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web3系スタートアップ ~非ゲーム・非金融系ピックアップ~

備忘録も兼ねてweb3系スタートアップをピックアップしてみます。
前提とした用語メモ

  • web3:ブロックチェーン技術を基盤としたサービスやシステム

  • ブロックチェーン:情報に取引履歴データなどを付与したもの

  • NFT (Non-Fungible Token):一意で代替不可能なデータ

  • ミント:NFTを生成する作業のこと

情報に"取引履歴"という"時間軸"の概念を付与することで、様々な効用を創出できるのがweb3です

  • 食材の収穫~手元に届くまでのサプライチェーンを確認したり

  • 中古品の過去のすべての所有者や修理歴を確認したり
    することができます。


ブロックチェーンとして情報に取引履歴データなどを付与することで「過去の所有者が誰だったか」を生成時まで遡ることが出来るようになりました。
例えば500円玉があったとして、過去にその500円玉を持っていた所有者を辿ることは非常に難しいですが、仮想通貨などでは過去の所有者を辿ることが出来ます。現実の硬貨でなくともExcelファイルやコンピュータウィルスなど「過去の所有者」が分からないものは多くありますが、web3においては"出処"が分かるという特徴があります。

「クリプト」や「NFT」を冠したサービス名を使う事業者は多いですが、最近ではNFTを生成する作業である「ミント」を冠するスタートアップも増えているようです。いくつか海外のスタートアップをリストアップします。

分析ツール:Blaze

https://www.withblaze.app/
  • CRM&分析ツール

  • 開始年:2022年

  • 会社所在地:サンフランシスコ

金融サービスやコンテンツを売買するサービスは多く生まれていますが、次の一手として分析をしてビジネスに活かしていきたいというのは当然の流れかと思います。今の時点では時系列を含めたデータやユーザーを適切に取り扱うことのできる分析ツールがテックジャイアントから出ていないので、スクラッチから作るというのが選択肢として挙がるかと思います。
そんなときに使えるのがBlaze、ということらしいです。

【メモ】
「ゴールドラッシュで儲けたのは、金を掘っていたヤツではなく、掘る道具を売っていたヤツだ」(ピーター・リンチの言葉とされています※超意訳)
という言葉がありますが、プラットフォームを展開しているスタートアップはそれこそ雨後のタケノコのように出てきている状況で、業者向けに「稼ぐためのツールを売る」というのはアリなのかも知れませんね。

チャット:Mysterious

https://www.mysterious.io/

web3のチャットツールです。ブロックチェーンやNFTの流行りとしては通貨やコンテンツなどの「そもそも価値あるもの」が扱われることが多いですが、単純なメッセージにもブロックチェーン技術を活かすことは出来るわけです。
オープンなSNSやチャットではスパムコメントが当たり前となってしまっていますが、そのようなメッセージング環境に履歴の概念や信頼性を持ち込むというのは面白い取り組みだと思います。

フィットネス:wOS

https://www.getwos.co/

いわゆる x-to-earn系なのでゲームに近いのですが、フィットネス要素が強いので取り上げてみました。web3版のPelotonと言われています。"AmiwOS"というSNSアプリも展開していることが特徴です。
器具を使った筋トレや軽めのエクササイズなどのコースを視聴できるようです。またヨガのライブ配信などもしており、フィットネスの習慣化に取り組んでいるようです。

【メモ】
『モチベーション3.0』などによれば金銭的な要素でモチベーションを買い取ることは長期的に見れば良くない結果をもたらすということがあるので、私はモチベーションと取り替わってしまうようなx-to-earnについては懐疑的な印象を持っています。
しかし web3を一つのプロモーション要素として使うのであればアリなのではないかと思っています。まずは興味を持ってもらい、報酬などが無くても続けられるような魅力がサービスにあれば良いわけです。
ちなみにAmiwOSの"Ami"はスペイン語の「アミーゴ(友達)」から来てるのだと思いますが、メキシコでweb3をウリにしたスタートアップが生まれているという状況も現在のweb3のブームの様相を呈しているのかも知れません。

Pelotonとは

そもそも「web3版のPelotonなんです」と言われたところでピンと来ないかと思うので補足です。

Pelotonとは2012年からアメリカで展開されているオンライン型のフィットネスサービスで、器具の販売とコンテンツの配信をしています。
器具としてはエアロバイクにディスプレイを設置したものや、ボディトラッキング用のカメラなどが販売されています。コンテンツとしては録画されているものだけでなくライブ配信の映像もあり、同じコースに参加している他のユーザーと競争したり励ましたりすることができます。
日本でもコロナ禍で様々なオンラインフィットネスサービス・VRフィットネスアプリなどが登場しましたが、クオリティや規模で差がありますね。まだ日本には進出していないようなので、タイムマシン経営戦略としてシナジー効果の高そうな日本のフィットネス用品販売事業者さまが類似サービスを展開するのはアリだと思います。

https://www.onepeloton.com/tread

まとめ

今回はweb3で活用できる分析系、既存サービスのweb3版であるチャット、web3をチョイ足ししたようなフィットネスサービスをご紹介しました。日本に限らず全体的に金融やゲーム、デジコン関係にスタートアップが偏っており、何となくweb3の本領発揮に至っていない状況にあるのではないかと感じます。

冒頭に記載しましたが、例えば3次元から4次元に土俵が変わるようなものであるとすると新しいビジネスがいくらでも生まれそうなものですが、開拓者もユーザーもまだ状況の理解に追い付いていない…というのが実情かも知れません。


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web3の第1フェーズにおけるキーワードは「〇〇の民主化」?

「各個人が自身の責任と権利によって自由に行動を選択できるようにする」という目的(メリット)のための手段にweb3が活きてくる場合があると考えています。

いくつか有名な活用例・企業の新規事業をご紹介します。

スターバックス社の豆の追跡サービス

https://traceability.starbucks.com/

スターバックス社が2020年から提供しているサービスで、ユーザーはパッケージの9桁のコードを読み取ることで農場から自分の手元に届くまでの情報を確認することが出来ます。
仕組みとしては農場や輸送の各工程でブロックチェーン基盤の台帳上に誰が・いつ・どこで・どういう処理をしたか等の情報が保存されるようになっており、ユーザーはデータ検索システムで参照する…という形となっています。
イメージとしては連絡網や回覧板の履歴みたいな感じでしょうか。「自分の責任と自由によって、どんな豆を買うかを選ぶことができる」ようになったということから、「豆の選択を民主化することができた」とも言えるかも知れません。

『…豆の選択?』
豆なんてなんでも良い・誰かが管理している豆ならそれでよいから勝手にやってくれと考える方もいらっしゃると思います。しかしスターバックスの利用者は基本的に意識高い人が多いですから、環境問題にプラスになっているか、フェアトレードになっているかなど気にされる方が多いのではないでしょうか。それら意識が高い方の欲求に応える面白い企画であると言えるかと思います。

※例えばセブンイレブンなどは良質のコーヒー豆を大量に購入することにより価格を抑えて美味しいコーヒーを提供できている…と言われていますが、利用者の欲求に豆の取引履歴の確認機能はマッチしないのではないかと思われます。

ハネウェルの中古部品の取引履歴参照サービス

https://www.godirecttrade.com/

全米トップ100に入る航空機産業の企業で、部品を売買できるサイトを展開しています。まだ使える状態の不要部品やパーツが販売されているのですが、それらの製造時からの履歴が参照できることで品質保証が担保されています。品質保証が担保されている、、というのも不思議な表現ですが、ブロックチェーンで履歴を管理することで保証書の改ざんを防ぎ、良い情報も悪い情報も含めた正しい情報を手に入れて購入の判断をすることが出来るようになっています。

自動車やバイクでも中古部品というのは良くあるものですが、「適切な情報に基づいて、中古品を買うかどうかを選択できるようになる」ということは、既存の中古ビジネスに一石を投じるものです。

☆買い手と売り手の情報の差によって「安くて品質の悪い商品ばかりが流通し、高くて品質の良い商品が出回りにくくなる現象」をレモン市場と言うのですが、この中古市場の欠陥を明らかにした経済学者はノーベル賞を受賞しました。ブロックチェーンにより中古市場の欠陥をなくすことが出来るかも知れません。

おわりに

一度「まとめ」た後に、さらに文章を続けるというnoteらしからぬ記事を書いてみました。
こちらの記事をお読みになった方にとって少しでもweb3の理解のお役に立てたら幸いです。

ということで、もう一回
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