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Journey to myself -私に戻るまで- 02. 転機への梯子

今回の転機は、いきなり退職・起業というのではもちろんなくて、そこに至るまでに梯子のような、いろいろな人たちとの出会いと関わりを通して、進んでいったように思う。

そして思えば前職時代から、緩やかにではあったけど、自分の中で「意識のシフト」が起こっていた。

今年の3月まで約8年務めた前職の環境はとても恵まれていて、チームのメンバーも好きだったし、お仕事自体も好きなデザインの仕事だった。今でも前職の会社には恩を感じているし、これまで一緒に仕事してくれた方々には、本当に感謝の気持ちしかない。

ただ組織の中でのミッションが、自分のやりたいことの「ど真ん中」か?と問われると確信がなくて、そもそもこれまで「周囲の期待に応え、評価される」という軸で仕事をしてきた私は、自分のやりたいコトの「ど真ん中」について、立ち止まって考えたことなどなかった。

だから、3年くらい前に、前述したユニリーバ島田由香さんの「ベクトルが常に外に向いた状態になっていると、人は生きる目的を見失う。」の言葉に遭遇したとき、私は、「あなたは何者で、人生で何を成して生きる人なのですか?」と問われた気がして、同時にその問いにまるで答えることができない自分に気づき、愕然としたのだった。

心と身体が追い詰められてしまった過去の経験も、環境に問題があったというよりは、自分や他者に対する「私自身の認識や考え方」に課題があるんだ、ということは感覚的にわかっていた。

でもいったい、何をどう変えたらいいんだろう・・・?

幸運なことに、前職時代のある一人の上司との出会いは、その問いに対するひとつのヒントになった。

その方は、私が今でもとても尊敬している元上司で、「心から仕事を楽しむ」とはどうゆうことか、自分でそれを体現しながら、私に教えてくれた人だ。
人の顔色を見ながら仕事してしまう私の癖に、上司は早いうちから気が付いていて、「人の目なんか、気にするな。お前が心からやりたいと思った仕事、得意な仕事だけを全力でやれ。お前の唯一の弱点は、自信のなさだ。」と、よく私に語ってくれていた。

私が言うのは非常におこがましいのだけれど、その上司は「誉めて伸ばす」の達人で、部下の能力を全身全霊で信じてチャレンジさせ、個性を見出して活かす、本当に理想的な上司だった。

前職で経験したいろいろな仕事の中でも、特に好きだと思えていた仕事が「プレゼンテーションの講師」という仕事だった。
上司に「お前はこれが得意なんだから、もっともっと幅広くやっていけ。」と言ってもらったのをキッカケに、私ははじめて周囲の評価ではなく、自分の内側から出てくる「これをしたい」と繋がりながら、仕事をしはじめた。

プレゼンの先生の仕事は、最初は、いろんな現場で困っている人たちの役に立ちたくて始めたのだけれど、上司やいろいろな人の影響を受けて次第に、私自身が仕事を「楽しむ」モードに切り替わっていく中で、同じように「周囲の目や評価ではなくて、自分の想いを起点に表現しながら働く人」が増えていったら素敵だなと思い始めて、そんなメッセージが伝わるような内容に仕立てて、たくさんの人に伝えていた。

そうしているうちに「共感しました」とか「元気をもらいました」という、メッセージがたくさん届くようになって、私自身も、自分が楽しんでしていることで、誰かに喜んでもらえたり、役に立てたりすることが、こんなに嬉しいのかと、感動を味わうようになっていった。

徐々に「他人軸」から「自分軸」に、働くというコトへの意識が変わっていっていたものの、上司にも言われていた「自信のなさ」は依然として大きな課題で、失敗を極度に恐れるところや、評価を気にしすぎるところは、いまだ「曇り空のような憂鬱」の原因になっていた。

誰に言われるでもないのに、自分で自分に「〇〇でなければならぬ(例えば〇〇でなければ自分には価値がない/愛されないなど…)」という類の思い込みがあって、それを自分ではどうやっても取り除くことができないでいた。

よく「ありのままの自分を受け入れる」と言うけれど、その時の私にはそれがどうゆうことなのか、まるでピンと来ていなくて、でも自分の中には本当はもっともっと大きなエネルギーがあるのに、それが何かにせき止められているような、そんな感覚があった。

もっと大きなブレイクスルーを起こせるなら、起こしたい…

でもたくさんの心理学系の本を読むことも、自己啓発セミナーでの学びも、自分で考え得る、出来ることはもうすでにやり尽くした感があって、これまでとは違うかたちで誰かのサポートが必要だと感じていた。

精神的に落ち込んだら、気を紛らわしたり、お薬に頼ったりするのではなくて、自分をちゃんと根っこから癒したい。その願いがピークに達した。
(つづく)

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