見出し画像

宝塚を観てきた

雨の東京で、宝塚歌劇(以下、宝塚)を観てきた。今年初の生観劇だ。

10年ほど前に出会い、これまで幾度となく私の心を揺さぶってきた宝塚。顔の筋肉が痛くなるほど笑ったこともあれば、感情移入しすぎて訳も分からず泣きじゃくったこともある。ただのミュージカルと言われればそれまでだけど、私にとって宝塚は特別な存在だ。

宝塚を受験することもできたけど、私には受験など頭になかった。例年、定員の10数倍もの乙女たちが志す中で、私が彼女たちと同じレベルでやっていける自信はどこにもなかったのだ。実際にやるよりも観ている方が性に合っている。


で、今回観てきたのは、お芝居とショーの2本立て。特にお芝居は、世界的に有名なインド映画『RRR』の舞台化とあって、話題になっていた作品だ。

一言で表すと、私が観てきたものがすべて幻だったのではないかと思うくらい、一瞬で過ぎ去って記憶の欠片となった。『RRR』は様々な人間模様が見え隠れしながらも、最終的にはお祭り騒ぎのハッピーエンド。拍手喝采の超大作だった。

ショーは、ちょっと気になっていた演出家の通常公演(宝塚大劇場・東京宝塚劇場公演)デビュー作。時代の流れのせいか、演出家の個性の影響か、最近のショーは物語の要素が強い気がする。むしろその方が見入るから、個人的にはストーリー仕立ての方が好みなんだけどね。他の作品に例えるのは演出家に失礼かもしれないけど、『不思議の国のアリス』のアナザーストーリーを観ているような気分だった。それくらい、おとぎ話の世界に迷い込んだかのような感覚を味わった。


休憩も含めて3時間。劇場の外に出ると、開演前よりも雨足が強まっていた。楽しいことがある日には大抵雨が降る。今夜も雨女の力を遺憾無く発揮したようだ。

幻だと疑いながらも、頭の片隅には確かに残ったこの3時間の記憶。溢れんばかりのエネルギーを力いっぱい握りしめながら、私は東京を去った。

最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。いただいたサポートは、私らしくあるための自己投資として使わせていただきます。よろしければ、サポートお願いします!