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日常を非日常に変える小さな工夫とは

Joyful(感性を磨く本)

Joyful(イングリッド・フェテル・リー著 ダイヤモンド社)を読んだ。

世界有数のデザインコンサルティングファームIDEOに所属する同氏が、世界中を旅して周り、人が何に”喜び”(Joyful)を感じるのか、徹底的に分析したものだ。

著者によると、人が喜びを感じる物は大きく10のカテゴリーに分けられるのだという。

具体的には、色や光、多様さや複雑性、円や玉、上昇する構造などといった物理的な特性が10に分類されており、それによって、人の精神や心理にどのような影響が生じ得るのか、個人的な体験エピソードも交えて紹介されている。

感覚を刺激する家

中でも私が気になった内容は、一見すると快適に見える家が、実は脳や感覚を衰えさせるものだというものだった。

本書の中で、オランダで行われている「スヌーズレン」と呼ばれる感覚を刺激する仕掛けの施された部屋による精神治療法や、荒川修三とマドリン・ギンズが東京の三鷹に建てた三鷹天命反転住宅が紹介されていて、五感を刺激する環境が、いかに人の精神や心理に影響を与え得るのかということについて考察がされていて、とても興味深かった。

荒川修三さんの作品は、以前に岡山の奈義美術館で観たことがあるが、空間認知感覚を揺さぶられたような記憶がある。

日常に小さな変化を加える

見慣れた風景に少しづつ意外性や驚きを加えることで、人の精神面にも大きな影響があるということに、これまでさほど意識をしてこなかったが、ちょっとした工夫で、日常に変化を起こしていくことはできそうだ。

例えば、我が家では5歳の娘が折った折り紙が散乱しまくっていて、収拾がつけられなくなる時がある。

本書によれば、

不揃いなものも、1ヶ所に纏めて置いてみると統一感が出る

とのことだったので、早速試してみたら、散らかっていた部屋の一角が見事に素敵な空間になった。

合理的な脳を解きほぐし、面白い生活をつくる

大人はとかく部屋を整理整頓したくなってしまうものだが、子供は好き放題に散らかしてしまう。

でも本書を読んで、複雑さや多様な状態を生んで、常に感覚刺激を求めるのが人間の本能であり、喜びなのだとすると、こうした子供の行為も少しは理解できる気がした。

子供の作った作品をさりげなくセンスよく飾ってあげる。

これはある種、合理的になりがちな脳ミソを解きほぐし、少し遊び脳を作っていくということなのかもしれない。

そんな小さな工夫の積み重ねから、創造的で面白い暮らしやアイディアも生まれてくるような気がした。

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