【インサイドアウトの服の意図と効果】
「インサイドアウト」
その名の通り表裏逆に作られた服で、昨今のグランジ・Y2Kブームの中でかなり量産されがちな服ですね。
一般の俗説では汗だくで気持ち悪いから、汗が染みてない裏返しで着たなんてものもありますが、哲学的観点から考えていきたいと思います。
「服は自己認識のために着る」と前述しましたが、服にはもう一つ役割があります。
それは「内と外を分ける」です。
服という布を隔てて自分と世界を2つに分断させる役割があります。
いまいちピンとこない人も多いと思いますが、
例えば
「夜布団をかぶって寝ると安心する。」
「外から家(内側)に帰ると安心する」などなど
外と内を分断する一種のバリア的なものを作ることで、安心できます。
服の中に手を入れられたら不愉快になるのは、このバリアの内側に不法侵入されているために起こる拒否反応みたいなものです。
つまり服(=バリア)の内側は自分自身、そして服の外側は世界ということになります。
ここで話をインサイドアウトに戻します。
インサイドアウトは裏表逆の服、つまり内側(自分自身)と外側(世界)が逆転するということになります。
本来内側は「自分自身」であるところを外に露出させ、あえて自分自身が不明確な状態にすることで「自我の不安定感」や「自我の解放」を表現することになります。
小難しいことを言いましたが、これは全員が感覚的ににわかることで、よくコーディネートで「抜け感」と呼ばれることが多々あります。この抜け感はこの内と外との境界線を曖昧にした「自我の解放」あるいは「自我の不安定」に当てはまることも多々あります。
今、業界で擦り続けられているインサイドアウトですが、元を辿ればギャルソンやマルジェラ等の「アンチモード」がやり始めたことで、おそらく感覚的でもこの考え方が根幹にはあるのかなぁと感じたりしてます。
あくまで僕個人の考えなので、賛否両論もちろんあると思いますが、改めて自分たちが扱っている商材の歴史や考え方を深く考えるのもまた面白いのかな〜と思ってます。
長々と失礼致しました。
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