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Fujifilm、GFXのクラシックネガが素晴らしい話 - XとGFXのクラシックネガの比較を通して -

はじめに

よくGFXを使っている人がフィルムシュミレーションには「さらに上の格がある」と言っているのを見かける。
これはGFXを使っている自分も同じ感覚を持ったことがある。それはクラシックネガを使っているときだ。

はじめてX-pro3でクラシックネガを使った時は、これがデジカメなのかと感動したものだが、どうしてもクセが強く色々な場面で使いにくいと感じてしまい、結局プロネガスタンダードやクラシッククロームを使うようになってしまった。

しかし、そんな中で購入したGFX50Sⅱでクラシックネガを使用したときに、全くXシリーズとは違った独特の雰囲気を感じ、非常に感動したのを覚えている。

GFX50sⅱ  Gf80mmf1.7
クラシックネガを元に調整


XとGFXのクラシックネガは使いやすさが違うような気がするのだが、こちらを記事にしている人は少ない、ということでXとGFXのクラシックネガを比較しようと思う。
XやGFXの購入においてクラシックネガの有無を検討している方にはぜひ読んでいただきたい。

前提として

スペック的な違い

GFXとXのスペック的な違いは大きい。
まず大きな違いはセンサーサイズだ。(センサーはレンズから通った光をキャッチする場所と思ってくれれば良い)
GFXはラージフォーマットと呼ばれる、フルサイズ(35mm)よりも大きいセンサー。XはAPSCというフルサイズよりも小さなセンサー。
このセンサーサイズの違いは、ダイナミックレンジに大きく現れる。つまりハイライトとシャドーの豊かさ、幅広さが違ってくる。

まとめると、GFXはセンサーが大きい分、ハイライトやシャドーに情報が残りやすく、明るいところから暗い部分までの写りが豊かになる。Xはセンサーがそれより小さい分、許容範囲が狭い。

クラシックネガの特性

公式では以下のように記載されている。

スナップシューターに愛用されてきたネガフィルム「SUPERIA」がベース。
メリハリのある諧調と、彩度を抑えつつも明部と暗部の色味を変えることで深みを増した色で、立体的な表現が得られます。


個人的な印象としては、シャドウ、ハイライトの間は狭めに設定されていて、ハイライトにマゼンタ、シャドウにグリーンが乗っている。緑には青寄りに振ってあって、彩度輝度ともに落とし気味、赤はどちらかと言うと朱色に近いような形に設定してある。そんな印象だ。

X-Pro3 
クラシックネガ 撮って出し


こちらの作例にあるような緑。
そうそうこれがクラシックネガ!という感じだ。
これはカメラの設定で、ハイライト下げとシャドウ上げしてるので多少はコントラストは落ちて見えるが、設定を弄らずにとるとかなりシャドウの暗さは際立ってくる。(これが公式の言う「立体感」にも繋がるだろう。)

XとGFXの比較

撮り比べ

まずXとGFXで撮り比べてみたので見ていただこう。
レンズも同じ画角、F値はセンサーサイズも考慮して換算上は同じになるよう撮影した。

使用機材
(上の写真)
・X-T4
・Xf33mmf1.4(撮影はf2で設定)
      VS
(下の写真)
・GFX50sⅱ
・Gf63mmf2.8

※ ホワイトバランス、シャドウ、ハイライトなど各種設定は全て揃えて撮影した。
※ 場所、時間帯も揃えて撮影を行った。


上 X-T4
下 GFX50sⅱ

上 X-T4
下 GFX50sⅱ

色作りについて

GFXとXの比較をする中で、1番違うポイントになりそうだと感じたのが色作りである。

GFXのクラシックネガの方がどんな場合でも使いやすいような汎用性がある印象を持っていた。では、なぜXの方は時と場所を選ぶような特性があると感じたのか、そこら辺について読みといて行きたいと思う。

①の写真
毛糸の色出方には大きな差は感じられない。どちらも綺麗に色が出ている。
違いが出ている場所というと、毛糸が乗っている板の色の違いが大きい。

左 X-T4
右 GFX50sⅱ

Xシリーズは下の板の色に緑が少し乗っている。
一方、GFXは下の板に緑の色味はあまり乗っていなくて、暖色に近いような色味が残っている。

私はこういうところに写真に与える印象の違いが出てくると思う。そして、GFXの方が好きだ。
毛糸の色がシックな風味になっているからこそ、板の色に暖色が残っていると、全体としてバランスが取れているだけでなく、温かみを感じるような空気になる。
実際、この写真を撮った時も昼下がりの暖かい時間帯だったから、私の目の前に広がっていた光景もGFXの空気感に近かった。
Xのクラシックネガは、クラシックネガの引力が少し強いためにその場の空気感を超えてしまうことがあるんじゃないか、そう思った。

②の写真

②の方が違いが濃く出たかなと思う。
緑の色はたしかに両者近しいものがあったが、鉢植えの白い部分やその周りのカーテンや床の色。こういった主題以外の部分に色の違いが濃く出た。

左 X-T4
右 GFX50sⅱ


先述したように、どうやらXのクラシックネガは暗部に緑がかぶる傾向が強いようだ。イメージは画面全体に緑のフィルターをかけていると思ってもらっても良いかもしれない。
一方、GFXはカーテンや鉢植えなど、小さなハイライトの部分にマゼンタが乗っている。

まとめ

両者のクラシックネガの間にはわずかだが大きな差があるように思った。
カラートーンは概ね同じだし、ハイライトとシャドウのバランスもおおかた似ていた。こういった基本の部分はXでも問題なく力を発揮するだろう。

一方、「Xはシャドウにグリーンが乗りやすい」性質が見て取れた。

私はこれがわずかだが大きな差であるように思うのだ。

例えばポートレートで逆光の写真を撮った時に、顔の部分にグリーンが乗ることになる。するとどうしても被写体の肌色が綺麗に映らなくなる。

今回もその絵作りの差にも影響を与えた。
主題の部分は同じように写っても、主題以外の部分に緑が乗りやすくなってしまうと、トータルで見た時のバランスが「緑っぽいな」という印象に近づいてしまう。
それに比べ、GFXはシャドウの中でも明るめの部分にはマゼンタが乗っていて、それ故にカーテンや床に少しぬくもりがあるような質感が残っている。
するとトータルで見た時に、フィルムライクな感覚は受けつつも、緑に振り切ってないのでその場の空気感や温度感が伝わりやすくなる。

そのために、私はXシリーズを使う時はクラシックネガは使わずに、クラシッククロームを採用している。
一方でGFXを使う時は、マゼンタとグリーンのバランスの良さを信用している上に、フィルムのような写りになりやすいため、クラシックネガを使っている。

最後に、GFXのクラシックネガを使った写真を貼ってGFXを布教しようと思います。

では🗻

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