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野狐禅

頭の中か、心の中かは分からない。
そこで、絶え間なく溢れては波打つ情景、感情。
誰も気づいてはくれない、僕の中に確かにある、感性と思考の宇宙。

「きっと同じ宇宙を見ている人がいるはずだ」と淡い期待を込めて。僕の宇宙を手で掬って、あなたに届けようと試みる。しかし、掬うというくらいだから、全てを手に収めることはできない。そしてまた、届けようと両手をあなたへ伸ばすその間にも、指の合間からこぼれ落ちていくものがある。結果として、届いたものよりも、掬えなかったもの、こぼしてしまったものの方がいつも多くなってしまう。

他者に対して、自分の中に湧いて出た情景や感情を届けようとする時、それらは言葉として手のひらに収められる。僕があなたにようやく言葉を届けたとしても、辺りには掬いきれなかったり、こぼれ落ちてしまった言葉が沢山ある。言葉でしか僕を伝えられないが、言葉にはあまりにも容量がない。

僕はこのnoteを通して、僕の宇宙を書き残しておきたい。あなたに届けるために、そして、未来の自分へと届けるために。

しかし、言葉にする以上、届けられないものの方が多い。だからあなたには、そしていつか読み返した僕には、これを書いた時の僕がこぼしてしまった言葉さえも掬い取ってやろうと、めいっぱい想いを馳せて、読んでみてほしい。客体であるべき読み手にこんなお願いをしてしまう僕は…拙者は、拙いなりに見つけた、拙い日々の気づきを、拙い言葉に換えて書き残していこうと思う。

言葉では伝えきれないけれど、遠く離れたあなたには、言葉でしか伝えられないから。

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