石橋 良造

日本ヒューレット・パッカード (HP) に入社して製品開発に従事した後、設計・製造改革…

石橋 良造

日本ヒューレット・パッカード (HP) に入社して製品開発に従事した後、設計・製造改革(今でいう DX)を成功させ日科技連石川賞を受賞。その後、独立してコーチングや心理学を学び、組織と個人の両方に働きかけるコンサルティングを行っている。

マガジン

  • ポジティブ心理学

    ポジティブ心理学に関することを紹介します。

  • Self Development

最近の記事

ポジティブ心理学 基本の枠組み(その1)

ポジティブ心理学と銘打ったセミナーや雑誌記事などに触れる機会は多いと思いますが、ポジティブ心理学は非常に多くの理論や研究成果をカバーすることと、今もなお発展しつづけていることから、全体をどのような枠組みでとらえればいいのかわかりにくい面があります。 また、「幸せ」や「ポジティブ」というキーワードだけが一人歩きして、ポジティブ心理学に対する誤解が生じ、学術的な裏付けがないために実践が成果に結びつかないケースも少なくありません。 本稿では、ポジティブ心理学の基本である「ウ

    • 仕組みと意識の「両軸の改革」

      はじめに最近「両利きの経営」という本が話題になっています。組織経営学者チャールズ・オライリー教授が提唱している、VUCA といわれている変化の時代における経営の在り方です。「主力事業の絶え間ない改善」と「新規事業に向けた実験と行動」を両立させることがポイントで、そのための仕事のやり方を提唱しています。 私は製品やサービスの開発のやり方を改善・改革するコンサルティングに従事していますが、改善・改革が成功し、その効果が持続する組織となるためには「両軸の改革」が必要不可欠だと考え

      • プログラムマネジメント実践の3ステップ(最終回)

        前々回から、複数プロジェクトを並行して管理する仕組みであるプログラムマネジメント手法の導入にあたり、キーポイントとなる以下の3ステップについて解説しています。 定量データによる統合指標管理 マネジメントの体制と責務 組織ミッションとの調和 前回は、1の「定量データによる総合指標管理」について、通信設備関連の製品開発を行っている組織での実施例とともに解説しました。プログラムマネジメント手法の最終回となる今回は、事例とともに計画作成の指標化を紹介し、残りのステップである「

        • プログラムマネジメント実践の3ステップ(第2回)

          不確実性が高く、変化の激しい VUCA 時代といわれる今、従来のプロジェクトマネジメント手法は単独のプロジェクトの最適化を狙う手法であることから、期待の効果を手にすることが難しくなっているという話を、前回記事で(←前回ページへリンク設定)しました。VUCA 時代には、組織やビジネスの全体最適を目的とした複数プロジェクトを並行して管理する仕組みが必要とされており、そのための管理手法であるプログラムマネジメント手法について、新テーマで解説しています。 前回は、主にプロジェクトマ

        ポジティブ心理学 基本の枠組み(その1)

        マガジン

        • ポジティブ心理学
          1本
        • Self Development
          12本

        記事

          プログラムマネジメント実践のための3ステップ(第1回)

          PMBOK の普及に伴い、今や当たり前とも言えるプロジェクトマネジメント手法は、製品やサービスの開発だけでなく、多くの組織や開発現場などで活用され、多くの成果を挙げています。読者の皆さんの中にも、実際にプロジェクトマネジャーとして活躍し、また、PMP や情報処理技術者試験のプロジェクトマネジャーなどの資格を持っている方も多いのではないでしょうか。その一方で、プロジェクトマネジメント手法を活用している組織や個人であっても、プロジェクトが失敗に終わるケースが数多くあります。その根

          プログラムマネジメント実践のための3ステップ(第1回)

          インサイト・コンサルティング — ストーリー作成の編

          こんにちは、RDPi 石橋です。 VUCA 時代には、誰もがコンサルタントとしてのスキルを持つことが大切であること、そして、コンサルタントの中でも大きなスコープ、大きな成果につながる提案ができるインサイト・コンサルタントとしてのスキルを目指すことが大切だということを提唱し、そのための大切なスキルの1つである提案作成の考え方や具体的な方法を伝えてきた連載も、今回が最後となります。 これまでの提案作成プロセスの中で作成してきたいくつもの成果物から、1つのストーリーを作ることが

          インサイト・コンサルティング — ストーリー作成の編

          インサイト・コンサルティング —「結」の編

          こんにちは、RDPi 石橋です。 前回で、提案スキルの一つである「インサイト・コンサルティング」の提案作成の中核となる「転」プロセスの解説が終わりました。論理的な思考に基づいて提案の土台となるシナリオ原型に、リフレーミングと呼ぶ提案相手の固定観念や思い込みを崩すための感情に訴えるインサイトを組み込むことが必要不可欠だということをお伝えしました。 今回解説する「結」プロセスは、作成したシナリオを実現可能なものにするためのソリューションと、そのシナリオが実現した暁に提案相手や

          インサイト・コンサルティング —「結」の編

          インサイト・コンサルティング —「転」の編(その4)

          こんにちは、RDPi 石橋です。 前回は、提案スキルの一つである「インサイト・コンサルティング」の中核とも言えるインサイトについて解説しました。提案相手に、複雑な問題を解決できることを確信してもらうためには、課題を生じさせている根本原因をロジカルに説明することで危機感を高めることに加え、インサイトによって課題の見方、考え方を変えてリフレーミングを生じさせるということをお伝えしました。インサイトによって相手の感情を大きく揺さぶるのです。 今回は、実際に前回までの工程で作成し

          インサイト・コンサルティング —「転」の編(その4)

          インサイト・コンサルティング —「転」の編(その3)

          こんにちは、RDPi 石橋です。 前回は、VUCA 時代に必要だと考えている提案スキルの一つである「インサイト・コンサルティング」について、その中核となる「転」プロセスにおける重要な作業の一つである要因分析手法を紹介しました。今回は、提案のためのストーリーの中核となるシナリオ作成に欠かせない「インサイト」について解説します。 前回の要因分析で、課題と原因の因果関係が明らかになりました。ここから、複雑に絡み合って解決できないと提案相手が考えている様々な課題の根本原因を特定し

          インサイト・コンサルティング —「転」の編(その3)

          インサイト・コンサルティング —「転」の編(その2)

          こんにちは、RDPi 石橋です。 VUCA 時代に必要だと考えている提案スキルの一つである「インサイト・コンサルティング」について、その中核となる「転」プロセスにおける基本的な姿勢を前回は紹介しました。今回は、「転」プロセスにおける提案というストーリーの主要な構成部品となる、シナリオ作成のための具体的な手法・技法を紹介したいと思います。 「起」プロセスと「承」プロセスとで、提案相手が置かれているビジネスのバックグラウンドと提案相手の思いを分析・整理することを通して、提案相

          インサイト・コンサルティング —「転」の編(その2)

          インサイト・コンサルティング —「転」の編(その1)

          こんにちは、RDPi 石橋です。 VUCA 時代に必要だと考えているスキルの一つである、「インサイト・コンサルティング」という提案スキルを紹介していますが、前回の「承」プロセスに続いて、今回は「転」プロセスについて解説します。 「起」プロセスと「承」プロセスとで、提案相手が置かれているビジネスのバックグラウンドと提案相手の思いを分析・整理することを通して、提案相手との基本的な関係構築ができ、相手の懐に入ることができるようになりました。これから先は、実際に提案相手の組織の中

          インサイト・コンサルティング —「転」の編(その1)

          インサイト・コンサルティング —「承」の編

          こんにちは、RDPi 石橋です。 VUCA 時代に持ってもらいたいコンサルティング・マインドの一つである、「インサイト・コンサルティング」の提案スキルを解説していますが、前回の「起」に続いて、今回は「承」のプロセスについて解説します。 「起」プロセスでは、ビジネスを発展させることをミッションとしている社長や事業部長などの提案相手が置かれている背景を理解するために、現状ビジネスを分析しました。これは、提案相手のフィールドに入るための準備でした。 トップの思いこの準備を基に

          インサイト・コンサルティング —「承」の編

          インサイト・コンサルティング —「起」の編

          こんにちは、RDPi 石橋です。 前回、VUCA時代には誰もがコンサルティング・マインドを持つことが大切であること、そのための提案スキルとなる「インサイト・コンサルティング」の概要を紹介しました。提案相手となるのは、社外、社内問わず、ビジネスを大きく発展させることをミッションとしている事業部長や社長クラスであり、限られた領域の問題を解決するのではなく、企業レベルの事業拡大や改善に直接貢献するインサイト・コンサルティングは、より大きな価値につなげる提案ができるスキルであるとい

          インサイト・コンサルティング —「起」の編

          VUCA時代に必要なコンサルティング・マインド

          こんにちは、RDPi 石橋です。 現在は、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)を特徴とする時代で、これらの頭文字から VUCA 時代とよばれています。製品やサービスの開発の領域で約 20 年コンサルティングにかかわっていますが、実際に顧客とのかかわり方が大きく変わっています。 従来は、製品やサービスの開発プロジェクトに参加し、開発のリードタイム短縮や品質向上など、開発プロジェクトそ

          VUCA時代に必要なコンサルティング・マインド