西野智彦

ジャーナリスト。主な著書に『ドキュメント異次元緩和』『平成金融史』『ドキュメント日銀漂…

西野智彦

ジャーナリスト。主な著書に『ドキュメント異次元緩和』『平成金融史』『ドキュメント日銀漂流』『検証経済迷走』などがある。23年度日本記者クラブ賞、第42回石橋湛山賞受賞。長崎県出身

最近の記事

「なぜ書かない」日銀総裁は不満だった(後編)

お待たせしました。先週公開した記事の完結編です。 時事通信社『金融財政ビジネス』2022年2月17日号に寄稿しました。(一部手直しした個所があります)。 「なせ書かない」総裁は不満だった ---日銀百年史とニクソン・ショック秘話(続き) 日本銀行百年史の編纂室長を務めた石川通達(いしかわ・みちさと)は、ニクソン・ショック発生直後の日銀の政策判断を確認するため、1971年8月16日午後に開かれた役員集会、通称マル卓を調べ直すことにした。 正副総裁と理事で構成されるマル卓は

    • 「なぜ書かない」日銀総裁は不満だった

      今から2年前、時事通信社発行の「金融財政ビジネス」(2022年2月17日号)に以下の記事を寄稿しました。 筆者が入手したある未公開資料を基に、1971年8月のニクソン・ショックを再検証しようという無謀な試みでしたが、これをきっかけに検証取材は本格化し、やがて「ドキュメント通貨失政」(岩波書店)という本に結実しました。 筆者にとっては、特に思い入れのある記事の一つであり、時事通信の許可を得て、ここに公開することにしました(一部改稿した箇所あり)。 (以下本文) 「なぜ書

      • 植田体制1年の政策検証

        皆さん、こんにちは。 植田和男総裁が就任してから明日で満1年となります。 このタイミングを捉え、新体制1年目を検証する記事を「世界5月号」(岩波書店)に寄稿しました。明日発売ですので、書店で見かけたら手に取ってみて下さい。 記事のタイトルは、「さらば!異次元の緩和政策-植田日銀の「解体作業」を追う」。 雑誌だけあってやや刺激的な見出しですが、内容は論評抜きのドキュメント形式。2023年4月の新体制発足時に打ち立てた基本戦略、そして7月に決断した突然のYCC修正と10月の

        • 大物官僚たちの「私の履歴書」(下)

          先週公開した前編の続きです。 2024年2月27日付NIKKEI Financialに寄稿しました。 金融政策や政策検証、オーラルヒストリーなどに関心のある方はどうぞ。 ⽇銀を嫌った⿊⽥⽒ にじみ出る⾦融政策観の違い 西野智彦が読む「私の履歴書」(後編) 史上最長の10年余にわたり日銀総裁を務めた黒田氏は、実は日本銀行の伝統的な政策思想を忌み嫌っていた。「根拠に乏しいリフレ派ははなから相手にしていなかったが、それ以上にドグマティックな日銀理論の方を嫌悪していた」と同氏に近

        「なぜ書かない」日銀総裁は不満だった(後編)

          大物官僚たちの「私の履歴書」(上)

          以下の記事は、2024年2月22日付「NIKKEI Financial」に執筆したものです。去年11月に黒田東彦前日銀総裁、今年1月に武藤敏郎元副総裁が相次いで日本経済新聞「私の履歴書」に寄稿したことから、2人が残した”自叙伝”を私なりの目線で読み解いてみました。政策検証について関心のある方はどうぞ。 議決延期請求24年⽬の真相 武藤元次官が明かす主役 西野智彦が読む「私の履歴書」(前編) 財政金融の政策検証に取り組んでいる筆者にとって、日本経済新聞は欠かすことのできない

          大物官僚たちの「私の履歴書」(上)

          近日公開です

          皆さん、こんばんは。 マイナス金利がついに解除されましたね。 これほど大量詳細に事前報道され、手垢のついた金融政策変更もありません。時代はすっかり変わったということでしょうか。 さて、やや古い話ですが、前日銀総裁の黒田東彦さんと、元財務事務次官で東京オリンピック組織委員会の事務局長を務めた武藤敏郎さんが、去年11月と今年1月、日本経済新聞の「私の履歴書」に寄稿しました。 いずれも旧大蔵省を代表する「スーパー官僚」であり、バブル崩壊後の日本経済の舵取りに深く関わってきました

          近日公開です

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          皆さん、初めまして。 ジャーナリストの西野智彦です。 これまで組織ジャーナリズムの一員として、活字や映像を通して情報を伝えてきましたが、時代の流れに取り残されないよう、ネットでも発信していこうと考えるようになりました。 私の取材分野は主に財政金融です。 特にここ数年は異次元と呼ばれた金融政策を追ってきました。 当面はこのテーマを中心に「埋もれたファクト」を掘り起こし、記録していきたいと思っています。 これと並行して、X(旧Twitter)も始めました。 こちらはより頻

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