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☆私がここ数年で一番衝撃を受けた本「女の子たち風船爆弾をつくる」 

「女の子たち風船爆弾をつくる」

「女の子たち風船爆弾をつくる」小林エリカ著

 ここ数年の中で私が一番衝撃を受けた一冊。
 読み始めてしばらくは、独特の文体に違和感があった。だが、読み進めていくうちに、その文体が必然であることに気がついた。そして、人ごとではない話として引き込まれていった。
 
 戦後79年が過ぎた。あの戦争で多くの人が命を失った。多くの人が家族や大切な人を亡くした。多くの男子学生が、女子学生が、勤労動員に行かされた。多くの女性が死ぬより辛い屈辱の日々を強いられた。そんなこんな、おびただしい数の「私」を作り出した戦争。
 
 全国各地の女子学生が秘密裏に製作させられた風船爆弾。その中には、太平洋を渡り、遠くアメリカ西海岸までたどり着き、目的通り人の命を奪ったものもあった。本の中には、あまり知られていないと思われる「その後」の逸話も出て来る。
 
 著者の小林エリカさんは、非常に丁寧に文献にあたり、可能な限り関係者に取材し、この本を完成させている。その熱量は驚異的だ。

 この一冊に出合えてよかった。
 あらためて平和であることの大切さを痛感した。
 私はこれからも、未来の平和を守るために、過去に学び続けたいと思う。

日露戦争30周年に日本が沸いた春、その女の子たちは小学校に上がった。できたばかりの東京宝塚劇場の、華やかな少女歌劇団の公演に、彼女たちは夢中になった。彼女たちはウールのフリル付きの大きすぎるワンピースを着る、市電の走る大通りをスキップでわたる、家族でクリスマスのお祝いをする。しかし、少しずつ、でも確実に聞こえ始めたのは戦争の足音。冬のある日、軍服に軍刀と銃を持った兵隊が学校にやってきて、反乱軍が街を占拠したことを告げる。やがて、戦争が始まり、彼女たちの生活は少しずつ変わっていく。来るはずのオリンピックは来ず、憧れていた制服は国民服に取ってかわられ、夏休みには勤労奉仕をすることになった。それでも毎年、春は来て、彼女たちはひとつ大人になる。

ある時、彼女たちは東京宝塚劇場に集められる。いや、ここはもはや劇場ではない、中外火工品株式会社日比谷第一工場だ。彼女たちは今日からここで、「ふ」、すなわち風船爆弾の製造に従事する……。



膨大な記録や取材から掬い上げた無数の「彼女たちの声」を、ポエティックな長篇に織り上げた意欲作。

Amazonの紹介文より引用


※本投稿はAmazon アソシエイトから収益をいただいています(申請中)





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