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リコマースとは

リコマースとは、一度人の手に渡った商品の二次利用、三次利用など、商品を人から人へ循環させていく産業を意味します。英語表記では「recommerce」となり、「re(再生・再利用)」と「commerce(商業・取引)」という2つの意味の組み合わせで成り立つ言葉です。

リコマースの目的は、『製品を長く使うことで、サステナブルな社会に貢献すること』と、『再利用に付加価値をつけることで、経済成長に貢献すること』です。レンタル、シェアリングエコノミー、リユース、リペア、リサイクルなどが代表的な事業で、事業遂行に必要な配送・梱包などのロジスティクスやクリーニングなども一部含まれます。


リコマースが注目される背景


リコマースは、世界的に急成長している市場で、10年以内にファストファッション市場を越えることが確実視されています。主な理由は3点です。

①世界的な環境意識の高まり

近年、世界で製造されるアパレル製品の60%が廃棄されていることが広く知られるようになり、大量生産、大量廃棄型からの脱却が迫られています。ほとんどの国でCO2削減が叫ばれる中、その有効な手段の一つとして、廃棄を減らす直接的な取り組みであり、事業収益を減らさずに生産量を減らせる取り組みでもあるリコマースに注目が集まるようになりました。

②消費行動の成熟

世界的な原材料高騰やインフレの結果、一次流通に対して、割高感を感じられる傾向が強まっています。リコマースであれば、誰かが使用しているものの、その分金額が差し引かれて購入することが可能です。品質にこだわり、ブランド力を培ってきた企業ほど、消費者からリコマースでの購入が求められるようになりました。

③ブランドビジネスの成熟

大量生産、大量消費型のモデルにおいては、在庫の余りを防ぐために、積極的に「広告」「出店」「セール」を実施するケースが多いですが、前述の時代変化から、適量生産、適量消費型への移行が進み、「セール」の効果も低下してきていることから、従来と違った方法での販売促進施策が求められています。リコマースは、i-phoneに代表されるように下取りによって自社製品の再購入につながりやすく、中古品の販売は若年層の獲得に有効であることから、ブランドの経営戦略に組み込まれることが増えています。


リコマースを構成する主な要素と企業事例

レンタルとは

商品を一定期間貸し出すスキームを指します。モノは移動するものの、所有権は移らないことが特徴で、TSUTAYAGEOのCD/DVDのレンタルサービスが代表例で、成人式の着物レンタルや、キャンプ時のテントレンタル、旅行時のカメラレンタルなど、イベント時の短期レンタルを中心に発展してきました。近年では、購入する前にお試しして、納得した上で購入する形態が消費者に広がってきています

シェアリングエコノミーとは

シェアリングエコノミーとは、レンタルスキームの派生形とも言える業態で、一般の消費者がモノや場所、スキルなどを必要な人に一定期間共有するサービスを指します。Airbnb(エアビーアンドビー)やUber(ウーバー)、などが代表事例で、当初の特徴は一個人の所有財産を他者に共有する業態として注目を集めましたが、カーシェアサービスのように企業が運営に乗り出す場合や、NOT A HOTELのように複数人数で所有権を共有(シェア)する場合もあるなど、サービス形態が現在進行形で多様化しています。

リユースとは

一度人の手に渡った商品、いわゆる中古品を、収集(下取り、寄付など)し再利用、再販売するサービスを指します。人から人へ所有権が移動することが特徴で、コメ兵の高級ブランドバッグの売買やメルカリの消費者間での中古品売買が代表事例で、「廃棄を減らす」という意味でサステナブルな文脈を相まって急成長している領域です。これまではプラットフォームが主役でしたが、appleがi-phone下取りサービスを行ったり、パタゴニアグッチといった世界的に有名なメーカーが参入するなど、今後10年間でファストファッションを超える市場になると予測されています。


リコマースと近い概念

3R

3Rとは Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の3つのRの総称です。
Reduce(リデュース)は、製品生産時に使う資源の量を少なくすることや廃棄物の発生を少なくすることを意味します。素材や製法の工夫で耐久性を高めることや、製品寿命を延ばすためにメンテナンス体制を構築することなども取り組みのひとつです。
Reuse(リユース)は、前項目の通り、一度人の手に渡った商品、いわゆる中古品を、収集(下取り、寄付など)し再利用、再販売するサービスを指します。
Recycle(リサイクル)は、廃棄物等を原材料やエネルギー源として有効利用することです。その方法は、繊維、プラスチック、金属など、製品素材によって様々で、現在、世界中で技術開発が進んでいます。廃棄物の取扱であるために、法規制が多い点も留意点で、国際的なルール整備が求められています。

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