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【Meet Reapra】第2回 従来の交渉との違いとは!?建設的合意の学び合いのプラットフォーム(前編)

ベンチャービルダーとして100年続く産業の創出を目指す組織、Reapra。その組織哲学や活動内容のユニークさ故、「実際、何をしている組織なの?」とまだまだ疑問に思われることが多いのではないでしょうか。

そんな皆さんの疑問にお応えすべく、Reapra社内チーム紹介シリーズ始めます!!
毎回、社内各チーム社員・インターン生に、チームのミッション・ビジョンや活動内容を語って頂き、謎多きベンチャービルダーを徹底解剖していきます。

Reapraの支援先の起業家の皆さん、産業創造に関心のある社会人の皆さん、インターンに興味のある学生の皆さん、その他Reapraがなんだか気になるそこのあなた!
この連載を通じて我々のことをもっと深く理解してみませんか!?

第2回 従来の交渉との違いとは!?建設的合意の学び合いのプラットフォーム(前編)

◎今回メインとなる読者:建設的合意というテーマに興味関心をお持ちの方・建設的合意チームと共同学習をしてみたい方

謎多きベンチャービルダーReapraの社内チームを徹底解剖!
第2回は建設的合意チームの紹介です!

・建設的合意とは一体何なのか?一般的な交渉との違いとは?
・チームの設立背景や建設的合意チームが目指すものとは?プラットフォームとしての建設的合意タウン?!

などなど、チーム設立までの流れから、今実際に行っている活動、そして将来のありたい姿まで、建設的合意チームの実態を社員の山田が赤裸々に語っています。


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プロフィール
2002年にセールスとして厳しい環境と言われる株式会社キーエンスに入社し3年半法人営業を経験。その後、2007年には株式会社エス・エム・エスにてセールスマネジャーや買収した事業のPMI、事業開発を経験。そして、2015年には独立し事業開発・セールスのコンサルを行い、そして現在はReapraにて投資先のセールス強化を研究と実践。

この記事をきっかけにReapraの建設的合意チームに興味を持っていただき、何らかの形でチームと関わってみたいと思ってくださる方がいらっしゃれば嬉しいです!

*Reapraでは、個人の動機や研究テーマに合わせて、そこに関心のある人が職務を超えて共同学習するチームを「一般化チーム」と読んでいます。Reapraは自身を、VCとして投資先を支援する立場にあるのではなく、ベンチャービルダーとして投資先と共に産業創造を研究実践する立場にあると捉えています。そのような背景があり、研究実践をReapra社内にいる、投資先支援者という立場にいる人たちも行う場として、一般化チームが存在します。今回は、一般化チーム紹介の第一号として、建設的合意チームにお話を聞きにいきました。

建設的合意チームとは


インタビュアー:
Reapra社内における建設的合意チームの位置付けを教えてください。

山田:
セールスにおける交渉機能のことを言い換えて「建設的合意」という風に表現しています。そこで研究実践を通じた概念化を行うことで、建設的合意を学び合うプラットホームを作ろうとしています。

インタビュアー:
セールスという文脈において活動をしているということですか?

山田:
建設的な合意を取ることに関しては、実際はセールスだけにとどまらないと思います。しかし今は建設的合意の一般化をスタートしたばかりの段階にあるので、まずは私自身がこれまで実践してきて解像度のある「セールス」というところから研究実践を始めているという状況です。そうすることで、小さい範囲で粒度を細かく実践を積み重ねていけると思っています。

例えば、セールスを飛び越えたところでいくと、会社組織内での建設的合意というのもあるかもしれないですね。このように、セールスとは違う文脈での建設的合意は、現時点ではまだスコープには入っていなくても、将来的にはそこにも視野が広がっていくというようなイメージです。

建設的合意の定義


インタビュアー:
ここで改めて、建設的合意チームの中で共有されている「建設的合意」の定義を教えていただけないでしょうか?

山田:
建設的合意とは、互いの意思決定メカニズムや心象風景を理解し、成したいこと・なりたい姿に近づくことを目指して、コミュニケーションを通じてWin-Win状態を紡ぎだし続ける活動のことです。

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山田:
背景として、そもそもこの建設的合意と呼んでいるものは、世の中にある既知の概念ではなくて、私たちで勝手に作った造語なんです。近い概念でいくと、交渉やネゴシエーションがあると思います。

私自身、元々セールスというものを生業にして、そこで学習を進めてきました。セールスといってもかなり広い機能があります。例えば、セールスの中にもアウトセールスやフィールドセールス、マーケティングなどがありますよね。あと、顧客へのカスタマーフローを作成や、社内でのセールス育成など、多岐に渡ります。これらセールスの全部の機能を研究実践していくだけでも10年はかかるほどの大きなテーマです。最初からすべてを触っていくより、どこかに集中してしっかりと学習していくことが自分の学習を前に進めることにも繋がるなと思っています。自分が丁寧に学習するポイントを絞り込もうと思った時に、キーワードとして浮かび上がったのが「交渉」でした。

一般的な交渉との違い

インタビュアー:
現在向き合っているテーマと近い概念が「交渉」ということですが、「建設的合意」と認識されているものと、一般的に「交渉」という言葉で表現されている概念では違いがあるのでしょうか?

山田:
交渉と言うと、いかに自分の意見を相手の意見に打ち勝たせることができるかといったような、意見を戦わせるというニュアンスで使われることが多いと思います。私たちが作りたい概念は、それとは違います。あえて「建設的合意」という造語をテーマにしているのは、「交渉」などの既存の言葉からくるイメージに引っ張られることなく、学習を進められるというメリットがあるからです。

従来の交渉では、相手の心象風景に立つ必要もなかったり、相手の心理などは理解しながらも、ある意味その心理を逆手にとることで利益を稼ぐというやり方だったと思います。騙して売ったり、悪徳の販売をするとかですよね。それが決して私たちのやりたいことではなくて。私たちは、相手が陥ってる状況や、話を進められないと思っている背景の部分をしっかり理解し、お互いの利益が最大化されるようなWin-Winの状態を作りたい。独りよがりに自分の進めたい方向に進めてしまうと、Win-Loseの関係性になってしまうことがあるので、相手の心象風景に配慮した対話をしていく必要があると思っています。

設立背景

「建設的合意」に至るまで

インタビュアー:
先ほどのお話と絡めて、従来の交渉ではなく、現在定義されている「建設的合意」というテーマに至った背景について、さらに詳しくお話頂ければと思います。

山田:
2つありまして。1つが先ほどお話しした通りなのですが、セールスというところで学習を前に進めていくために細分化したテーマが、交渉だったという点があります。

もう1つは、言葉にすると自我衝突、Reapraではよくアイデンティティーバトルという言葉で表現されますが、これに関してうまく対応できるようになりたいという思いが、当時、このテーマを選んだ背景にあります。

元々私自身、自分が主体性を持って意見を強く主張するタイプではなく、他者の意見を拾って支えるという立ち回りをしていた期間が長かったと思います。成人発達理論※1をご存知の方にわかりやすく説明すると、環境順応型という段階に長くいたと思っています。この段階にいる人だと、他者との衝突を回避する傾向があるので、意見の対立が起こりにくいのです。
しかしReapraに入って、マスタリー※2という概念に出会ったり、自分が深めていきたいテーマを見つけたりしたことで、徐々に私の中での主体性が生まれたのだと思います。成人発達理論でいうところの自己主導型への到達ということで、自分の価値観からくる意見を持ち、その意見を人と擦り合わせる機会が増えていきました。私は昔から年数を重ねて主体的に動くという経験を積んできている訳ではなく、むしろ長い間、人の意見にフォローする形で生きてきたので、どのようにしたら自分の意見を相手の意見とうまく擦り合わせることができるかという術を知らない状態でした。それ故に、相手が自己主導的に強く意見を持っている場合ですと、意見が衝突して前に進めないという状態に陥ってしまっていました。

お互いの意見がそれぞれ違うというのは、違う人間なので当たり前であって、考え方が違うこと自体は問題ではないのですが.... ぶつかってお互いの価値観を受け入れあえない状態で止まってしまうと、その対話が前に進まなかったり、お互いの関係性を悪くしてしまったりと様々な弊害が出てきます。対話自体が不慣れで、主導的に動くことを覚えたばかりの自分にとっては、何が起こったのかよくわかっていなかったんです。

しかし、自分の身に起こっていることを内省することで、自分の自我からくる課題というものが見えてきました。意見を衝突させるだけの状況を打破し、前に進むような対話をしたいという強い願いがありました。そのような思いが、「建設的合意」というテーマに行き着くきっかけになったように思います。

※1成人発達理論:発達心理学の中でも、成人以降の発達を中心に研究されている理論、有名な研究者として、ロバート・キーガンやスザンヌ・クック=グロイターがいる。
※2マスタリー(熟達):マスタリーテーマ、及びライフミッションに向かって前進していくために、自我を変容させながら必要な価値観や能力を獲得していくこと。

建設的合意は入口である

インタビュアー:
今のお話を聞いてると、テーマを設定された当時の山田さんの自我状態というのが、今追求されている建設的合意というテーマと深く関わりがあると思いました。そうなると、今後、山田さんが違う自我状態になった時に、追求するテーマが変わりうる可能性があるのかなと思ったのですが、その辺り、いかがでしょうか?

山田:
はい、変わる可能性はあると思います。

私のマスタリーテーマ※3自体が、株式会社における学び合いのプラットフォームを作っていきたいというものです。これは、長期にわたって自分が集中して学習したいテーマなんですね。それの入り口として今建設的合意というところでの学び合いのプラットフォームを作ろうとしています。ですので、入り口のテーマとして建設的合意を選んでいます。

では、3年後、5年後、建設的合意というテーマをほったらかすのかと言われると、そういう訳ではありません。このテーマはこのテーマで、そこに意思を持って関わりたいと思う人たちを集めて、私の関与度合いが減ったとしても自立的に前に進んでいくような、学び合いの場を作っていくという形を取りたいと思っています。

建設的合意というテーマで実践を通じて概念構築した後には、学び合いのプラットフォームの範囲を拡張したいと考えています。私にとって建設的合意は事業でいうところのファーストプロダクトに当たるもののイメージです。これにずっととどまり続ける訳ではなく、そのプロダクトを次の人に渡して、その人が回せるようにしていき、実践と概念の構築の範囲を時間と共に拡張していきたいと思っています。

※3マスタリーテーマ:ライフミッションに向かって前進していくために、比較的長い時間軸(10年程度)で学習していく領域。

ミッション・ビジョン


建設的合意チームのミッション・ビジョン

インタビュアー:
少し視点を変えて、建設的合意チームの、チームとしてのミッション・ビジョンや、短いスパンで、ここ1・2年でで達成したい目標があれば教えてください。

山田:
建設的合意チームのミッション(存在意義)は、建設的合意の学び合うプラットフォーム作りというところにあります。プラットフォームを通じて相互に価値創造することを目指しています。

「お客様に対して〇〇の価値を提供する」。そのようなことが語られているミッションは世の中に多く存在すると思います。個人的に、そのようなミッションには少し違和感を感じていて。私のチームでは、そのような提供する側とされる側という立場が存在するものを作りたい訳ではありません。建設的合意を共に学ぶ場を作り、自分が何か教えてもらう・享受してもらう・受け取ってもらうばかりではなくて、共に学び合うという形で、相互に価値創造する。そういうプラットフォームづくりをしたいという思いがミッションとして言葉になっています。

インタビュアー:
その中で、2021年のビジョンとして、「礎を作る」というものがあると思うのですが、礎とはどのようなものをイメージされているか伺ってもよろしいですか?

山田:
そうですね、正直に申しますと、何か具体的なものが見えているわけではないです。何かコミュニティーのようなものが今あるのですか?と聞かれても、現状ない状態なんですね。そのコミュニティーと言えるもの、プラットフォームの最初のきっかけになりうるものを作りたいというのが今年やっていきたいことです。


プラットフォームの定義

インタビュアー:
ミッション・ビジョンにある「プラットフォームを作る」という言葉には、建設的合意チームのこだわりが詰まっているように感じます。ここで、山田さんが想像されているプラットフォームのイメージをもう少し具体的に伺いたくなりました。

山田:
10年後にこうなってるといいなと思っているもので言うと、街をイメージしています。

街には多種多様な人がいると思うんですね。そこには学校があったり、病院があったり、公園があったり、色々な機能が用意されています。建設的合意タウンは物理的にあるわけではないのですが、概念として存在していて、そのプラットフォームの住人として存在する人たちがいるイメージです。

そこには例えば、建設的合意で事故を起こした人が通える病院があるかもしれないし、リハビリ施設があるかもしれない。建設的合意って何なんだろう?というテーマを元に学び合うような学校があったりするかもしれない。街に住む人たちが憩いの場として集まれるような公園があったりするかもしれない。このように色々な機能がかね備わっている集まれる場を作りたいと思っています。

これが私の思い描いているプラットフォームです。私ひとりじゃなし得ないことだと思っています。色々な人が関わる中で、私の意思を飛び越えた機能が作られていって、私から切り離されていっても、どんどん有機的に、多種多様な形になっていくといいなと思っています。

現状、まだ更地の状態というか、これから何を作っていこうかな?というところですので、一緒に設計し、プラットフォームを作りたいなと思っている方が来てくれると嬉しいです。

連絡窓口

この記事をきっかけに建設的合意チームに興味を持ってくださった方はぜひこちらのinfo.ventures@reapra.sgにご連絡ください。

建設的合意チームの紹介記事(後編)は、8月19日(木)に公開予定です!お楽しみに!


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