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とあるプロジェクトの立ち上げ記録 D×2真・女神転生リベレーションの場合 その1

と、いうことで、そろそろ大抵の人に興味がありそうなタイトルについての話に移ろうと思ってアンケートを取ってみた。

サカつくの悲しさよ…こっちの方が歴は長いぞ俺は?!オールドトラフォードでユーベのウルトラに囲まれた話とか聞きたくない?!

まあ、結局、僕はD2の人として認識されているのだ、ということだ。ありがたいことである。

何しろ、僕は生粋のメガテニストだ。ドラクエ・FFよりメガテンを好み、セガの新卒面接で、最近面白かったゲームについては「ソウルハッカーズとサカつく」と答えた。「真・女神転生Ⅲ」には感銘を受けたし、マニアクスももちろん買った。貸してあげた徳永君、まだ持っているのなら返してほしい。

もちろん、当時は全くかかわりのない会社だったので、セガに入ってメガテンにかかわれるとは思っていなかったのだが、こういう機会が得られたのは奇跡のようなものだ。改めて、メガテンシリーズを作り続けてきたアトラスの皆さんに感謝したい。

しかし、本来はもっと大きな成功をおさめて恩返しをしたいところだったのだが、それは僕の就任時には叶わなかった。プロデューサーとしての僕としては「負け戦」と言っていいと思う。

前置きが長くなったが、そういう意味ではこれは失敗談の一つになると思う。僕は「勝利の方が負けよりも得られるものが圧倒的に多い」と持論としているが、他人から成功談を聞くよりは、失敗談を聞く方が勉強にはなると思っている。成功するメソッドなど変わり続けるが、失敗する要因は割と普遍的なものだからだ。

そういう意味では本編を記すのは「プロジェクトを進める」ということのなにかの学びにはなる気がする。CEDECとかで講演するのはあまり好きではないので、そういうつもりで読んでもらっても、D2プレイヤーの方以外にも貴重で、面白いものになるかもしれない。

偉くなったらドロをすすれ。

セガネットワークスの部長時代には、昇進する部下にはこういう言葉をかけ続けていた。まあ、ただのサラリーマンとしての心得なのだが、我ながら的を得たことを言っているとは思う。

スマートフォンのゲームを専門で作る「セガネットワークス」が設立されて、僕はセガ本体から転籍することになった。1タイトルのプロデューサーという立場でなく、プランナーを束ねる企画開発部の部長にもなり、より経営に近いところに立場が置かれることになった。

そうなると、自分のやりたいことを優先してやるわけにもいかない。なにしろ新しい会社なのだ。タイトルを作り、人を採用し、育成してマネージメントする。これらを並行してやり続ける。言葉で書くと簡単には見えるが、それはもう目が回るほど忙しい毎日だった。

やりたい企画もあったが、それよりは今会社に必要なものを優先して進めていた。チェンクロVなどは正にそうだし、スパクロもそうだ。「とにかく今は下支えすることが自分のすべきこと」と思ってただただ仕事をし続けていた。結果として人は育ち、開発も強固にはなったのだが・・・。

セガのスマホのヒットタイトル「チェインクロニクル」と「ぷよぷよ!クエスト」はセガネットワークスの内製タイトルではない。セガ本体で作ったタイトルだ。(だからチェンクロの松永君とぷよぷよの細山田Pは神認定している。)

「俺は泥をすするから、お前らどっちかがホームラン打て」と、リーダーに激を飛ばして進めてもらった「モンスターギア」「戦の海賊」も大ヒットとまではいかず、数字的な大きな成果には結びつかなかった。

そろそろいいだろう。十分泥はすすった。次は自分でやって結果を残す番だ。

「そろそろ俺もやりたいことやらせてください」

そういう僕に異を唱える人間は誰もいなかった。これも泥をすすり続けた成果かもしれない。

そして僕は二つの企画を進めようと心に決めた。一つ目は「ワールドカップに合わせたサカつく」だ。これはツーベース狙いの企画。好球必打で間違いなく売れる。

そしてもう一つが

「メガテンのスマホ版を作る」

というものだ。これで、ホームランを打つ。D2はそういった背景から企画が進むことになったのである。

続く!(これ、何話になるんだろう・・・)

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