退院した。感染症もgvhdも一切起こらなかった。キツかったけど、普段のケモより少しキツかったかなくらいの感じだった。
末梢血幹細胞移植は急性gvhdが起きづらく、慢性gvhdが起きやすいらしい。

そうして、今回もまた生き延びたのであった。

2016年 1月

ある日、暇でいつものようにネットサーフィンをしていた。


すると、たぶん2ちゃんねるまとめみたいなやつだったと思うけど、こんな書き込みがあった。

「人は9回(確か)生まれ変わる。死ぬ瞬間に『あぁ、良い人生だったな』って思えると2周目の人生に生まれ変わる。思えなかったら、動物に生まれ変わったり、またやり直し。1周目はわりとイージーモードな人生に設定してある。だから、終わる時に良い人生だったなって思いやすい。でも回数を重ねるごとにハードモードな人生になっていく。9周目とかになると、もう超ハードモード、でもそれも乗り越えると本当の天国に行ける。9周目だった人は歴史に名を残してる人も多く、キリストとか釈迦とか」
みたいな内容だった。
この内容がなんかの宗教のインスパイア系なのか、一部なのか、それとも誰かが適当に考えたオリジナルなのかはわからないが、当時の俺はそれを見て、少し救われた。
だって、そうでしょ。たまたま一回きりの人生に生まれて来て、その人生で21で癌になって苦しみ、仮に24とかで死んで、はい君の人生終わり!お疲れ!
なんて悲しすぎるじゃん。
納得できないじゃん。

これを読んで少し、今回の人生がハードモードなのは前世でイージーな人生も経験してるんだな。そう考えたら、いまわりと思い通りな、ふつうな、幸せな人生を送れてる人もいつか経験するんだな。じゃあしゃーねーな!って不思議と思えたんだよね。

これを読んで「なーに言ってんだ」って思う人もいるかもしれないけど、俺はその時は確かに救われたんだよね。

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