小説 俺の勤め先が人殺しなわけがない! 第4話

この小説はフィクションです。実在の人物や団体とは関係ありません。

「Sは中核派そのものだ」
北領不動産代表取締役会長の小石清司は言った。
しかし、S氏は中核派系労組の組合員であると同時に、民青同盟員であり、立憲民主党衆議院議員の後援会、日本維新の会の党員、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の賛同会員、幸福の科学の三帰信者、顕正会の会員、そして入信から十年近いイスラーム教徒である。これ程の遍歴を持つ人間が素直に中核派のイデオロギーに洗脳されるはずがない。その点だけを見ても、小石清司は人を見る目がないと言わざるを得ないだろう。だからこそ、不動産市況が活況であるにも関わらず、会社の業績が悪化の一途を辿るのだ。

さて、S氏側の圧倒的な正義性を前に窮地に陥った北領不動産がとった驚くべき暴挙を見ていこう。
三回目の団体交渉が不調に終わった数日後、北領不動産代表取締役社長の小石優司の姿は道警本部にあった。相対するは警備部公安課のドスタム刑事。
まず口を開いたのはドスタム刑事だった。
「君たちが松竹派が日共を内側から変えようとしていることは公安警察としても高く評価しているよ。それで今日は困りごとがあるんだって?」
小石優司は最高礼で応じながら、緊張に震える声で答えた。
「はい!ありがとうございます!元帥閣下!
実は当社従業員が社会正義を訴えておりまして…」
ドスタム刑事は顔を紅潮させた。
「なに!?社会正義だと!?」
「はい。このままだと松竹派の計画にとってリスクになり得るかと…」
「分かった。こちらで潰す」
こうして悪の枢軸はS氏への秘密作戦を決定する。それが世界の歴史を大きく塗り替えることになるとも知らず。

その頃、クレムリンではプーチン大統領がパトルシェフ国家安全保障会議書紀から報告を受けていた。
「DSに動きがありました。日本のレプティリアン(ヒト型爬虫類)の最高幹部の一人であるドスタムが光の戦士を暗殺しようとしています」
プーチンは訊ねた。
「その光の戦士はそんなに重要なのか」
「はい、彼はキリストの再臨と噂されており、われわれの目指すテオーシス(人間の神化)実現の鍵となる霊性を持っているとFSBは分析しています」
「そうか。では特別軍事作戦を発動することにしよう」
こうしてロシアはS氏への支援を決定し、その情報はすぐさま中国やイランと共有された。ここに悪の枢軸と光の戦士たちによる世界最終戦争が幕を開けるのだ。(続く)

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