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博多ホッピング! 12軒はしごしたら、愛が生まれたはなし。

ちょいと前置き
長く編集ライターをしていると、びっくりするような理由で原稿がボツになることがある。しかしこんな時代だ。黙ってボツにするものか! と、公開することにしたのが今回の記事。いやほんと、これマジ身体はってます。だから読んで欲しい! Re:S noteを定期購読していただいてる人はもちろん、200円単品でも購入可ですが、無料でも、肝の部分は外さず、かなり最後までしっかり読めるので、ぜひー!

○プロローグ「福岡の正解」

現在は秋田県の「なんも大学」というネットメディアの編集長を務めるなど、兵庫県在住ながら様々な地方に赴き仕事をする僕は、博多にも、かれこれ10回以上は訪れている。それでも他の魅力的な街と比べて格段に愛があるわけではなかった。けれど今、僕はモーレツに博多を愛してる。しかしそれはあくまで結果だ。自宅近くの駅から始発列車で伊丹空港に向かい、直行便で朝8時半に福岡空港についた僕のテンションは、どちらかというと眠気と疲労でダダ下がってた。

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福岡空港ですでに僕を待っていたのは、控えめに言ってなお福岡嫌いのカメラマンの清永くん。彼は東京で活躍するカメラマンながら出身は福岡県大野城市。だけど若いうちの情熱が郷土を排他してしまったんだろう。10年来の付き合いの僕は、とにかく浮き足立つものが嫌いな彼の性分を知るゆえに、なんだかそれも納得できる気がした。だって福岡はイケてる街の代表

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それが証拠に、奇しくも僕らが福岡空港に降り立ったその日、雑誌「BRUTUS」の福岡特集号「福岡の正解」が発売された。「BRUTUS」 が国内の都市で特集号を作るのは初。これがまた清永くんの負の琴線に触れたのもわかった。一言申したい空気を制するように、書店の店頭に山積みされた「BRUTUS」を手に取った僕は、先回りして「いい特集やね」と言った。清永くんは「そうですね」と返した。

もちろん今回僕を呼んでくれたのは目の前にいるこのカメラマンじゃない。清永くんの同級生の日野ちゃんだ。博報堂ケトルでローカルプロモーションなどを手がけるプロデューサー。彼も清永くんと同じで東京在住なんだけど、#FUKUOKAという地元WEBメディアや、東京在住福岡出身者のイベント「リトルフクオカ」を仕掛けるなど、溢れる福岡愛を爆発させている。つまり、清永くんとは正反対の男。

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左から、日野ちゃん→藤本→清永くん (2018年4月東京下北沢にて)

そんな彼が最近「博多ホッピング」なるものを提唱している。星の数ほどうまいものがある博多の夜を味わうには、一つの店にガッツリ腰を据えるより、街そのものをビュッフェ会場に、何軒もハシゴしまくる「博多ホッピング」がまさに福岡の正解だと彼は言う。それもこれも県外からのお客さんをアテンドすることの多い日野ちゃんのサービス精神の表れだと思うけれど、その根幹には一品だけ頼んでさっと帰るようなお客さんを良しとする文化が博多にはあるってことなんだろうか?

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中洲の屋台をはじめ、福岡の食の豊かさは関西に住む僕ですらとても魅力的。「博多ホッピング」をしてそれを記事にしてほしい。飲食代はぜんぶ持つからという甘い誘いにテンションがあがりすぎた僕は、何を血迷ったのか、前述のとおり朝8時半に福岡に着いてしまった。そして一つ年下の清永くんが巻き添いを食らった。

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日野ちゃんとの合流はランチ時間からと決まっていたにもかかわらず、何故か朝一番に到着した二人に、iPhoneの向こうで戸惑いを隠せない日野ちゃんは、それでも朝からやっているお店を何軒か見繕ってくれた。それらを前に「とりあえずコーヒーでものみます?」と言う清永くん。その明らかな弱音に音叉のごとく共鳴しかけた僕だったけど、これじゃダメだ!と、心の音叉の片方をへし折り、「もう始めようぜ、ホッピング!」と強気の一言。まるで十手のようになった音叉を胸に「御用だ!御用だ!」と、まずは長浜ラーメンをしょっ引くことにした。


○1軒目「元祖長浜屋」AM 9:30

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自らスイッチを入れて眠気とだるさに蓋をした44歳のおじさんのこの勇姿! 娘よ、父ちゃんはこうやって仕事しているんだ。ただ遊んでるんじゃねえんだぞ。

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実は「元祖長浜屋」に来るのは3度目。10年前、清永くんが個人的に一番好きだと連れてきてもらったのが最初だった。しかしこんな朝に食べるのはもちろん初めて。近くに魚市場があるからか、なんと朝4時からやってるらしい。

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長浜屋のラーメンは豚骨スープにありがちな獣臭がなく、すっきりしていて朝からでもいける。とはいえ、この後のホッピングを考えて、替玉は控えたおじさん二人。けれど写真映えで替え肉を注文。しかしこの替肉、肉にしっかりスープが絡んでいるので替玉ありきの商品だと判明。そんなことも説明してくれない清永くんよ、お前……。

元祖長浜屋
福岡県福岡市中央区長浜2-5-38 トラストパーク長浜 1
ラーメン500円×2、替肉100円×1
一人頭:550円


○2軒目「おきよ食堂」AM10:30 

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時間はたっぷりある。せっかくだから近くにあるという魚市場に行ってみようぜとやってきた市場会館なる建物。しかしここにまた朝6時から営業している食堂があった。それが「おきよ食堂」。実は清永くんのことを僕は普段「キヨさま」と呼んでいる。やけに男前な清永くんを敬する気持ちと小馬鹿にする気持ちをミックスした結果だ。この呼び名が周りで浸透しはじめていたので、僕は「おきよ食堂」+「キヨさま」=「おキヨさま」という写真をSNSに上げたかった。ただそれだけのつもりだったんだ……。

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看板を前に写真を撮っていたら、突然店員さんが定食メニューの看板を出しに表に出てきた。怒られるのかと思った小心者のおじさん二人は、気づけば店内に着席していた。

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「ごまさば」が有名だけど、夏は鯖が旬じゃないので、胡麻ブリ定食700円。後から日野ちゃんに聞いたけど、鯖が旬じゃない時期に冷凍使ってごま鯖を出す店は観光客向けだから、旬の魚でごまダレ漬けを出している店は信頼できるんだそうな。
こういう情報、目の前のキヨさまからはまったく出てこねえ。

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胡麻ブリの美味さに満足しながらも、僕はどこか不安な気持ちを抱えていた。だってまだ11時。博多ホッピングは日野ちゃんと合流してからが本番なのだ。しかも彼が予約してくれたランチは、博多名物の水炊きらしい。軽く胃腸がサインを出してくる。

おきよ食堂
福岡県福岡市中央区長浜3-11-3 市場会館1F
胡麻ブリ定食700円、おきよ定食700円
一人頭:700円


○ブレイク「くすりとまつり」

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朝からラーメン&胡麻ブリ定食を食べた僕らは、カロリー消費するべく天神方面に歩く。その途中、大きく「薬」と書かれた看板を見つけてすがるように胃腸薬を購入。そして投入。「博多ホッピング」なんてPOPな言葉に寄り添うべく韻を踏んでみたけれど、その実、四十過ぎおじさんのただの胃腸ケアタイムだ。

とりあえず一回落ち着こうと、天神駅の「RETHINK CAFÉ」で、ようやくコーヒータイム。しかしその際の写真は一枚もない。カメラマンで呼んでるはずのキヨさまが本気で休みやがった。だからこれは軒数に入れない。NO HOPPINGだ。

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今回とても嬉しかったのが、ちょうど来福前日(7/1)から博多祇園山笠の期間に入っていたこと。街のいたるところに立派な山笠が飾られていて、はじめてみるその姿に感動。旅の途中に祭りに出くわすほど良い気分なものはない。何が良いって、なんだか町の人たちが浮かれてるのだ。その空気が僕の気持ちをよりHOPPINGさせる。

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サザエさんの山笠とか、超かわいいんですけど。

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さらに時間があったので、キヨさまに薦められるまま、PARCO新館6Fにある、“泊まれる本屋”「BOOK AND BED TOKYO 福岡店」へ。

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残念ながら13時オープンということで、店の前で記念写真。キヨさまがなぜかニヤニヤしながら写真を撮っていて、なんだかんだでコイツもただのオシャレ好きおじさんじゃねえかと思っていたけど、旅の後にこの記事、<泊まれる本屋「BOOK AND BED TOKYO 福岡店」に、イケメンと泊まってきた!>を見て、ここに連れてきたキヨさまにまっすぐな悪意を感じた。

さあいよいよ日野ちゃんと合流だ。自分でもまさかと思うけど、ここからがこの記事の本番だから。覚悟してみてね。


○3軒目「水たき 長野」PM1:00 

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なんだか高級感漂う入口に「お昼ご飯の気がしないね」と言う僕。しかしお昼ご飯の気がしない理由が別にあることくらいわかってる。

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ようやく日野ちゃんと合流。まずは乾杯! この後何回乾杯したことか……。

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まずは鶏の旨味が凝縮されたスープから。あ〜美味い!

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告白するけれど、僕、博多の水炊き完全に舐めてた。一口食べた瞬間、ラーメンもつ鍋明太子だったこれまでの博多人生を後悔。博多に来たら毎回食べたい。ピュアにそう思うほどの美味さだった。銘柄鶏の華味鳥が素晴らしいのか、しっかり煮込まれてなお身がプリップリ!

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気づけば全員、カニ食ってる表情。

と、そこに女の子が加入。

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プロデューサー判断として、おっさんばっかじゃ画がもたないと考えたのか。日野ちゃんが声をかけてくれた林瑞紀ちゃん。アナウンサーを夢に頑張っているという彼女、実はまだ学生だと聞いて驚く。ずいぶん大人びてるなぁ〜、んにゃろめ!って思ったけど、ガチでいい子だった。

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〆の雑炊までしっかりいただき、水炊き完食。

水炊き長野
福岡県福岡市博多区対馬小路1-6
水炊き2,400円×3人前、ビール、焼酎など
一人頭:約3,200円(税込)※3人として

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確かに女の子一人いてくれると曇り空の画も和む。ちなみにこの写真の場所が、博多祇園山笠の最終日(7/15)、櫛田神社から男衆に担がれた山笠が街に飛び出し疾走する、追い山行事のゴール(廻り止め)なのだそう。


○4軒目「豆香洞コーヒー」PM3:00

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水炊きのあまりの美味さに「博多ホッピング」の途中なことを忘れて、満腹になった僕は、少し休憩したいと切望。そこで連れてきてくれたのが「豆香洞コーヒー」。こちらのオーナー兼焙煎士の後藤直紀さんは、バリスタ世界一になったこともあり、たまにテレビでもお見かけする有名人。そして実はこの後藤さん、日野ちゃん&キヨさまの高校の同級生なのだ。後藤さんは残念ながらいらっしゃらなかったけど、美味しい珈琲いいただけて幸福。

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手前に女の子いる強さよ。

豆香洞コーヒー
福岡市博多区下川端町3-1 博多リバレイン モール B2F
ブレンド450円など 
一人頭:450円


○ブレイク「山笠一年生」

「ちょっとワイン飲みに行きましょう」日野ちゃんに言われるまま、今度は中洲に抜けるべく商店街を歩いていると、日野ちゃん&キヨさまの同級生、湯本さんとバッタリ。さすが二人の地元。湯本さん、今年から山笠の担ぎ手をやることになったと、まるでピカピカの一年生みたく、新品の地下足袋を見せてくれた。それがなんだかとても誇らしげで、いい祭りだなあと思う。

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とにかく「滑らない」ことが大事なのはわかった。

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○5軒目「オ・ボルドー・フクオカ」PM4:15

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中洲川端。那珂川のほとりある「オ・ボルドー・フクオカ(Au Bord d'Eau FUKOKA)」へ。なんとフランスのボルドー市と福岡市は姉妹都市。そのご縁から日本初のフランス・ボルドーワイン委員会公認のボルドーワインバーとして2016年にオープンしたという。

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地下のワインセラーには、日本ではなかなか手に入らないボルドーワインがたくさん(しかもとてもリーズナブル)。

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せっかくなので、泡から白、ロゼ、赤までしっかり堪能。

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贅沢な午後。写真だけ見てると少し敷居が高く見えるかもしれないけれど、気軽に楽しめるお店。これは使える。

オ・ボルドー・フクオカ(Au Bord d'Eau FUKOKA)
福岡市中央区西中洲6-8
ワイン2杯づつ。 
一人頭:1,250円


○ブレイク「七七七年目の七番山笠は七福神」

ワインでほろ酔い。足どりも軽く6軒目へとホッピングしていると、これまでと違い、背が低いタイプの山笠に遭遇。聞いてみると、背の高い山笠は「飾り山笠」と言われるもので、こちらの低い方が15日の追い山で博多の街を疾走する「舁(か)き山笠」とのこと。

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そしてすぐ先にはまた立派な飾り山笠が。

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珍しそうに山笠を眺めていると、法被姿のおじさんが親切に説明をしてくれた。おじさん曰く、なんと今年、博多祇園山笠は七七七年目を迎えるという。しかもこちらの自治会は七番山笠ゆえ、七揃いで縁起が良い!と、先ほど見た「舁き山笠」の表題を「開運七福神」にした。別れ際に「宝くじ買って帰りな」とおじさん。確かに。うん、買って帰る。

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○6軒目「とり政」PM5:40

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最初に言うが、「とり政」サイコーだった。いよいよこの辺りから、博多ホッピングの恐ろしさを感じはじめたというか、ほら、一応僕もこの先のこと考えて控えめに……なんて思うわけだ。だけど、そんな気持ちなんて魅力的な食を前に、軽くふっとばされる。いやほんと参った。

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焼き鳥には、やっぱり博多スタンダードな焼酎なみなみロック(これほんと水割りじゃないの? って思った)。そしてこれまた博多スタンダードな焼き鳥屋の豚バラ。

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実はこのお店、カウンターに座る常連さんの背中をするりと抜けて、狭い階段を上がった二階がめちゃめちゃ良い。だってほら、注文したものが、ここからやってくるんだよ。ここから!

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わかる?この感じ。厨房を見下ろす小窓から手渡しされるのだ。なんか楽しいぞ!

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で、こちらの名物が豚足だっていうんだから、そりゃあ食べる。

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いやあ、ほんと満足しすぎて「もう帰ろう」って言ったら、思いっきり日野ちゃんにスルーされた。そりゃあそうだ。夜ははじまったばかり。しかし、ここまで一緒に回ってくれた林瑞紀ちゃんとはこの店でお別れ。お付き合いありがとう。

とり政
福岡市博多区中洲4-1-32
豚バラ×4本、若身×4本、とりかわ×4本、豚足、しいたけ、えのきベーコンなど。ビール2本。
一人頭:1,090円


○7軒目「宝来亭」PM7:10

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7軒目に訪れたのは、博多一口餃子発祥の店「宝雲亭」。実は僕、長崎の「宝雲亭」に行ったことがあったので、あれ?長崎の「宝雲亭」がここにも?と思ったんだけれど、そもそもここで修行した方が長崎にお店をだしたそうで、こちらがルーツ。知らなかった。

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博多の餃子の特徴は、タネに玉ねぎが使われていること。それゆえしっかり甘みが広がるので、僕は何もつけずに食べるのが好みだ。

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よしときゃいいのに、ニラ玉もいく。

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結局またさんざん食べて飲んで餃子タイム終了。

宝雲亭
福岡市博多区中洲2-4-20
餃子550円×2、ニラ玉 600円、ビール、焼酎など
一人頭:1,150円


○ブレイク「二度目の薬局」

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今更感たっぷりだが、さすがにちょっと食べ過ぎた。そんな胸の内を察してくれたのか、日野ちゃんが連れて来たのは、まさかの薬局。しかし待て。この流れで普通の薬局に連れてくるわけがない。ひょっとして薬局の顔した居酒屋? と、不安げに足を踏み入れると、なんと!

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なにーーー! 

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で、これ。やっぱりあるのね、日野ちゃんキープのレオピンロイヤル。

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薬剤師さんがカプセルに液体を詰めてくれて。

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ええ、いただきますよ。

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ゴクリ

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ウォーーー

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シャーーッ!!!

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「ありがとうございました。」

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胃腸の次は心を落ち着かせるべく、お櫛田さんこと、櫛田神社にお参り。博多祇園山笠祭、追い山のスタート地点だ。いつかここで追い山を見てみたい。

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そして再び商店街を歩くと、こんな看板を発見。

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ほら!こうやって「S」を隠すと「HOPPINGだYO!」と、満足げな僕。今思えば、この辺りから何かが崩壊しはじめてた。


○8軒目「川端」PM8:45

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ええ、ええ、みなさんが引いていくのがわかる。僕だってそうだ。朝から延々飯食いつづけてる僕たちが、いくらレオピンロイヤル挟んだとはいえ、ここでまさかもつ鍋に行くとは思わない。キヨさまの博多愛のなさをディスり気味だったけれど、こうなってくると愛ありすぎるのも困ったものだ。ガンガン突き進む、博多ホッパー日野の後ろ姿がおそろしい。

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と、ここで助っ人登場! #FUKUOKA の編集を担当してる佐藤渉くん。もはや画的に女子がとか言ってられない。とりあえず乾杯&初めましての挨拶も早々に、「ね、お腹空いてるでしょ? ね? ね?」と迫る。

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はーい、きたぞー! でね、我ながらびっくりするけれど、これが食べられちゃうんだ。なぜかって? それはもちろん美味いから。

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だけど日野ちゃんが〆の中華麺を2玉頼んだときには、さすがにコイツほんといい加減にしろよと、うっすら殺意覚えた。

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しかしだ。

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一応食べてみたら……

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うんま〜〜〜。日野ちゃん、2玉正解!

さすがに僕もいよいよ博多ホッピングがなんたるかがわかってきた。ただただ飲食店をハシゴすりゃあいいってものじゃない。もちろん日野ちゃんのアテンドが素晴らしいのもあるけれど、とにかく博多よ、行く店、行く店、美味すぎる! 博多飲食店ポテンシャルあってこそのホッピングだ。

と、そこに突然こんな囁きが聞こえてくる。

「俺、地元愛芽生えてきました……」

??? え? え?! 「キヨさま、いまなんて言った?」
「地元愛が芽生えてきました」
キターーーッ! 僕の前では浮かれ調子な博多をディスるばかりだったキヨさまのまさかの一言。だけどね、わかる!わかるよ!だって僕もだから!

町が好きになるってことは、誰かを連れまわしたくなる気持ちとイコールだ。つまりは連れて行きたいお店ができる、ただそれだけで、町への愛が芽生えてく。きっと清永くんは、一度決裂したはずの福岡を、いま再び愛した。一方で僕は、次の家族旅行は福岡にしようとぼんやりそんなことを考えてた。

牛もつ鍋 川端
福岡市博多区上川端町9-1
もつ鍋1,000円×3人前 〆のちゃんぽん×2人前 ビール×1本、焼酎など
一人頭:1,350円


○9軒目「ネッスンドルマ」PM9:30

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なんだか博多愛を抑えきれなくなってきた僕は、いよいよ日本酒が飲みたくなる。だいたいどこに行ってもみんな「焼酎ロック!」つって聞き覚えのある焼酎をよく飲んでるけれど、実は福岡には日本酒蔵が60以上もある。ちなみにこの数は全国5位だ。なのに地元大好き博多っこたちが、どうして焼酎ばかり飲むのか? そこが僕には不思議で仕方ない。

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ということで、気になってた「ネッスンドルマ」という日本酒バーへ連れてきてもらう。様々な純米酒が並ぶ棚を前に、いまどきのお店だなあと思っていたら、なんともう13年も営業を続けているという。当時は理解されなかったけれど、最近はわかってくださるお客さんも増えました、とのこと。

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燗つけしてもらった「美田」山廃純米が忘れられない。ここまで酸を感じてなお美味い酒が福岡で飲めるなんて! 秋田をはじめ、各地で地酒を飲む機会が多いけれど、いやマジで福岡の酒、進化してる!

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ネッスンドルマ
福岡市中央区西中洲2-26 2F
美田山廃純米 二合 アテ数種類 など(キオクガ……)
一人頭2,675円


○10軒目「博多荘」PM10:15

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いよいよ二桁ホッピング。そしてまさかのワンタン麺。もつ鍋の〆で麺を食べたことなんて福岡の美味い日本酒のチカラで遠い昔。とか言いながら、ビール飲みつつ4人で一杯のワンタン麺をすする。

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「!!!」

元祖長浜屋が一番好きだと公言していたキヨさまが「俺、これ一番好きかも」そう漏らすほどの美味さ。無理な博多愛ダイエットのリバウンド状態なキヨさまだから、多少、愛マシマシなところはあるかもしれない。けれど、そう言うのも納得の美味さだった。これだけ腹一杯のやつが言ってるんだから信じてほしい。そして何より、ワンタン麺と言われてイコール透明で澄んだスープを想像してた僕は、それが白濁したとんこつスープであることにまず驚いた。

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にしても元祖ワンタン麺とは? と不思議に思って聞いてみると、こんなパネルを出してきてくれた。そこにはワンタン麺というより、とんこつラーメンのルーツが書かれている。それによると、本来は透き通った精湯のスープだったのを、外出した際にうっかり長時間強火で沸騰させてしまった結果、偶然できたのが博多名物の白濁したとんこつスープだという。博多ラーメンはうっかり煮込みすぎたことから生まれたなんて最高だ。

そうだ。まさに博多の食は「過ぎる文化」だと思う。「博多ホッピング」がそうであるように、過剰な文化こそが博多の醍醐味だ。昼間、水炊きのスープを飲んだ時にも感じた、あの過剰な濃厚さ。透明な関西出汁文化で育った僕としては、とにかく何もかもが過剰すぎるぜ博多よ。

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ちょうど山笠の舁き手のみなさんが食事中だったので、お願いして撮らせてもらいました。地元の男衆に愛されてるなら本物だ。しかし、かっけー!

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きっと博多祇園山笠も過剰にきまってる。ならば僕も過剰のスイッチを入れよう。もう限界という顔をしている目の前の軟弱な男衆に僕は宣言した。

「いまからカツ丼行こやないかい!」

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博多ホッピング! 12軒はしごしたら、愛が生まれたはなし。

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編集者。1974年兵庫県在住。『Re:S』『のんびり』編集長。著書に『風と土の秋田』リトルモア、『魔法をかける編集』インプレス。『アルバムのチカラ』(共著:浅田政志)赤々舎。その他、『ニッポンの嵐』『るろうにほん 熊本へ』(佐藤健)など、手掛けた書籍多数。

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2006年に創刊した雑誌「Re:S(りす)」編集長の藤本智士が、いまあらためてお届けする、あたらしい“ふつう”のnote「Re:S」。 日々のこと。旅のこと。地方のこと。編集のこと。 記事アップは月4回以上かなぁ。

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