種まき⑨建設現場は障がい者施設に?#15:84歳社長が死んだら終わる会社
就職先は地方の家族経営の町工場。84歳社長が全てを取り仕切っている。
社長が死んだら、どうなるか誰にも分からない。
今後やっていきたい種まきを紹介していく。
9個目:稼げる福祉へ
障がい者が増える仕組み
十数年前、保育士の資格を取るために、日本の中でも大きな福祉法人が運営している専門学校に通っていた。
学校の周りには福祉施設もたくさんあり、見学や実習にも行ったり、ボランティア団体を作って、障がい者の方を外に連れ出して、イベント出店したりもしていた。
障がいに関しては、名前が書ければ入れるような専門学校の授業で学んだことなので、表面的にしか分からない前提で書いていく。
まず、最近発達障がいが急増している。
もちろん、先天的な物なので、添加物とか放射線とかゲームの影響ではない。発達障がいが多くの人に認識され、保育園も学校も積極的に診断を求めるから、昔なら「変わった子」で終わっていた人が、障がい者になっていく。
それに加え、社会の中で健常者の範囲が狭くなっているような気がしている。
正規分布の図を見ればわかるが、極端な話、昔は2σの範囲に入っていたら健常者だったのが、1σの範囲に入らないと健常者とならないなら、障がい者は27%も増えることになる。
例えば、昔は毎日斧で薪を割り続けている男性や、ずっと子どもの遊び相手をしている女性は健常者に入っていたかもしれない。
同じ薪割という仕事でも、
①朝起きたら庭に行き、自分のペースで薪を割って、積み上げるだけ
②毎日、着替えて、車で会社に行き、1日の計画を聞いて、機械を操作して、トラブルが起こればメンテもして、フォークリフトも運転して、出荷の手続きもして、上司や同僚とコミュニケーションもとり、飲み会にも参加し・・・
子どもの遊び相手でも
①子供が泣いたらあやして、遊ぼうと言ってきたら遊んで、悪いことしたら叩いていう事を聞かせる
②専門学校や大学に通って勉強もピアノも運動も実習もして保育士の資格を取る。就活をして就職する。女の世界で空気を読んで目立たないように周りと同じ行動をする。計画通り、時間通りに保育をしていく。暴言や暴力を使わずに子どもを何十人もコントロールする。アレルギーや障がいのある子へ特別の配慮もする。保護者の対応もする・・・
同じ仕事でも①ができていれば健常者の範囲に入っていたのが、②ができないと健常者の範囲に入らなくなったら、それは、障がい者の割合は増える。
保育士も学校の先生も医者もみんな②ができる人しか続かない。我慢して人のいう事を聞くのが仕事。
その人たちが②ができそうにない子を障がい者と診断して、あらゆる方法で②ができる大人に育てようとする。
僕も、今の時代に生まれて、保育園に入っていたら、発達障がいを疑われていた可能性は十分ある。
職人、アーティスト、創業者・・・そんなサラリーマン以外の人は、今ならみんな発達障がいの診断を受けていたかもしれない。そして、子どもの頃に矯正されて、今の活躍はなかったかもしれない。
僕も含めて、一定数の人は、集団生活の中で空気を読んで動くことが苦手な人がいる。自営業から就職が当たり前になるにつれ、例えばそういう人が、どんどん障がい者認定されていく事になる。
地域で福祉をしていた時代
福祉というのは、主に行政がお金を出すもの。施設運営は計画と報告書が全て。
その人に合った支援をするのではなく、その施設に合った事を無理やり障がい者にさせている。(職員は可能な限りその人に合った支援をしようとしているが、可能な範囲が狭すぎる)
だから、なんかもう、意味の分からないことになっている。
保育士が建設現場で働く職人たちを見ると、発達障がいだらけに見えるかもしれない。今は凄く改善されているらしいが、昔の話を聞いたら、もっと酷いものだったらしい。
それでも、その職人たちはなんだかんだ自立した生活を行っている。
今だったら、障がい施設に通って、支援を受けて、就職していったような人が、親が近所の会社の社長に頭を下げて「この子をよろしくお願いします」と言っていた時代が有った。
うちの社長も、多くの人をよくお願いされていたと言っていた。
地域で福祉を
福祉を志すような学生が町工場や建設会社に入社することはないと思うけど、福祉施設で就労支援をするくらいなら、直接会社側に支援者を入れて、就労支援をしていけばいいと思う。
メリットとしては、
①無駄な税金を使わなくて済む。
少し前の保育園の話でも書いたけど、福祉をやるような人たちは良い人だけど、生産性とかの概念がない。とにかく非効率極まりない。
現場で直接就労支援をすれば、支援施設の建物が小さくて済む。
場合によっては、支援者の人件費を企業が一定割合負担すれば、人件費も安くなる。
②支援を受ける方もやりやすい
施設で就労支援を受けて、企業へ就職するよりも、直接企業で就労支援を受けた方が、働く方も楽になる。企業の方は小さければ小さいほど、障がい者福祉の事が分かる人はいないので、せっかく採用しても、何をどう配慮すればいいか分からない。
それを直接現場で支援者が間に入って良い環境を作ってほしい。
③支援をする方もやりがいがある
福祉施設なんて、職場環境としては悪い方だと思う。それは、職員が外の世界を知らないから起こる問題も多い。
福祉施設でわちゃわちゃやっているより、利用者が現場に馴染んでいく所を支援できた方が良いと思う。
現場で活躍すれば、企業から良い待遇でスカウトされることも多いと思う。
福祉の知識は、障がい者に限らず、職場の環境改善に役立つことも多いはず。
他にもメリットは色々考えられる。
・会社側も人手不足の時代に、人を増やせるかもしれない。
・福祉に関わる人が工場に来たら、新しい商品ができるかもしれない。
・すでに会社にいる人も働きやすくなるかもしれない
福祉だからお金儲けと切り離すというのは、もう現実的でない。
なんなら、福祉法人の理事たちは金儲けのために施設運営していたりする。
税金から給料をもらうとろくなことにならない。
社会全体を見て、課題と課題を掛け合わせて、問題を解決して稼いでいく事が必要な時代。
こだわりが強い人も、工場で物を作らせれば、誰にも負けないかもしれない。
毎日時間通りに生活する、人の下で仕事をする事がそもそも苦手な人も多い。そういう人は、自分で事業を起こせばいい。
福祉は税金でやるものという考えを、そろそろ止めたい。
84歳社長が死んだら終わる会社シリーズ↓
”僕”の自己紹介↓
登場人物
登場人物 会社の人たち
僕:この物語を実況している人。入社3年目のアラフォーおじさん。
社長:50年以上前に創業した町工場の社長:84歳
奥さん:社長の奥さん。お金周りを担当:70代後半
専務:創業時からいる社長の弟。最近間違いが多い:80代
孫くん:社長の孫。最近会社に来ていない:20代前半
娘さん:社長の娘。月に1週間くらい来て事務をする:50代
ベテラン職人:何でもできるがこだわりも強い。社長の義理の弟:70代半ば
取付職人:現場の取り付け担当。最初だけ丁寧:70代半ば
営業:いつも適当な図面を描いてくる:60代後半
中堅職人:新卒で就職したが独立、従業員ではないが、手伝ってくれている:50代
登場人物 社外の人たち
兄ちゃん:取引先で出会った「何者」かになりたい田舎の工場で高卒で働く兄ちゃん。商品の販売をお願いした。
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