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認知症高齢者問題 | 「川の上流」で理学療法士に何ができる?

認知症高齢者の増加は、日本における重要な社会問題の一つです。
これが、医療・介護・家族・地域社会に様々な影響を与えています。

認知症患者のケアには、とても高いコストがかかります。
その負担は、患者本人のケアに必要な医療・介護のコストにとどまらず、その家族や介護者への身体的・精神的ストレス、介護離職などの経済的問題などの多岐にわたります。認知症患者が行方不明になることがあるため、社会の安全対策に対するコストも必要です。

総じて、認知症高齢者の増加は、社会全体に大きな課題を投げかけています。

増加するコストに対しては、個人や家族に押し付けるのではなく地域や社会全体でサポートする必要があります。

私は、リハビリテーションセンターに勤務する理学療法士で、認知症高齢者のケアに直接関わる業務(川の下流の仕事)がほとんどです。

↓↓  川の下流ってどういう意味?という方は、こちらの記事


普段、病院や施設でのみ働いている理学療法士の皆さんが、何か「川の上流の活動」をすることができるのでしょうか?

私は、大学院で公衆衛生学を専門にしており、その視点から理学療法士ができそうなことを記事にしました。

具体的な取り組みを以下に示します。


‖  1、啓発活動の実施


認知症についての啓発イベントや、セミナーを開催します。

相手は、当事者家族にとどまらず、一般の地域住民や、ケア施設地元の事業者に向けた情報提供を行います。

以前、大型スーパーマーケットの従業員が、認知症高齢者が店内で困っていた時の対応について練習をしているところがニュースに出ていました。

啓発内容としては、認知症の早期兆候の知識や、困った時の対処法地域に存在するサポートリソースの紹介などが良いと考えます。

‖  2、地域ネットワークの構築


一つの病院・施設だけで完結するものではないので、地域の医療や福祉機関、介護施設、NGO(NPO)、ボランティア団体との連携が重要です。認知症患者や、その家族が利用できるサービス支援体制を構築します。

地域の関連機関が『One team』になって対応する必要があります。日頃から顔が見える関係を作っておきたいですね。
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‖  3、ケアトレーニングの提供


 地域の介護者や関連職種に向けた認知症ケアに関するトレーニングプログラムを提供します。

私たち、医療関連職種が持っている当たり前の知識は、それ以外の人の当たり前ではありません。専門的なスキルを身につけた地域のケアの提供者が増えることで、質の良いサポートが行き届きます

‖  4、地域づくりへの参加


 地域のイベントや行事に参加し、認知症患者やその家族とコミュニケーションをとりながら、地域全体の理解を促します。認知症患者やその家族が地域に溶け込み、参加しやすい環境を整備するために目を光らせます。

ここでも、鍵となる人物との繋がりを作っておけると良いですね。


■  まとめ


今後は、認知症高齢者の数が増えます。当事者や家族だけの問題ではなく、社会全体で対応する問題と考えます。医療従事者である我々理学療法士が、社会でどのような役割を果たせるかについて考えました。

第一に我々が持っている知識・技術を、一般の人にわかりやすく広める活動が重要ですね。

また、他施設や地域、関係団体、当事者との連携・繋がりが重要と再認識できました。コロナでかなり分断されましたが、今こそ「繋がりの再構築」ですね。

私も、少しでも橋渡しの役割が担えるように、病院外を飛び出した活動も増やしていきます。


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