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あなたのプロジェクトは、どのサービスと心中する覚悟ができていますか?

サービス開発を簡単にはじめられる時代になりました。

WebアプリはNetlify/Firebase Hostingにおいて、認証基盤はFirebase Authentication、記事はWordPress.comにおいて、課金?じゃあ、Pay.jpのAPIを使いましょう。なんだったら、NoCode系のサービスが続々とでてきてるので、WebサイトもWebアプリもコードを一行も書かずにリリースできます。

リリースすることはすばらしいですし、仮説検証サイクルにおいてまずはプロトタイプをみせることは重要です。「堅牢なインフラ/セキュリティ基盤」という面でもこれらのサービスはどんどん使われるべきです。ハッシュ化されずに生パスワードがDBに格納するぐらいなら、今すぐにFirebase AuthenticationやAuth0を使ってください!また、専門性の民主化という意味でもどんどんこういったサービスが広まっていけばいいなと思っています。

サービスはビジネスである

ただ、重要なのは、これらが「サービス」ということを意識しつづけることだと思っています。私たちは2017年にParseの悲劇をみてきました。

当時をしらない人向けに簡単に形容する四文字熟語をご紹介すると「阿鼻叫喚」でした。幸いなのはいわゆるデータベースだったので移行が可能だったことでしょうか。

そして、つい先日、GoogleがNoCodeでアプリを開発、リリースできるApp Makerのサービス終了をアナウンスしました。

App Maker で使用されるソースコードの特性により、アプリをそのまま別のプラットフォームに移行することはできません。

はい。移行できません。心中することになります。サービスですので、サービスが終了したら利用することができません。作り直す必要があります。

依存の度合いを考える

冒頭に述べたように、様々なサービスは有用であり、活用することでビジネスを加速させることができます。ただ一方でサービスとの依存の度合いは常に意識する必要があると思っています。

まず、依存度が低いのはオープンなプラットフォーム技術の採用です。Web技術やWordPress、PHPやRuby、MySQL、PostgreSQL、Apache、Linuxなどはすべてのソースコードがオープンになっており、メンテされなくなっても突然使えなくなることはありません。

次に移行可能なサービスです。例えば、AWS RDS(データベース)というサービスですが、中で使われているのはMySQLなどオープンなプラットフォーム技術ですので移行可能です。前述したサービス停止したParseもこの分類ですね。インフラクラウド系サービスの多くはこれに分類されます。

続いて、代替可能なサービスです。まずないと思っていますが、Firebase Authenticationがサービス終了するとしたらAuth0への移行が検討できます(そしてほぼ移行支援が行われます)。また、本来的には、メールアドレスもしくはSNSサービスIDと認証基盤IDを置き換えてるだけなので自社サービスに過去のデータ含めて取り込むことが可能です。Push通知ひとつにしても、10を超えるサービスを利用することができます。

NoCode系はしんどいですが、サービスによっては「生成したソースコードをDLできる」可能性があります。NoCodeでつくったWebサイトであったり、もしくはiOS/Androidアプリでも自分で証明書をつくってアップロードする系のサービスはサービスが終了しても「アプリが死ぬ」「更新できなくなる」ことはありません。最近、アプリをWeb技術でつくるIonic Frameworkが、NoCodeのサービス「Ionic X」を開発してて、こういうものだとすべてのソースコードをDLすることが前提になってるのでサービスが終了しても問題なく開発を続けることができます。

ただ、DLのサポートがまったくない場合は、GoogleのApp Makerのように「使えなくなるのですべて作り直す」必要がでてきます。

必要なアクションは何かを考える

繰り返しになりますが、これらのサービスはすばらしいものですし、ビジネスを加速するために活用することをおすすめします。ただ、潜在的に(そしてサービスのビジネスの問題なのでいつ顕在化するかわからない)リスクを抱えていることを意識することは重要です。

そう、私達はビジネスを加速したかったわけで、いわゆるベンダーロックを受けたかったわけではないわけです。ですので、まず技術選定段階で「ベンダーロックはビジネスの障害になるか」という視点はとても重要です。一方でベンダーロックを受ける方がビジネスが加速する場合ももちろんあると思います。

その場合重要なのは、そのサービスにどれだけ貢献できるかです。ParseもApp Makerもサービスが終了理由は「ユーザが伸びなかった」「儲からなかった」「競合がでてきた」です。サービスは基盤をコストを払って維持しつづけてるので、利用者がフリーライドばかりではサービスは維持できなくなります。一方で群雄割拠となっている市場のサービス(今だとNoCodeまわりですね。すばらしいサービスが多く生まれています)では、同時に「サービス終了した時のアクションを意識する」ことも重要になってくるかと思います。

クラウドサービスやSaaS、PaaS、NoCodeまわりのサービスが充実してきた今だからこそ、一度振り返ってみてはいかがでしょうか。

それでは、また。

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Ionic Japan UG 代表 / 兵庫県の穏健派。Webやアプリつくってます。(一社)リレーションデザイン研究所 代表理事など / 著「Ionicで作る モバイルアプリ制作入門」( https://amzn.to/35u1c4N )発売中