![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/33013041/rectangle_large_type_2_0cbb98e27e47273a9e8817e3812fa5ce.png?width=800)
治す力ではなくて治る力に味方してみた
こころの病は、治すものではなく、治るもの。
治せないだけで、治る力はある。
と昨日、思いあたって、
そして迎えた、今日の診察室風景~
なかなかうつが治らないまま、
復職の期限が迫っている人が、
焦っている。
病院には、病気の回復を目的に、
来ていただいている以上、
医者は、仕事や経済事情より、
命と健康を第一優先した意見を言わなければいけない。
家庭生活もほとんど動けない状態で、
朝から出勤できるとは、とても思えないし、
焦って無理して復職でもしたら、
明らかに病状は悪化してしまう。
でも、、、僕が治療に当たったからって、
まだ治せていないじゃないか。
決まりきった僕の意見を言う前に、
この人の意見を、聞いてみようと思った。
「それで、今の体調で、どうやって、
復職を考えているの? 」
「……気合いで(笑)」
この人には、今までもそうやって、
気合いで限界突破したエピソードがあることは、
僕も知っていた。
しかし、それが、うつになりやすい思考だと、
僕は今まで繰り返し、指摘してきた。
でも、思えば、
それが、この人の強みでもあった。
「僕がどう言うか、もう、分かってますよね?(笑)
でも最終的には、あなたが選ぶ考えを応援したいです。」
ということで、復職に向けての、無謀なる挑戦に、
一緒に作戦会議しましょうか、ということになったのだ。
患者さんの表情は、パッと明るくなる。
僕も、自分を許せた自分が嬉しくなる。
そして、もし本気で、今の身体で復職するとしたら、何ができるか。
あと僅かな期間でも、朝起きれる準備をして、
体力をつけておこう。
業務内容で負担になるものをもう少し細かく洗い出し、
それを免除してもらえるように、復職診断書に、記載しよう。
など、思いもよらず前向きな意見が出てきたのでした。
うまくいくか、行かないかは、わからないです。
医者としての判断に、問題があるかも知れない。
でも、治す力ではなくて、
治る力の方に味方するって、
そういうことなのかなと思うと、
なんだか、すがすがしい気持ちがしました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?