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【PT】臨床実習の苦い思い出と、その20年後(臨床疫学へ)

大学院で学んだ公衆衛生学・疫学の知見を元に、健康的な社会を作りたい理学療法士のジローです。

この4月からは、こちらで頑張っています。

(4月は日々の勉強が忙しく、なかなか更新できませんでした。少しずつ、新生活に慣れてきました)


GWが終わると同時に、大学の臨床実習生の実習指導(SV)が始まりました。

自分自身が実習生だった時から、早20年、、、。
時間が経つのが早すぎて、鼻血が出そうです。

ふと思い出した、20年前の苦い思い出
ちょうどこの時期でした。

くやしくて仕方がなかったのですが、この経験が今に繋がっていると考えると感慨深いです。

きっと、その数日の出来事が、今の研究課題を与えてくれて、ここに連れてきてくれたのだと思います。



現在、自分自身の研究活動における関心としては、
臨床疫学統計的因果推論という分野に傾注しています。

使っている書籍の紹介。ルービン流の因果推論
こちら、パール流と呼ばれたりしますが、入門とは名ばかりの本。
どちらのコンセプトも大切だと思っています。

臨床疫学
多数の患者(集団)の診断・治療などに関するデータを統計学的手法を用いて解析し、医療の有効性や安全性を科学的に評価する学問

統計的因果推論
実験データや観察データから得られた不完全な情報を元に、事象の因果効果を統計的に推定していくこと

なぜか、この学問に惹かれているんです。この分野は、ずっと本を読んでいても飽きない。
興味がありすぎて、30代後半で大学院に行き直したほど。

好きな学べる分野があって羨ましい?

本当にそう思っています。

しかし、GW明けから、実習生の指導をしている時に、自分の過去がフラッシュバックして思い出してしまったんですよね。

好きで勉強している?

もしかして執着している?


私は、最終学年の4月から急性期病院に実習に行きました。
ここから、5月末までの2ヶ月間病院での実習でえす。

そこで小脳出血の方を担当しました。
もちろん、小脳出血の人を担当したことなどなかったので、しっかり調べ物をして取り組みました。

今まで3年間学習してきた内容もフル動員で頑張ったつもりです。

幸い、患者さんの経過もよく、自分の実習終了直前には、杖なしで歩行が自立して自宅退院されました。

実習終了時には、症例報告書を仕上げる必要があります。
5月末の実習終了に合わせて、ちょうど今の時期に書いていました。

一通り書き上げて、最初に実習指導者(SV)に提出した時にいただいたフィードバック

SV:ジローさんが行ったアプローチが良かったとか、悪かったとか無いから。患者さんが良くなったのは、「自然回復」だから。あーだ、こーだ書いていますけど、それらの記載は不要なので削除してください。
「自然回復」を軸に、レポートを大幅に書き直してください。

あの夜は、泣いたね。

今まで3年間学んできたことは何だったんだろう?
これから働く、理学療法士って仕事って何なん?

この「自然回復」という言葉に常に付きまとわれました。

確かに、自然回復で治ってしまう面もあります。
でも、そればかりでは理学療法って必要なの?

悩みに悩んだ結果は、就職見学等が近づいた10月

担任:ジローはどこの病院に就職するつもり?全然、就職活動していないだろ?

ジ:僕のことは放っておいてください。自分の事は自分で決めるので。

正直、理学療法士になりたくなくなっていました。


就職して学会での症例報告でも

フロア:これだけ上手くいったのも回復期だから(すなわち自然回復)でしょ?

また、自然回復だ。



しかし、思いがけないところに転機がありました。

40歳手前で「予防医学をやりたい!」って飛び込んだ公衆衛生の大学院で出会った、臨床疫学や統計的因果推論の講義。統計学の知識も動員して。

個々ではアウトカムの良し悪しを判断できませんが、集団を評価することで、どの程度効果があったかを推定することができます。

↓↓過去記事:詳しく書いています


「これは、ただの自然回復なのか」
「理学療法を含めたアプローチの効果(良くも悪くも)があったのか」

このような視点を考える人も、とても重要と思っています。
誰にでもできるわけではないし、自分のライフワークとして一つでも多くの報告をしていくことと、これらの知識の普及ができれば良いと考えています。

患者さん個別へのアプローチと、集団の評価を上手く行えるセラピストが増えると、「より健康的な社会」につながると確信しています。


■まとめ


ジローは、20年以上前に臨床実習で言われた「自然回復」を、まだ根に持っている。

確かに「自然回復」の要素はあるが、それと「理学療法の効果」を分離して評価して、世に発信しなければ「理学療法って意味あるの?」という状態になると考えている。

このニーズに対応できるのが、大学院で偶然出会った、臨床疫学統計的因果推論という分野であると確信して勉強に励んでいる。


おまけ


レポートの面では辛い思いをしましたが、客観視という面では指導者が言われていたこと、ごもっともだと思います。慣れない地で、実習以外でも様々なお世話をしていだだき、たくさんの事を教えていただきました。今でも良い思い出です。

最後の実習先では、人生の師と呼べる指導者にも出会いました。

今の実習生さん達は、忙しいと思いますが、私たちの年代と比べて就職が厳しくなっているので、早めから就活することをお勧めします。良い指導者や、就職先と出会えるといいですね!


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