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「金鳥の夏、日本の夏。」って素晴らしいキャッチフレーズですね。キンチョールではなく、花火を見上げながら団扇片手に縁側で涼む浴衣美人(縁側には蚊取線香)が連想される見事すぎるキャッチ。
転職も、何かアゲ↑イメージになる素敵なキャッチフレーズがあれば…と思うものの、氷河に閉ざされた時期が長かった私には、極寒の景色しか浮かばない…私世代以上の求職者がぶつかる絶壁の話。

履歴書の中身を見る順番

企業が書類選考で履歴書を確認する時に見る順番がある。

①写真

②年齢

③学歴

④転職回数

①写真はラフ過ぎる私服姿や、上から自撮りの顎引き写真を貼付していないか、つまり、常識として問題がない人材かの確認であり、スーツを着て髪をまとめて小綺麗にした写真であれば、写真だけで落ちる。ということは無い。(顔採用を除く)

②書類選考第一の関門が年齢である。
本当に年齢制限を設けていない企業というのはまず無い。採用ターゲット層の年齢は決まっている。
特に応募者数が多く、何百枚も履歴書の確認をしていられない場合、年齢だけでガンガン弾いて行く。

③年齢制限を設けているように、学歴制限を設けている企業がある。②同様の絞り込みを行う。

企業は定着して働いてほしい気持ちが強いため、短期離職を繰り返すなど、度を越えた社歴のある人を嫌う。
最近、転職回数の基準なるものが出来上がってきており、「年齢の10分の1(小数点以下切り捨て)」を基準にする企業が見られるようになってきた。
例えば、25歳の人であれば、現職含め2社までが許容範囲といった感じである。

このように、書類選考の時点でいくつも壁が立ちはだかっている。
特に深刻なのは「年齢」と「転職回数」であり、年齢が高くなるほど採用に不利な状況となっている。

転職回数は求職者自身の問題があるかもしれないが、年齢は不可抗力ではなかろうか?
誰もが歳を重ねていく。

事実上法律が認めている「年齢制限」

撤廃したらいいのに。と思うハロワ求人票の項目が「年齢」

平成19年10月から、事業主は労働者の募集及び採用について、年齢に関わりなく均等な機会を与えなければならないこととされ、年齢制限の禁止が義務化されました。_厚生労働省

……禁止なんですよ、求人企業の皆さん。
「法の規定に反する」んですってよ。(雇用対策法第10条)

それでも求人企業が年齢制限を設けるわけ。
この雇用対策法、網目が無いのでは?と思わせるほどのザル法なのである。

_例外的に年齢制限を行うことが認められる場合

例外を認めてしまっているのだ。

認められるケースは何種類かあるのだが、確かにやむを得ない理由のものがある。

省令第1条の3第1項第3号のハ:芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請がある場合

この辺は仕方あるまい。男女雇用機会均等法でも免責事項であり、モデル業とかそもそもニッチな業界は、求人がとても少なく、世間への影響は少ない。

しかしながら、求人企業が一斉に盾にする例外的理由がある。

省令第1条の3第1項第3号のイ:長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年性等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合

若い人材が欲しい企業はこぞってこの理由を付け、大方年齢上限を「35歳まで」としている。

若年者が正社員として安定した就労を行うことは大事である。
企業が若い人材を欲しがる気持ちもわかる。

しかし、時は少子化。働き盛りで人数が多い世代は、団塊ジュニアを中心とした氷河期世代。
法律で年齢制限を認められてしまっては、身も蓋もない。

新卒で蹴られ、中途の転職で殴られた世代が他にあるだろうか?

国も「これはヤバい」と思ったのか、追加の理由を付けた。

原則として、年齢制限を禁止していますが、例外事由の一つとして新たに就職氷河期世代(35歳以上55歳未満)の不安定就労者・無業者に限定した募集や採用することが可能になりました!

…なりました!
……なりました!!

「就職氷河期世代の積極的な採用を考えている事業主の皆さま」がほとんどいないのに、この年齢制限を行う意味を問いただしたい。

新卒1社のみで定年を迎える人はいない時代

年功序列がやっと崩れてきた日本で、転職をしたことがない。という人の方が少なくなってきた。

私の父は団塊の世代の少し下で、先日、勤続50年、新卒1社のみをやり遂げた。
定年を過ぎ、更に再雇用(人手不足を見越し、再雇用の年齢上限を撤廃した、柔軟な考えを持つ企業。)でトータル50年。
私が勤続50年を達成したければ、84歳まで働き続けなければならないことを考えると、純粋に尊敬に値する。

それでも、一度公務員の中途採用試験を受けたことがあると言うのだから、今の時代、1社だけで終わらせるつもりの人は皆無に近いはずである。

転職をする人は「給与を上げたい」「スキルを磨きたい」など、上昇志向による理由が多く、その通り上手く事が運んでいる人は、良い。

スキルアップやキャリアアップをしたければ、ある程度長い年数の経験が必要になるので、度を越えた転職回数ということにもならないだろう。

問題は、「ブラック企業でつらい」「人間関係に悩んで」というネガティブな理由で転職している人である。
ネガティブ理由による転職をしている人は、転職回数が多くなる傾向だ。

私もブラックかつ人間関係を理由に、試用期間で辞めた会社がある。
上司と合わず、中々酷い扱いを受けた。
先輩が「私が長谷さんの立場ならもう辞めてる」と言っていたくらいなので、端から見ても酷い扱いだったのだろう。
入社早々なぜ上司から嫌われたかは不明である。こんな目に遭ったのは後にも先にもこの時だけなので、私に大きく問題があるということでもない。

更に、「実働9時間勤務の日に、休憩が30分。」「フルタイム勤務なのに、試用期間は社会保険に加入させない。(もちろん強制適用事業所に該当)」など、法律違反している系の紛れもないブラック企業だった。

労働時間・休憩・休日関係(厚生労働省)

社会保険加入義務

ちなみに、激短期離職+社会保険に加入させてくれなかった+退職後すぐに職業訓練に通ったお陰で、現在の私の経歴から抹消することができているのは、不幸中の幸いである。
(消せる経歴と消せない経歴については、またいつか!)

辞め癖がついている。メンタルが弱い。__そうなのかもしれない。
実際に求職者と面談していて、全てを他責にし、人物面に問題がある人も少なからずいる。

でも、たまたま不幸が重なっただけで、会社によっては長く勤められる素質がある人だっているのだ。

「運も実力のうち」と言ってしまえばそれまでだが、アンラッキーな人を救済できる採用システムは絶対に必要である。
隠れた優良人材を見殺しにしてはいけない。

企業も求職者も「選びすぎるな」

企業も求職者もお互い選考の幅を広げることが、Win-Winな採用に繋がるのだが、頑なにそれをやろうとしない。

企業は、ターゲット層を絞り込めるほど良い待遇を提示しているのか?絞り込んでいるせいで採用が決まらず、人手不足に陥っているのではないか?と、採用基準を見直す必要がある。
そりゃあ決まらなくて当然だわ!という選考を行っている企業をよく見かける。
その様がいかに滑稽か。いくら金を積んでも、根本の解決ができないのなら、良い結果には至らない。

また、求職者についても、散々擁護の内容を綴っておいて何ではあるが、年相応の経験が積めていないのであれば、その事実を潔く認め、努力でカバーできる分は努力して埋めなければならないし、ポテンシャルを上手くアピールする必要がある。
アンラッキーな私。だけでは良い転職はできない。

年齢と転職回数の壁を越えるには、企業と求職者双方の歩みよりが大事なのだ。
そして、その啓蒙活動を行える存在が、私達転職エージェントである。

転職エージェントも垣根を越えた活動が必要な時代に差し掛かっている。

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