ジムに行くと顔がシュッとしてくる説

2023/06/06 火曜日

 あり得んくらいに気分が沈んでいたので体を動かしに行った。
 平日の夜なのでそんなに人いないかなと思っていたら20:00時点で施設の中の7割くらいの器具が使用中だった。アフターファイブに体を動かそうとする人がこんなにいるというのが自分にとってはまあまあの衝撃だった。みんなそんな体力あるん。
 自分みたいに体力をつける目的なのか、ただの筋トレマニアなのか、暇つぶしくらいの感覚なのか。どれにしても筋トレしてる最中の人はなにか神妙そうな顔をしているか、トレーニング楽しいって顔してるかのどちらかだなと見ていて思った。

 そういえば、昔から不思議だと思っていたのがスポーツをやっていた人は大体が顔つきがシュッとしている。ぼんやりとした目をしている人はあまりいない。
 一つの仮説だけど、それは姿見をよく使うからじゃないかと思った。トレーニングする時にフォームや体型の確認をするため、自分を鏡越しにチェックする。すると自分の中で考えているよりも少し客観的に自分を見つめ直すことができる。鏡を見る時、人はなりたい自分が確かに存在するはずで、その理想像とのギャップを意識的にも無意識にも埋めようとするんじゃないか。鏡で自分見るとがっかり……みたいな体験は大体の人があるもんな。
 現に前を通り過ぎる人が自分のコンデションを鏡で確認しながら歩いていた。二頭筋を確認するお兄ちゃん、嬉しそう。お尻の張りを確認するお姉さん、まだ不服そう。というのが目に入る。
 前を見ると、当たり前に自分の姿も目に入る。冴えない。仕事で疲れてるのか、全部嫌になっている憮然とした気持ちが顔に出ているのか。そして貧相な体も目に入る。座るだけで軽いダメージを受けた。

 〜〜プレスとかよりもエアロバイクが自分は好きらしいというのがわかった。そういえば一年目の現場で場内自転車移動だった時は結構毎日いきいきしていた気がする。仕事だから耐えられていたのもあるけど、そんなに嫌じゃなかったんだろう。無心で漕ぐ。汗が流れる。息が切れる。足が重くなる。大体10分くらい漕いで、ふーっと前を見るとまた自分がそこにいる。
 明らかに漕ぐ前の自分より顔つきが変わっていた。まず目が開いているし、何より顔の浮腫みがなくなった。血流が良くなったのだろう。なるほどこれか、スポーツマンの顔がシュッとしているのは。鏡を見て理想の体を作っていくからだけじゃないのだ。普通に、汗をかいて血の巡りが良くなって、浮腫みとか余計なものが落ちていくんだと。ごく当たり前の結論に達した。当たり前だけど自分で身を持って体感するってのは良いことだよね。

 ジムを終えて帰宅する。体は疲れたしトレーニングの間は無心になれたが、憂鬱な気分は特に改善することはなかった。うーん、血の巡りが良くないのか。継続すると変わっていくのだろうか。第三話へ続く

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