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ある男

映画が好きです。

本日公開の【ある男】を見て参りました。

私くしの感想は・・・
「あなたの愛するその人は、『御本人様』ですか?」
です。

あらすじは、家族と悲しい別れがあり、母子家庭となった里枝(安藤サクラ)は、実家の文房具店を営んでいます。そこへ谷口(窪田正孝)がスケッチブックを求めにやってきました。
里枝は、母親と息子の悠人の3人暮らしです。
谷口は、里枝の文房具店を訪れるようになり、自分の描いた絵を見せる程の仲になったある日、里枝に「友達になってくれませんか?」と声を掛けます。里枝は戸惑いながらも谷口を受け入れ、2人は愛を育み〘花〙という娘を授かって4人家族となりました。
 しかし、突然の不慮の事故により、3年3ヶ月の結婚生活に終止符が打たれます。
谷口の死から1周忌を迎え、里枝から連絡を受けた谷口の兄は弔いに訪れ、谷口の遺影を見て「誰ですか?」と言います。
 そこから、知り合いの弁護士木戸(妻夫木)に元夫の身元調査を依頼し、谷口と、谷口本人を探す物語が始まります。
 
何故、谷口は戸籍を変えなければならなかったのか。

谷口本人の消息は?

そして、身元調査に奔走する木戸自身にもまた、暗い過去が・・・。

ストーリーの鍵となる人物たちの過去が明らかになり、今までに関わってきた人たちとの関係や証言を得る中で、物語の進行と同時に個人に与えられた〘名前〙というものの必要性について考えました。

〘名前〙を変えるという事は、別人になれるということです。
 そしてそれは過去に出会った人たちと別れるということ。自分の事を全く知らない人たちの中で別の人生を生きれるということです。だからこそ谷口は里枝と出会い、幸せな家庭を築くことができました。

今回の谷口の改名には、戸籍ディーラーという詐欺師が関与します。

谷口が裁判所へ名前変更の申し出をして、正式な法の元で改名していれば・・・。
 谷口が実在の人物の名を名乗ったことで、死後の里枝と息子の悠人の身に起こった法的な問題に、同情と悲しみで涙が溢れました。

そして、谷口(本人)の兄はめちゃくちゃ嫌なヤツです。

谷口本人の過去や現在について映画では余り触れられていないのですが、原作には谷口(本人)が谷口(仮)と戸籍を取り替えなければならなかった経緯も詳しく書かれているのかなと思いました。

幸いな事に、私は自分の名前以外を名乗る事態を経験したことがありませんが、いざ他の誰かになりすまなければならなくなったとしたら、それはとても苦しい人生だろうと思います。
 自分自身の本心も語れず、過去の全てを偽って。

「そうまでしなければ生きられない人間だっているんだ」
木戸が谷口の兄に最後に言い捨てるセリフです。

木戸、もしかしてお前も?・・・

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