見出し画像

理学療法士として20年後に理解した、恩師の本物の教育

理学療法士として脳卒中リハビリの現場にいるジローと申します。
39歳のオジサン真っ盛りです。

さて、記事を書いている3月の、オジサン理学療法士の仕事と言えば、4月からの新入職員の調整に余念がありません。毎年、新人教育プログラムの作成に追われています。先日、部署長からOKサインが出て一安心。無事に新入職員を迎えられそうです(昨日が、リハ関連職種の国家試験合格発表日だったようですね。合格された皆様おめでとうございます)。

先日、用事で出身大学の近くを運転していると、たまたま卒業式であったようで、初々しいスーツや袴姿の学生を見かけました。18歳の頃に、理学療法の門を叩いて、早20年とは。

これをきっかけに、自分が理学療法学科の学生であった時の事や、当時の恩師の事がフラッシュバックしました。


私の恩師は、とにかく厳しい人でした。
接遇・理学療法士としての技術面・症例レポートや課題など。
一切の妥協なく、臨床に出てから解ってしまえば、この量や質は、学生にとっては無理難題。今なら、アカハラと言われてしまうのでしょうか?
指導についていけず、この先生が実習担当になった学生で何人も学校を辞めた事を知っていますし、自分も相当に追い込まれて辛かった。

最初は、その先生の事を恩師とも言えずに、何となく「学生いじめ・いびり」くらいに思っていたのです。

しかし、卒業後に、理学療法士として仕事をしていると、毎日驚くほどの情報をさばく必要がありますし、技術が悪ければ「あのセラピストが担当すると治らない」と陰口を言われる事もあります。方々に重要な書類を提出する必要もあり、それは、学生気分のレポートや課題とは違うのです。

新社会人として、同期入職の人と、ヨーイドンしたワケですが、きちんと仕事ができない新人セラピストに世間の風はもちろん冷たく、他職種・患者・患者家族など、様々なところからお叱りを受けます。潰れて理学療法士を辞めた同期もいます。

その中でも、私は、その先生から厳しい指導を受けていたので、何とか大ごとにならず、決定的なミスもせず、若手の時代を終えることができました。素早く仕事を片付けられると、1年目から全国学会に抄録を書いたり、資格試験にチャレンジすることもでき、キャリア形成にも役立ちました。

ひどく失敗が続いたり、自分が関わった患者さんからクレームがくると、自己肯定感が余計に低くなり、「もう、理学療法士なんかやっていられるか!」ってなっていたと思うんですよね。そういう経験が極めて少なかったことが、20年近くこの仕事を続けられた大きな要因であると確信しています。その面で、「厳しく育ててくれて、本当にありがとうございました」と、真の感謝の気持ちが芽生えるようになりました。

きっと、先生は、私たちを「学生」としてではなく、「今は学生だが、次年から現場に出る理学療法士」として厳しい教育をしていたのだと思います。当時は理解できなかったものが、年齢を重ねるとわかってきます。嫌味に思われても、プロを育てるには妥協はなし。自分も、新人の教育担当として、そこまで芯を通せるか。自分は指導者としては、まだまだ二流ですね(もちろん、厳しすぎて若手を潰すのも最悪なのですが、、、)。


新社会人の方
ハラスメントする上司は最低です。人格を傷つけられるような事を平気で言ったり、してくる人が必ずいるので、距離をとったり、信頼できる人に早めに相談しましょう。味方になってくれる人は必ずいます。

ただ、多少厳しい事を言われても、なぜ言われたのか、指導を受けたのか一呼吸おいて考えてみましょう。私のように、20年くらい経つと、グッと心にくるものが何かのタイミングでフラッシュバックするものです。

春からは、厳しいこともあると思いますが、一緒に乗り越えていきましょう。現場でお待ちしています!


#大切にしている教え

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?